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5話

「遅刻してごめんっ!」


ロンと待ち始めてすぐ。

マナがダッシュから土下座に移行するという新種の生物かと思えるような動きで現れた。

ぶっちゃけちょっと引いた。他のプレイヤー達とも気のせいか距離を感じる。



□□□□□□□□□□□□□□□



「この様子ならもう大丈夫だろう、縁があればまた会おう」


と言ってロンは去っていった。

正直この空気の中一人にしないで欲しかったがこれ以上甘えるわけにもいかないか。

ありがとうロン。



□□□□□□□□□□□□□□□



私はマナをベンチに座らせて遅刻した理由を聞くことにした。


「へーβから変更あったんだ。」


「そうなのよ、もう!仕方ないからなれる中で力の強い【獣人】にしたけどさぁ!」


マナはβテストのときに【鬼】でプレイしていたらしいのだが正式サービス時の仕様変更でなることができなくなったとのこと。


身長や筋肉についてはある程度融通が利くらしい(でなければ女性でドワーフなどになれない)が、極端に痩せ過ぎや太り過ぎの場合には選択できる種族が少ないらしい。


不健康なゲーマーに厳しいな、おい。


「あーもう…獣人の育成プランとか考えて無いよ!」


ネコ耳と尻尾をピンッと立てながら怒りをあらわにしている。可愛い。


私は苦笑しつつふと気になったことを聞いてしまった。


「そういえば、マナはなんで【鬼】になれなかったの?」


すると、マナは少しの間下を見た後に空を仰ぎ。


「…胸が…足りないんだってさ。」


うん、なんかごめん。



□□□□□□□□□□□□□□□



「そんな事よりだ!ナギにゃんの種族ってなに?見た感じ耳も角も羽も無いし、肌の色も普通だよね。」


マナが絶望状態から立ち直り私に聞いてきた。


そういえばランダムで選択したからわからないままだった。

マナの言うとおりで、わかりやすいパーツの類が私のアバターには無かった。

私の種族ってなんなんだろ?


「マナ、種族の確認ってどこでできるの?私ランダムで決定したからわからないんだわ。」


「…地雷と言われているランダムを選ぶとか、ナギにゃんどうせ『面倒だからこれでいいや』って、てきとうに決めたでしょ。」


マナがジト目を向けてくる。


失礼な、時間が掛かりそうだったからだ、それにシステムに勧められたからである。


「その勧めてくるのも含めて地雷なんだよ…そもそもβの時にもランダムはあったけど。βの時は好きな種族になれるからランダムで決定する意味がほぼなかったし。それでもチャレンジする猛者が居たけどアレは酷かったよ…今思えばアレのせいで種族決定の設定変更になったんじゃないかな。」


マナが遠くを見ながら、『ガチムチ妖精やメタボエルフ、幼女仙人が居てね…』と語り出したが長くなりそうだからまた今度にして話を進めてもらう。

正直最後の幼女仙人が凄く気になったが我慢しよう。


「あ、えーとね意識しながら口頭で【ステータス】って唱えるか頭の中で強く考えればいいんだよ。」


因みに他の人にも見えちゃうから注意するべし、とのこと。


「…【ステータス】。」


言われたようにしてみると目の前に半透明のウインドウが現れた。

便利だ。


「どれどれ、マナさんが確認してあげよう!」


マナがギュッと私に抱き着き肩に頭を乗せウインドウを覗き込んできた。

ネコ耳がピコピコと当たってくすぐったいが我慢してウインドウに集中することにする。


--------------------


ナギハ:女

吸血姫

クラス:

ランク:

LV :1


HP :40/40

TP :20/20

STR:8

TEC:4

VIT:4

AGI:5

LUC:6


武器 :ナイフ/攻+1

防具 :布の服(黒)/防+1

防具 :無し

防具 :無し


称号 :強運の持ち主

   :戯神の客人


--------------------


吸血…姫?吸血鬼じゃなくて?

あとゲームスタートしてすぐ(待ちぼうけはカウントせず)なのに称号もあるみたいだしどういうこと?


考えてもわからない、ここはマナに聞くことにしよう。


「マナ、吸血姫ってどんな種族なの?…マナ?愛美?」


何回か呼んだが反応が無いので仕方なく横を向くと目を見開いてマナが固まっていた、ビビった。


「マナ?」


私はもう一度呼びかけてみる。


「レ…」


「レ?」


レってなんだろう、と私は首を傾げると。


「レア種族キター!」


と大声で叫んだ。うるさい。


「マナ、うるさい。」


私が耳を塞ぎながらジト目でマナをみていると。


「えぇ!?なんでそんなに反応薄いの、レア種族だよレア種族!βの時からランダムで決定した場合にのみ低確率でレア種族になれるかも?って公式でもアナウンスはあったけど当たった人がいなかったんだよ。てかランダムにしたらほぼ酷い種族にしかならないから罰ゲームかネタプレイする以外に役に立たない地雷製造機だったのに本当に当たりあったんだ。」


やり込みで有名なプレイヤーの【ちくのうさん】すら『正式サービスでは普通にやります。』って諦めるレベルだったんだよ!と興奮しながらマナが語る。


知らん知らん誰だよその【ちくのうさん】って、早く病院行きなよ。

と言うかだ…。


「あー、マナさんや。」


「何?ナギにゃん。」


「…ものごっつい目立ってるんだわ。」


マナが『へ?』と言いながら周りに目を向け固まる。


だいぶ人も減ったがここは町の広場。


まだまだプレイヤーは居る訳で。


女の子二人組ってだけでも割と目立つのに二人とも見た目も良いためにさらに目立っていた。


ステータスウインドウを見るため二人が密着している状況が何か邪魔をしてはいけない空気があったのだが。

声を掛けたいが我慢していた男性陣と一部特殊な性癖をもつ女性達がチャンスを今か今かと伺っていたのだ。


そんな時にマナが叫んだものだから。


「おい、レア種族だってさ。」


「んー、ネコ耳の子は【獣人】みたいだしもう一人の子の方か…ってか二人とも随分とレベル高くないか?」


「3人でってのもアリね…連れ込めないかしら。」


「とりあえず声かける?」


その邪魔してはいけない空気よりも興味の方が勝ってしまったのだ。


いかん、この流れは良くない流れだ。

マナを待っていた時より酷いことになりそうである。

あと三人目のお姉さん、何がアリなの?何処に連れ込むつもりなの!?


「ちょっと静かな所でお話したいだけよ~?」


邪魔の入らない宿屋の個室でしっぽり…いや、ゆっくりとね。


後半がよく聞こえなかったが間違いなく碌な事にはならなそうである。

あと、さらっと心を読まないで。


アカン、これアカンやつや。


「マナ逃げるよ!」


「うぇっ!?」


私はまだ固まっているマナの手を掴み半ば引きずるようにしながらその場から逃げ出した。


あーもう!

私はまったりゲームをしたいんだよぉぉぉぉぉっ!

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