2/7
水、出ますか
翌朝、香織は従姉の真由子に出逢った。
「あれ、香織ちゃん」
真由子は香織のことを妹のように思っている。家は埼玉にあるが、真由子の夫の実家が浦安だった。
香織は真由子の夫の両親の家から水を貰った。場所は近所だったが、香織は方向音痴なので覚えられなかった。
その後、知らない老婦人がシャワー使えてますか?と香織の家を訪ねてきた。同じマンションの住人らしい。こういう時は助けあいである。香織の心は、少し温まった。
香織は段々ヒステリックになっていった。
余震のたびに机の下に隠れてテレビの津波警報を見た。
香織の家は二階だった。駄目かもしれない。最上階でも助からないかもしれない。
神戸で育った香織ぐらいの年の人は、大体地震が怖い。
大阪人に笑われる程神戸っ子に顕著である。
百年に一度と千年に一度を経験した、と、香織の同級生はネットに書いていた。