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24話

「やっと魔法が使えるーっ!」


こんにちは、微妙にテンションの高い私ことナギハです。


いやー、魔マスタリーを取得したら魔法も使えるかと思ったら魔法スキルは別に取得しなければならなかったり、魔法スキルを取得したらしたで『発動体』が必要ですという無慈悲なアナウンスに地味にへこんだりと散々な感じだったのだ。


せっかくキャラ性能的にTECがSTRよりも高いのに魔法スキルが無いとか地雷プレイヤーか? と言われても言い訳の出来ないところだった。


「いやまぁ……普通の人はクラスアップに行く前に気づくとか、そもそも説明を受けているはずと言いますか。ナギハさんのステータスならまず確認すると思のですが」


「しゃらーっぷ!そういうのは初期レベル初期装備初期ステで何も確認する暇も無くゴブリンと戦闘に叩き込んでくれやがったマナに責任があるのでそっちに言ってください」


間違いなくマナ(アレ)のせいである。


マナのせいだよね?


マナのせいだと良いんだけどな。


「あー、喜んでいるところ悪いんだが会計していいか?」


私がマナのせいであると確信? したあたりで親方さんが話しかけてくる。なにやら待たせてしまっていたようである。


「あ、すみません」


「いやいや、気持ちはわからんでもないからいいけどな。 んじゃまぁ、防具の方が全部で20480なんだが……発動体はどれにするんだ?」


んー腕輪でも指輪でも買えなくはないんだけど……どっちがお勧めなんだろうか?


「親方さん的にはどっちが良さげです?」


「んー、魔法つかわねー俺に聞かれてもなぁ……まぁ嬢ちゃんなら腕輪の方が良いんじゃねーか?指輪より丈夫だしよ。」


「なるほど、じゃあ腕輪で計算してくれますか?」


実際問題丈夫かどうかの点はゲーム的に――武器や防具に耐久値が設定されていないみたいだし――まったく意味がなさそうなのだが後々修正が入る可能性もあるかもだしここは丈夫なほうが良いだろう。


「おうよ、じゃあ腕輪で計算するな。あぁ、それに前みたいに素材があるなら相殺もできるがどうするんだ?」


「前と同じでゴブリンの素材だけれど良い?」


私はインベントリを弄り、中の素材をだしつつ親方に確認を取ることにする。


「おう、良いぜ……っておいおい、なんか多くねぇか!?」


もりもりとインベントリからカウンターへと素材を置いていく。


「んーあれからちょっとねー……っと」




――――――――――



牙126個

角63個

勾玉11個

ガラクタ179個

ゴブリンメイジの杖1個

『ゴブリン』3個



――――――――――



「いやー張り切っちゃって、計算お願いします」


「張り切っちゃってで済ますなよ嬢ちゃん。弟子にギルド行かせて依頼下げさせなきゃならねぇなこの量だと」


「あー、なんかすみませんね」


「いや、いいんだけどよぉ」


しばらくゴブリン素材はいらねぇや、とブツクサ言いながら親方さんは会計を進めていく。


確かに言動とは裏腹に顔は怒っているようには見えないのでどちらかといえば機嫌がいいのかもしれない。


少しして計算が終わったのか親方さんがこちらに向き直る。


「うっし、牙が10080、角が7560、勾玉が5500、ガラクタが3580であわせて26720エンだな」


相殺どころかだいぶプラス収支になりそうであり、コレなら指輪も買えなくは無いがまぁいい、そんなことよりもだ。


「あれ、親方さん、杖と『ゴブリン』の値段は?」


「あぁ、それがな『ゴブリン』はウチでは買い取りできねぇ。値段が俺にはわからねぇからなぁ、ただまぁたぶんだが何処で売っても同じだとは思うぜ?」


なるほど、『ゴブリン』は所謂、『エリクサー(買取は安い)』扱いか『大事な物』扱いってことになるのかな?


私が頷いているのを確認すると親方さが話を進めた。


「後こっちの杖なんだがな、いちおう買い取りするとしたら10000エンなんだがよう」


「おぉ、高いじゃん!」


「あぁ、高いんだがな?」


「うん、うん?」


親方さんが残念そうなものを見る目で私を見てくる、なんだよ、そんな目で見るなよ。


「いやな?この杖をエルフの嬢ちゃんにそのまま渡せば良いんじゃねーかなぁと俺は思うわけなんだが……どうよ?」


「……あ」


その発想は無かったわ。



――――――――――



と、言うわけで親方さんから杖を回収しアヤに持たせてみることにしたのだが。


ゴブリンメイジの杖は仙人がよく持っているような杖の先の方がコブの様に太くなっている見た目のため――


「アレだな」


「アレですね」


「アレなのですか?」


ぶっちゃけ今のアヤの装備と合わさると微妙すぎる。


杖の先端に宝珠でもついていればまだ良いのかもしれないが見た目魔法少女で武器だけガチな魔法使いルックでコレジャナイ感がヤバイ。


「まだローブ装備だったら合うんだろうけどなぁ」


「コレばっかりはしょうがないですかねぇ」


パーカーな上にネコミミつきでは難しいところだろう。


「まぁ、武器としての性能はかなりいいみたいだし見た目はこの際諦めるしかないんじゃねぇか?」


うぅむ、親方さんの言うとおり性能は初期に手に入るものとしては――初期でこのドロップを取りにいけるかというと疑問ではあるが――かなり良いもののようではある。



――――――――――



ゴブリンメイジの杖


攻撃+5


TEC+5 TP+15


ゴブリンメイジが使用していた杖。精神力、魔力が共に上昇する効果を持つ。


見た目の割には結構軽い。



――――――――――


「まぁアヤが嫌じゃないなら私はいいんだけど、どうなん?」


「別に見た目に関しては私は何でも良いと言いますか……というか貰っていいんですか?どう考えてもレア装備ですけど。」


まぁ序盤の店買取で10000って事はかなり高額だし間違いなくレアだろうけど。


「ぜんぜん良いけど? 私持ってても使わないし」


基本的に私は剣士な訳で、杖は装備しない――だからまぁ腕輪を買ったのだし――レアだろうと何だろうと取っておいても仕方が無いのだ。


「それに倉庫に入れといても仕方が無いじゃん?売るくらいなら使う人に渡すほうがいいしね」


「ありがとうです!」


お礼の言葉と共にアヤが抱きついてきた。


なかなかにアグレッシブな感謝の気持ちの表し方に多少面食らったが喜んでくれているのであれば何よりである。


何故か「うへへへ」って声がアヤから聞こえてくる気がするのだが気のせいだろう。


私の胸に埋もれているアヤの顔から聞こえているように思えるのは絶対に気のせいだと思いたい。


ましてやぐりぐりと私の胸を堪能するように頬ずりしているはずが無い。


無いったら無いのである。


――――――――――


お会計もすまし気持ち悪い声を上げ始めたアヤに肘鉄を入れて正気に戻し、『金床』を後にした私たちは次の目的地である生産道具を扱っているというお店『クリエ』に向かうことにする。


「親方さんの説明だとこの辺りだと思ったんだけど……はて?」


見たところ確かに雑貨屋っぽい店や食材を扱っている店などはあるのだが、どれなのだろうか?


「はて? って声に出して言う人初めてみたですよ」


「人の胸に顔うずめてうへへっていう奴も私は初めて見たけどね……っとアレか……な?」


私の視線の先にはそっれぽい店があった。


どれくらいそれっぽいかというと。


生産に使うと思われる道具や素材がやたらめったらおいてあるのだ。


「鍋、釜、すり鉢にフラスコ……なんともカオスなくらいに積み上がっているわね」


「何で崩れないんですかね? あ、かろうじて看板が見えるですよ、えーと……アトリエ『クリエ』って読めるです」


できれば違って欲しかったのだがどうやらここらしい。


親方の紹介だし問題は無いのだろうけど不安で仕方が無い。


「……とりあえず入ろうか、たっていてもしょうがないし」


「ですかね……ただ」


うん


「「これどっからはいるんだ(です)?」」


入り口と思われる場所にまで詰まれた商品?のせいで入れそうに無いのだがどうすればいいのだろうか。

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