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32話

「あー……怠いわ……」


はぁ、とため息をつきつつ私は『一人』で警備の詰所を後にしダラダラとホームに向かって歩いていた。


マーライオン後(あの後)、門番の方々に連れられて警備の方々の詰所にて事情聴取という名の注意…もといお小言をいただき。


後で改めて、ログイン時に――その場ですぐじゃない辺りやはりゲームなのだろう――ギルドに出頭するように言われ、何をするかはギルドで(出頭時に)教えてくれるらしい。


門番の人が言うには騒がしくしたのは良くないが別に悪い事したわけではないから注意された後に何か簡単な奉仕活動でもするのではないかとのこと。


まぁ、軽かろうと何だろうと怠いものは怠いのだが。


何より怠いのが先程も言ったように『一人』で私は詰所から出てきているところだ。


「それにしてもアヤ(あんにゃろう)上手く逃げたわね……」


クリエ(マーライオン)さんともども被害者扱いで先に帰りやがりました。


いやまぁ確かに走ったのも騒がしくなったのもだいたい私が悪いかもしれない。が、流石にえっちらおっちら2人を連れて草原を歩くのは怠るかったわけで…それに。


賑やかな声に誘われるように横を向くと多少過ぎたとはいえまだご飯の時間だからか、食事処と思われるお店は人が多く居た。


「あーダメだ……とりあえずとっととログアウトしてご飯食べよう、うん」


箱庭(こっち)ではピクニック気分で森にてご飯を食べたがリアル(あっち)ではハラペコな体がベッドに横になっているのだ。


いくらVRの技術が凄くてもデータをいくら食べたところでリアルのお腹が膨れるわけじゃなく、コレばかりはどうしようもないから急いでいたのだ。


まぁ、前に多少忘れたくらいなら大丈夫だったけど毎回そういうわけにもいかないだろうしねぇ・・・。


てな訳で、怠い怠いと言いながら、あんにゃろう(アヤ)に今度あったらどうしてくれようかと考えつつログアウトする。



――――――――――――――――――――



さて。


ご飯も食べた、さらっと家事も済ませた、したらば遊ぶかとログインしたナギハです。


ただまぁ遊ぶ前にギルドから呼び出し食らってるから顔出ししなきゃならない訳で。


えっちらおっちら歩いている訳で。


そんでギルドに着いたら着いたでギルド前ですごく良い顔した推定ギルドの職員のお姉さんがいた訳で。


すでにもの凄くバックレたいんだけどこれバックレたらニノマエで活動するのに支障が出そうだし、何より。


「・・・なーんかもの凄い笑顔で手振ってるんだもんなぁ」


職員だと思われるお姉さんにロックオンされている私に行かないという選択肢は無いようである。


「お待ちしておりました! ナギハ様ですね? ですよね? メイド服(そんな格好)で綺麗でスタイルも良い冒険者は見かけないので合ってますよね? ね?」


あきらめて近づく事にすると笑顔のスタッフさんがものっそいテンションで手に持った書類を見つつ本人確認。


すでに低かった私のテンションがさらに下がる事になる。


「うわ、ログアウトしたい(帰りたい)


と言うかどういう本人確認方法だよ、そのメモちょっと見せろ。


私の呟きが聞こえたのか、はたまた顔に出てしまったのかわからないけれど。


ギルドの職員さんがスススーっと近づいてきてガッシリと私の腕を取りながらギルド内に引っ張っていく。


「まぁまぁ細かいことは置いておいて! ささ、奥に奥に! 会議室の方にずずいっとどうぞ!」


おとなしくドナドナされつつ私が考えていたことは、「このお姉さんSTRくっそ高いなぁ・・・」とかいうどうでもいい事だった。



――――――――――――――――――――



そのままズルズルと引きづられていくのも目立つので途中からは自主的に歩きつつギルド内部の会議室へ入ったナギハです。


自主的に歩いているっていうのになんでかギルドのお姉さんは頑なに手を離そうとしなかったのはなんでなんでしょうね。


さすがに会議室に入ったら離してくれましたが。


「さぁさぁそちらの椅子に座っていただいて、はいそうです!そうです!その椅子です!良いですよー!あっちょっと帰らないでくださいよ!私も困りますけどナギハ様も困ったことになりますよ?そうですそうです人間諦めと素直さが大事ですよー。」


私が諦めて席に着くとギルドのお姉さんは私の向かいの席――ではなくなんでか横に座った。


なんでさ。


そんな私の訝しげな視線をスルーしつつギルドの 「あ、申し遅れました! 私はこのニノマエのギルドスタッフのリーナです!」 あー・・・リーナさんは話し始めるようだ。


「さてさて時間は有限!時は金なり!光陰矢のごとし!あ、コレは何か違いますね!? まぁまぁとにかくちゃっちゃかお話を進めちゃいましょう!」


「あ、はい」


「元気が無いですねー!?」


普通でないから。


「とりあえず、ナギハさんが取れる選択肢は二つです。」


リーナさんは指を二本立てながら話を続ける。


「一つ、私どもの依頼、もといペナルティを受けるか・・・それとも」


「それとも?」


ズビシと私を――正確には私の胸辺りを――指差しつつ。


「その装備を生かしたところで働くかですね?」


ニコリと微笑みつつなにやら不穏なことを言い出した。

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