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アイツはとっくに拘留中みたいだし、
別段何かしらアテがあるわけでもないんですが、
せっかくだからパトカーに便乗することに。
ひょっとしたら警察に両親がいるかもしれないし、
なんとなく乗ってみたかったし。
おお、はじめて警察にビビってないよ、私!
いつもは無灯火とか駐輪場放置とか常習犯なモンで
警官を見ると条件反射的に緊張しちゃうんだけど、
ははは、これはまるでタクシーの気分!
死んで初めて楽しい気分!
はっはっはー。
自分の器の小ささに気が付き、
また少し落ち込みます。
テレビの警視庁二十五時なんかだと
警察署内は不夜城な感じで、
あっちこっちで事件は現場とか何とか
叫んだり走ったりしてるような印象ですが、
所詮は地方警察。
思ったより静かで、人も少なく、
正直拍子抜けでした。
パトカーに乗せてくれた警官も
当直明けとかで帰っちゃったし、
取調べも行われていないみたいだし、
留置所なんかのぞけるわけもありません。
これはハズレか!
おおいなる時間の浪費か!
ガッカリというより
さもありなんと苦笑いでかぶりをふっていると、
廊下の先の影にふと目がとまります。
あれ……
警官に付き添われ
肩を落としながら無言で歩く
見知った背格好。
見た瞬間、
胸のうちにわきあがる懐かしい衝動。
こみあげてくる切ない愛情。
お父さん!




