悲しき日々のピリオド
俺は、この話を聞いて感じた。
理解者がいない。
それは、人をひどく変えてしまうんだと・・・
小熊は、俺を睨みつける。
その表情は真剣そのものだった。
「どう?」
聞いてきたので、素直な言葉を口にした。
「よく頑張ったよ」
俺が頭を撫でながらそういうと、俺の手をどかそうと暴れてながら言った。
「だから私じゃないって・・・」
「もういいじゃねえかよ。いちいちやせ我慢しなくったってよ」
俺は、小熊を強く抱きしめた。
「ちょっ・・・セクハラで訴えー」
小熊はそこまで言うと、急に泣き出した。
俺は、それを見て言った。
「お前は、人に自分の好きなものを理解して欲しかった。でも誰も理解くれず、それどころか逆にみんなからいじめの対象とされてしまった。」
「だから違うって・・」
その目からは、ポロポロと涙がこぼれている。
俺は、彼女の痛みを感じていた。
すごい伝わってくる。
純粋な気持ちを人から否定される。
なんて悲しいんだろう・・・
「だからお前は人を拒絶した。そして内心は試していた。相手がどれだけ自分を受け入れようとしてくれてるかを計るために」
「違う違う違う」
小熊は必死で否定するが、それが嘘だとわかる。
それは、どこか顔にホッとしたような感じが伝わってきたからだ。
ぱっとみ顔はもう涙でくしゃくしゃになっているが、抱きしめてると感じる。
彼女は、ずっと自分を本当に理解している人を見つけたかったという事が。
その証拠にさっきまで暴れていたのに、大人しく俺に抱かれたまんまになっていた。
小熊は、どこか嬉しそうな感じで馬鹿にしてきた。
「そんなに私の事わかったように言っててマジでキモいんですけど」
「きもくて、結構」
「いつまでも抱きしめるのやめて。」
俺は、抱きしめるのを止めた。
すると小熊は笑顔を見せた。
「お前・・・」
その目には、涙がまだ流れていたが、何か吹っ切れたようなすがすがしい笑顔だった。
「私、もう一度人と関わることにするよ。」
彼女は笑顔を崩さずにそう口にした。
俺はそんな彼女がとても大きくなったように感じた。
「そうか。良かった。」
「それでね・・」
そこで一旦くぎると、小熊は俺に笑顔で指をさして言った。
「あなたは私の友達第一号だから」
その言葉に俺は、感動した。
つい感動して抱きしめようとしていた。
軽くかわされ、俺は地面に頭をもろにぶつけた。
「ざまあないわね」
小熊は、そんな俺の姿を見て笑うのだった。
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ああ・・・・・
俺の言ったこと、理解してくれたかな修。
俺は、一日中そこばかり考えていた。
あのメールを送って一週間。
修からのメールの返信はない。
俺は、学校に行く気分じゃないため、家に引きこもっていた。
ピーンポーン、ピーンポーン。
インターホンが何度も鳴らされた。
「うるさいな。勧誘にしてはタチが悪い。
俺は、イライラしながらドアを開けると・・・
ドアの先を見て仰天した。
「よっ。」
「どうも・・・」
何せ、修と・・・・
「小熊彩夏じゃねえか・・・・」
あまりにも衝撃的過ぎて驚いた。
「お前声でけえよ」
「悪い・・・」
俺は、気になった事があったので修の耳元で、ささやく。
「お前あいつを救ってやれとは言ったけど、まさか彼女にしたのか・・・」
修は小さな声で「違う違う」と否定した後、俺の耳元でささやいてきた。
「友達になっただけで、彼女名わけじゃないよ。だって小学ー」
そこまで言いかけたとき修は急に
「いでででででで」
と悲鳴を上げたので、びっくりした。
「誰が小学生よ」
小熊が修の手をつねっていた。
「いやどう考えたっておまー」
そこまで言った修は、股間を思いきり小熊に蹴り上げられノックアウトした。
俺はそれを見て苦笑した。
すげえ仲良くなったのな。
俺もまさかここまでいい関係になるなんて想定外だったぞ・・・。
小熊は、こっちに笑顔を見せた。
「お前そんな表情なんで出来るんだよ・・・」
俺は驚愕した。
「無表情で、死人みたいな顔してた奴がなんで、そんな普通の少女みたいな笑顔が出来るんだ・・・」
気づいたらそんな事を聞いていた。
小熊は、笑顔のままこう答えた。
「理解してくれる人ができたんで」
そしてその目線が修に向いたの理解した。
修のやつ、頑張ったんだな。
よかった・・・
俺の想いは通じたんだ・・・。
人生捨てたもんじゃねえな・・