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9話

「何してるんだお前ら…。」


私がバカ二人と『話し合い』をしているとマサが来たようだ。


何って話し合いだ。

二人を正座させて膝の上にギルドの職員さんにお願いして借りた【素材:岩】を乗せてるだけの健全なものである。


「見てわからない?話し合い。」

と、私が聞くと、肩をすくめながら『いつから私が知る【話し合い】が変わったのか知らんけど。まぁ、愛美がなんかやらかしたんでしょ。』と答えた。

流石、よくわかってんじゃん。


□□□□□□□□□□□□□□□



マサが来たので『話し合い』をやめた。ついでにあるびのさんの方はいつの間にか来ていたパーティメンバーの方々に引き摺られていった。

どうやら彼の『話し合い』は後半戦に突入するようだ。

がんばれ。


「うう、酷い目にあったよ。」


自業自得である、人の胸をネタにするのをやめたらいい。

私は普通なのだ普通。


「いや、ナギハの胸を普通だって言うとだいたいの女子がキレると思うがね。」


マサも対して変わらないでしょうが。

と言うと、『私はCよりのDだからねぇ、どこかのEに片足踏み入れてる奴には敵わないかなぁ。』とカウンターが来た。

おい、なんで知ってる。


「前に一緒に買い物行った時に測ったじゃん?その時に店員聞いた。まだ育ってるようで。」


聞くなよ、教えるなよ。


仕方ないじゃないか成長期なんだよきっと。



□□□□□□□□□□□□□□□



胸の話をしているとマナが。


天上(巨乳)の人には私みたいな地上(貧乳)の悩みは理解できないですよね!その()もぐぞチクショー!」


とキレたのでやめた。


「それで?遅れた私が言うのもなんだけど何するのさ。」


そうそう、それそれ。


「少しはお金が入ったけど、掲示板に依頼があった西地区の『金床』ってところに行きたいかな。」


ついでにもういい時間なので休憩したい。

システムで確認するとそろそろ夕飯時だ。夕飯の手伝いをしなければ母に悪い。


「よし、じゃあとっとと行こう。」


マサの言葉を合図に私達は『金床』へ向かった。



□□□□□□□□□□□□□□□



西地区の『金床』に着いた私達は早速店に入り依頼の件で来た事を店の人に話した。


「少々お待ちください、親方ー!依頼の件で人が見えてますよ。」


どうやらこの『金床』は武具の販売兼製造もしているようで店の奥の作業場と思われる場所から金属を叩く音と怒鳴り声が聞こえてくる。


少しして、店の奥からいかにも『親方』という風貌のドワーフの男性が現れる。


「おう、よく来てくれた…ってまさかお嬢ちゃん達がそうなのか?」


「正確にはそっちの二人だよ、私は付き添い。」


そうマサが言うと親方さんに『余計にわけわかんねーよ、獣人の嬢ちゃんはともかくそっちの嬢ちゃんは冗談にしか聞こえんよ、装備もそんなんだしな。何か特別なスキルでもあるのか?』と聞かれた。


「まぁ、私のことは良いじゃないですか。それで依頼の話に入っていいですか?」


「おぉ、そうだな見せてくれ。」


親方が『コッチに頼む。』とカウンターを指差す。

私とマナはインベントリから素材を取り出しカウンターに置いた。


---------------


【子鬼の牙】×12

【子鬼の角】×6

【子鬼の勾玉】×1

【ガラクタ】×17


---------------


「牙よし、角よし、ガラクタにと…おお!勾玉もあるじゃねーか。なぁ嬢ちゃん達、これ全部ウチで引き取っていいか?」


私はマナに確認のために顔を向けると『私は全売りでいいよー、交渉はナギにゃん任せるっ!』と言うのでそうすることに。


「ええ、構いません。報酬は応相談とありましたが具体的な話を聞かせて下さい。」


親方は『そうだな…。』と前置いてから。


「買取なら【牙】80【角】120【ガラクタ】20、ってとこでどうだ?【勾玉】は、そうだな…500で『全部で2520エンですか。』お…おう計算はええな。」


「そうですか?」

と親方に返事をしながら考える。2520エンをマナと分けて1260エン、私の手持ちは900エンだから2160エンだ。


「マナ、宿屋の相場は?」


「んー、【ニノマエ】なら殆ど100エン前後かな、高いところは高いけどね。それに最悪でもログアウトだけならギルドで安全にできるよ。」


ふむ、なら最悪全部使っても…いやいや回復アイテムも欲しいし他にも見るものがあるのだが。

まず聞くだけ聞いてみるか。


「親方さんが言っていたとおりで私達は装備が無いんですよ。今回の買取額と等価くらいで揃いませんかね?」


私がそう言うと、親方さんが『ふむ…武器と防具3種だな、待ってろ在庫を見てくる。』と奥の部屋にひっこんだ。




□□□□□□□□□□□□□□□



少しして親方がガチャガチャと装備を持ってきた。


「こっちが獣人の、そんでこっちが吸血鬼の嬢ちゃんが装備できそうなのだ。大丈夫だと思うが一応確認してくれ。」


親方には私が吸血鬼だと言っていないはずだが何でわかったのかを尋ねると『そんな綺麗な【金色の眼】をしているのは吸血鬼くらいだろ。』だってさ。

わかる人にはわかっちゃうのか…気をつけなければ。


さて装備だが


---------------



武器  :レイピア/攻+18 

防具  :プリンセスドレス/防+15 

防具  :薔薇刻印の盾/防+10

防具  :黒ウサギのブーツ/防+8 AGI+2


追加   盾マスタリー【 2/10】(盾装備可・盾で防御時ダメージ軽減率UP・のけぞり軽減)



---------------


となった。

初期装備から見ると攻撃力は18倍、防御にいたっては33倍である。

やはり初期装備で特攻はおかしかったんだろう。

親方が『お前ら本当にゴブリン狩ってきたんだよな?この装備で。』と呆れていたので間違いない。

まぁマナにいたってはクラスの関係で『素手』だったしね。


さて、盾を装備するのでBPを消費して【盾マスタリー】を取ることも忘れない。

まぁこのあたりの敵ならどうせ1ダメージだろうけどあると無いでは気の持ち様も違うだろうし追加効果の【のけぞり軽減】が役に立つだろう、きっとたぶん。


「ふむ、二人合わせて2800エン位だが…まぁ、まけとく。俺が出した依頼を即日達成するような奴らに先行投資だな。」


と言いガハハと笑った。


ありがたい。


私達は親方に礼を言い『また来ます。』と『金床』を後にした。



□□□□□□□□□□□□□□□



『金床』での用事も終わり私達は広場に戻ってベンチに座っている。


「さて、これからどうするんだ?」


「とりあえず一回休憩かな?夕飯食べてその後はどうしようかな。」


昼からすでに結構プレイしているが夕飯(休憩)をはさんでまたログインしようかな?


「じゃあ夕飯終わった位にログインするか連絡するわ、愛美はどうするんだ?」


「私はちょっとβ時代の人に誘われてるからちょっと顔出してくるよ。もし何かするならお二人でどうぞ。」


マナが『ごめんねー。』と謝ってくるが別に悪いことをしてるわけじゃなし『気にしないでいいよ、人付き合いは大事だからね。』とフォローしておく。


「それじゃあログアウトしましょうか。マナ、ギルドでできるんだっけ?」


私が確認すると


「そだよ、ギルドで簡易個室が借りれるんだ。とは言ってもレベル15までだけどね。」


なら早速行こう、私達はギルドに向かった。



□□□□□□□□□□□□□□□



生産ギルドに向かうのと思ったら町にもう一つある大きな建物である【冒険者ギルド】に私達はきていた。

なんでも生産ギルドの方は生産プレイヤーが優先的に使用できるようにされているらしく。

戦闘職の場合は冒険者ギルドに行くように言われるとか。


「聞いてきたよー、登録だけしてくれたら借りれるってさ。」


マナが受付の人に簡易個室を借りれるか聞いてきてくれた。


なんでも利用するには、冒険者ギルドに【冒険者】として登録が必要らしい。


「必要なことならさっさと登録しちゃおうか。」


私達はカウンターで登録を済まし、簡易休憩所でログアウトした。



□□□□□□□□□□□□□□□



冒険者ギルドの一室にて緊急会議が開かれていた。


部屋の中心には大きなテーブルがあり、数人の男女が席に着きテーブルの上を誰もが険しい表情をして見ていた。


「この新規登録者だが…冗談や書き間違いか何かではないのだね?」


男性がテーブルの上にある『登録用紙』を指差しまだ年若い女性に尋ねる。


「はい、登録作業を担当したものに確認しましたが、【虚偽判定】、【書き間違い】等全ていつも通り対応しましたがまったく問題なかったとのことです。」


「いっそ虚偽報告や登録ミスだと報告があったほうがマシだったよ。」


そう言って男性は頭を抱えテーブルに突っ伏してしまう。


「なんにせよ、魔族の国が余計なちょっかいを掛けてこないことを、いや来る前提で対応したほうがよいでしょうな。」


「ええ、普通の固体であればまだしも、よりによって【吸血姫】ですし絶対に来るでしょうねぇ。」


皆が見つめるテーブルの上の登録用紙には。


---------------


名前 :ナギハ

性別 :女

種族 :吸血姫

クラス:トリックスター

ランク:1

LV :8


---------------


とあった。

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