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亀裂

「夕暮れの空を知っている人がいて、うれしいですが・・」


小熊は立ち上がる。


俺を生気を感じられない冷たい目で見下ろし、


「私にとって、人というのは不要な存在です。なので今後話しかけないでください」


あまりにも人とは思えないような冷たい声と、淡々とした言い方が、俺を無言にさせた。


今まで感じたことないような感じがする。


まるで幽霊と対峙している感じだ。


そう思わせるほど、小熊という存在の放つオーラや声は、不気味だ。


その全てが俺を混乱させた。


教室に戻ると、山田に強引に席まで連れてかれ、座らせられる。


「おい、結果はどうだった?」


「・・・・」


「修、お前まさか負けたのか?」


俺は、渋々頷く。


山田は、威圧的に言った。


「俺との約束はどうした?」


「・・・・・。悪い」


もう勘弁してくれよ。


ただでさえあんな不気味なもの真近で、見ちまった後で、混乱してるのに・・・


説教とかたまったもんじゃねえよ。


こんな話してると、さっきのあの光景を思い出しちまいそうだ・・・


山田は、嘆息すると、俺の肩を叩き、


「まあしょうがない。相手は、あの7強の一人だ・・・。」


「7強?」


「そうだ。7強と呼ばれる7人は、一般性とじゃどうにも出来ないような問題児たちを集めた集団だ」


「不良グループじゃねえかそれ・・・」


「まあそれに近いかもな」


山田は、人差し指を一本立てると、


「一人目は、つい最近7強から外された、一年の佐藤しおり」


「あの孤立クイーンか?」


「そうだ。」


孤立クイーン・・・


その名は知っている。


入学して一ヶ月もしないうちに、全校にその存在を知らしめたこの高校きってのスーパー問題児。


「それとあの小熊は、同格と言われているんだ。生半可な気持ちでは無理だという事は、わかったろ?」


「ああ」


「小熊彩夏。佐藤とは違って、特に優れた能力はなく、基本は低スペック。ただ人を拒絶する絶対的空間を支配するオーラと死のボイスと呼ばれる人を硬直させる武器は、佐藤と同格と言われるほどの破壊力を秘めてる。」


言い方が厨二くさいな・・・・


バトルアニメでこういう説明の仕方あるけどさ・・・


正直うざい。


でもあのスーパー問題児佐藤と並ぶほどの奴だという事は、なんとなく理解できたぜ。


「人を絶対近寄らせず、遠くから見ることしか許さないことから、あいつは無近遠見むきんとおけんという二つ名をもっている。」


「なんだよその臥薪嘗胆がしんしょうたんみたいな四字熟語。いろいろと突っ込みどこ満載だな・・・・」


「そこは気にするところじゃない。お前は、負けた相手をどう攻略してくか考えろ」


「うるせえな。わかってるわ」


いちいち地味に口撃してくんのやめろや・・・


山田の普段の演技がかった空気を完全になくなっていた。


顔は真剣そのものになっているのに気づいた。


「まだ、勝負はこれからだ。相手は7強、何度でも立ち向かう。そして相手の心に無理やりにでも入り込む気でいくしかない」


あまりにも直球過ぎるのではないか・・・・とも思ったが。


よく考えて見るとそれしかないのかと思った。


俺はがっくり肩をおろす。


おいおい・・・


これじゃ俺超まじめ君じゃねえか・・・


そんなの柄にあわねえよやっぱ・・・


「俺は、そんなめんどいこー」


ここまで言いかけたときに気づく。


山田は、完全に怒っている表情だった。


俺が怯むと山田は言った。


「人の心は、そんな簡単に変わるほど甘くない。努力するのはかっこ悪いって思うんなら、やめちまえ」


その一言は、俺の事をキレさせるには、十分だった。


俺は山田の胸倉をつかみ怒鳴った。


「お前に何でそこまで言われなきゃなんねえんだよ!!」


山田は、全く怯む様子なく言った。


「なんでも手を抜いてそれがかっこいいっていうのは、ただの逃げだ」


逃げだと?


俺がそんな臆病なマネするわけねえだろ!!


「逃げ?ふざけるな。何でもパパッとこなすからかっこいいんだろうが」


「現実は、アニメやドラマみたいに何でも思い通りいくほどあまったるくねえって言ってんだよ」


調子乗りやがって・・・


てめえは・・・


てめえは・・・


「実際にあいつと対峙して会話したことねえてめえが俺にダメだしてんじゃねえよクソやろうが!!」


俺の怒りは爆発した。


そして山田を気づいたとき殴っていた。




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