3話
お爺ちゃんとのお話を終えた私は最初の町の広場に立っていた。
天気は快晴。
素晴らしいの一言につきる美しい青空が広がっている。
ゲームとは思えない、いや昨今の大気事情から考えればゲームだからこそ、と言えるだろうか。
最近担任|(38歳独身)の頭部の砂漠化が進んでいる事からも地球の大気汚染具合がヤバイ気がする。
コスモクリーナーの早急な開発が必要だろう(植林のほうが早いか?)。
なんにせよ今まさに電気をガンガン使ってゲームをしている私が言うことではないか。
さて、なぜ私が地球環境と担任の頭皮という壮大なテーマで無駄な時間を使っているかというと。
ぶっちゃけ友人がいつまでたってもログインしてこないのだ。
本来ならば私も他のプレイヤー達の様に。
早速レベル上げに行こう!とか、パーティ組みませんか?とかこの『箱庭』の世界について友人と感動を分かち合ったりしているはずなのだ、そう本来ならば。
「……お爺ちゃん込みだとしても流石に遅過ぎやしないかねぇ、アバター弄れないんだからキャラ作成に時間かかるはずも無いし。」
そう、このゲーム『箱庭』では開始前にアバターの外見をユーザー側で弄って作成する、という作業が一切無い。
ユーザーは事前に『箱庭』で必要となるデータをVR機器を通しゲーム会社に送り基礎となるアバターを作成してもらうのだ。
これは、性別・身長・体型等々を現実の体とかけ離れたものに設定してしまう事により脳がパニックに陥る事が無いようにするための処置…
と言うユーザーの事を心配したものでは一切無く、他人のデータや性転換してのプレイするなどを防ぐためではないかとユーザーの間では言われているらしい。
何故なら公式サイトに
『ネカマは死ね』
と、デカデカと書いてあるのだ、製作陣の過去に何があったんだ。
さておき
アバター作成という時間のかかる部分が省かれ、ならキャラ作成で何をするんだとなる訳だが。
私もやっていたように、名前を決める以外には種族を設定するだけである。
MMOなどで定番の【スキル】は初期にランダムで配布、その後は売り場で買うかゲーム内部のイベントで獲得する。
そのため、時間が掛かる訳が無いはずだよなぁとナギハは首を傾げる。
急いでいるから、とランダムで決定したため公式が正式サービス時になって施した鬼畜設定に気づいているはずが無い。
実は事前に送った身体データにより『なることのできる種族』が設定されるように変更が入り、その範囲からユーザーは選択することになるのだが。
公式はこの変更について一切事前にアナウンスはしていない|(βテストでは好きな種族になれた)。
そのため、なろうと思っていた種族にゲーム開始当日になることができない気づかされ途方に暮れるユーザーが続出、ナギハの友人であるマナも被害者の内の1人であった(マサは遅れるって言ってましたし)。
「……遅い。」
そうとは知らないナギハが友人と合流するのにはまだまだ掛かりそうである。
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後日、公式サイトには
『ガリガリなドワーフ、デブなエルフ、ガチムチな妖精を見たい奴は居るだろうか、少なくとも私は見たくない。』
と『ネカマは死ね』の下に追記されていたとかなんとか。