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4話

いやぁ実にいい天気である。


私天気の話ばかりしてるな。


さらに15分ほど待ったが友人はまだ来やしない、何してんだあの子(マナ)は。

暇過ぎてぶらついてみるかとも考えたがすれ違いになるのも嫌だし、何より何処に何の店があるかもよくわからないしなぁ。


結局今の私にできる事などただ待ち続けるだけである。


まぁ、今となってはこの選択を少し後悔しているが。




さて、ここで問題です。


VRMMOのサービス開始初日、最初の町の広場で1人ポツンと空を見上げて待ちぼうけしている女の子がいたらどうなるだろうか。



「君もしかして1人?良かったら俺達とパーティ組まない?」


「よ、良ければ僕達と一緒に遊びませんか?」


「君可愛いね俺と組まない?守ってあげるよ。」




答、勧誘(ナンパ)される。


予約が瞬殺だっとはいえゲーマーや廃人に女性が居ない訳ではない為、この『箱庭』にも女性プレイヤーは結構な人数がいるのだ。

が、そういう慣れているプレイヤーはこういった勧誘(ナンパ)を避けるために知り合いやその場ですぐに他の女性プレイヤーと早々にパーティを組んでしまうのだ。

そのためフリーに見える女性は希少であり勧誘競争になる。

誰だって男だらけのむさ苦しいパーティは嫌なものである。

ナギハ自身もマナ(バカ)さえ遅れていなければ回避できていたのだが。


「いえ、友人を待っていますので申し訳ありませんが。」


とスマイル付きでお断りをする。

無視や無愛想に対応してもいい事はない、ユーザーがかなりの人数いるとはいえ後々関わるかもしれない可能性を考えれば下手に出る、とまでは行かずとも丁寧な対応を心掛けるべきだろう。

ゲームとはいえ大切な事だ、相手も同じ人間なのだ話せばわかる…。


「えー?俺βテスターだからマジで役に立つよ?その友人も女の子?君の友達ならその子も可愛いんでしょ。あ、そーだなら俺も待つしその子も一緒にパーティ組めばいいじゃん?ナイスアイディアでしょ?」


常識のある人間には、と注釈が付くようだが。


うーん、どうすれば目の前の男性に話が通じるのか、というか話を聞け、ナイスアイディアじゃねーよ。


こっちは待ちぼうけで微妙にイライラしてるわ勧誘ウザいわで疲れてるんだよ。

確かにマナは可愛いよ、たまに暴走するけどそれも含めいい子だよ前に体育の着替えの時にいつもの仕返しに後ろから抱きしめてみたら真っ赤になって『にゃぁぁっ?』って反応した時は可愛すぎて危なく私も、成る程百合もイイかなとアブノーマルに傾きかけた位である……おっと話がそれた。


とにかくマナが可愛いのは確かだがだからといってこの馬鹿者と仲良くする理由にはならない訳で。


というか本気でしつこいなこの人。

いい加減怒ってもいいんじゃないだろうか。


「あのさぁ『やめないか』ん?」


私がナンパ野郎に怒ろうとした時、それに被せるように乱入者が。


「やめないか、彼女が困っているじゃないか。」


見えない、声は聞こえるのだが…


私が見回しているとナンパ野郎も声の主を探しているのが目に入った、見えないのは私だけじゃないらしい。

よかった、ウザ過ぎて幻聴でも聞こえたのかと思った。


「何処を見ている、私はここだ!」


「「何処だよ!」」


ナンパ野郎と声がハモってしまった。

気まずい、おいコラナンパ野郎ニヤニヤするなこっち見んな私は何もうれしくない。


「下だ!」


声に従い下を見る。


犬がいた。


「もう一度言うぞ、彼女が困っている早々に立ち去りなさい。」


犬がしゃべった!


□□□□□□□□□□□□□□□


あの後犬が威嚇したらナンパ野郎は逃げていった、それでいいのかβテスター。

いやまぁ居なくなってくれて助かるけど。


騒ぎの後私達は空いているベンチを見つけ座ることにする。

落ち着いたところで私は犬『ロン』に礼をする。


ロンは頭を横に振り。


「気にするな、ところで誰かと待ち合わせなのだろう?」


「はい、ぜんっぜん来ませんけどね…。」


なるほど、とロンは頷き。


「であるなら、その待ち人が来るまで私もここに居るとしよう…私が立ち去った後また同じことになりそうだからな。」


ロンがジロリと見回すと慌てて顔を逸らしたプレイヤーがいくらか確認できた。


「あはは・・・助かります。」


「構わないよ、私も首を突っ込んだのなら中途半端な対応はしたくないからね。」


こうして私は待ちぼうけ仲間を手に入れた。

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