出会いときっかけ
・・・・・
目が覚めると、時刻は午後3時。
「結構寝ちまってたのか・・・」
俺は、ぼさぼさの髪をかきむしる。
「それにしても、やけにもやもやする夢だったな・・・」
てかどんな夢だったっけな・・・
しばらく考えたが、思い出させないので、とりあえず鏡で寝癖を直すことにした。
髪がいい感じに決まったので、ちょっとかっこつけたポーズをしてみる。
でもそこに移ってる自分は、どこか不安そうな顔をしているのに気づいた。
そこで思い出す。
それは、友の事だった。
山田・・・・
俺は、鏡の前で、がっくりと頭を下げる。
俺は、お前と仲直りしてえよ。
今まで、お前とはいろんな事があった・・・。
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「おい山田。また人が落とした金盗みやがって」
5人の不良グループが山田に絡んでいた。
山田は、必死で拾った500円を握りしめ
「落ちていたものに、俺のだとか誰のとかそういう権利はない」
怯むことを知らない山田は、思ったことを口にするからその反発は大きかった。
「ふざけてんのかてめえは?」
山田は、首を横に振ると、力強く言った。
「ふざけてない。拾ったのは俺なんだから、もうこれは俺のものだ」
そんな事を言ったもんだから、当然のごとく不良どもを完全に怒らせてしまった。
山田は、5人を相手に怯まず戦うが、叶うわけもなくボロボロにされた。
俺は、その姿を見て、なんて馬鹿な奴なんだろう・・・
そう思った。
一言言ってやるか。
そう思って、俺はボロボロにされ、ぶっ倒れてる山田に聞いた。
「お前何がしたいんだよ?」
山田は、ぼそっと言った。
「俺は、正しいことを言っただけだ」
俺は笑ってしまった。
こいつドンだけ馬鹿なんだろう・・・・
もう正直馬鹿すぎてウケた。
「いやいや、あれはお前が悪いだろ・・」
「悪くない。あれは落ちてたものだから誰のものでもない」
「小学生か・・・お前は・・・。」
こいつホント自分の考えを曲げねえな・・・。
でもそこが面白いな・・・
山田は、独り言のように言った。
「俺には、どうしてもやらないことがあるんだ」
「へえ。言って見ろよ。」
山田は、少し考えた後行った。
「今年で、8歳になる妹が俺にはいるんだ。妹はプレイステーツベータが欲しいって言ってるんだ。でもうちは貧乏だからそんな金はない。」
その顔はとても真剣なので、笑いが止まんなくなってきた。
「お前、あれ15000円以上すんのに、500円取るのに命がけで、しかも取れず終いじゃねえか・・・」
ああ・・・こんな馬鹿ドラマとかでしか見たことねえ。
俺は大爆笑した。
すると山田は、拗ねた。
「笑うなら笑えよ。俺みたいな奴はバイトにさえ雇ってもらえないんだ・・」
これがまた俺の笑いを加速させた。
「お前さ・・・俺を殺す気かよ?」
「そんなつもりはない」
俺は、吹き出す。
こいつ面白いな。
俺は山田に手を差し出した。
山田は意味が分からないような顔をしていた。
「お前の妹のプレゼントについては俺も協力してやるよ」
「本当か?」
「その代わり、今日から俺の友達になってくれ」
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懐かしいな・・・・
こんなこともあったな。
床を見てみると、なんか曇ってて見えなかった。
俺は、目をこする。
そこで気づく。
「はは・・・。何で泣いてんだよ俺は・・・。かっこわりぃ」
そう思って何度も涙を拭うが、涙は滝のようにあふれ出た。
「停学期間が終わったら、謝ろう・・・。」