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幽霊ライフにもいくつか制限があります。
というか、
幽霊といって思いつく特典がほぼ何もないことに
驚愕を禁じえません。
飛べないし。
祟れないし。
取り憑けないし。
誰かを恨むより先に、
こんな山中に棄てられた自分を恨みたくなります。
(違う違う、恨むなら私を殺したアイツだって)
物理的障害も地理的障害も、
幽霊たるわが身に
そのままふりかかってきます。
夜は真っ暗で何も見えなくなるし。
寒さが確実に骨身にしみてくるし。
しかもなんたること。
幽霊なのに、眠い!
怪我もしないし疲れもしないのは幸いだけど、
辛いものは辛い。
景色を楽しむ余裕なんてどこにもありません。
正直、時間が惜しい。
七日間の間に家まで帰れるんだろうか……。
死神は事情説明が終わるや否や
さっさと消えちゃうし
まさか死んでまで
心細さを味わうことになるとは。
朝。
光が目にしみる。
昔話のお化けよろしく、
このまま浄化されてやろうかなんて
一瞬本気で考えてみたり。
なんなんだ、私