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2話

サービス開始当日、私は昼食を済まし家族との団欒もそこそこに自室に戻ることにする。

今日は休みらしい父が構って欲しそうな目を向けてきたがスルー、家族サービスは母に任せよう。

娘は散った友人の父のためにも行かねばならぬのだ。


メールでマナから『行くぜ!』マサから『遅れるわ。』と着ていた。

相変わらず簡潔なメールである、私もか。


時計を見ると正午まであと少し。

VR機器を装着し起動していれば丁度いいだろう。



□□□□□□□□□□□□□□□



正午、『箱庭』のサービスが開始された。

私はゲームをスタートしオープニングをスキップ、早速キャラ作成に入る。



【名前を入力してください】


「名前は【ナギハ】っと種族は何にしようかな?」


結構な量の種族があるようでどの種族にもメリットやデメリットがある。

唯一【ヒューマン】だけは『全てを平均的に習熟できる。』というメリットでありデメリットがあるらしい。

流石に器用貧乏は面白くなさそうなので却下だが。


友人を待たせる訳にもいかないため時間があまり無いのだが…昨日のうちにある程度調べておくべきだったと後悔していると、ポン!という音とともにシステム側からメッセージがきた。



【お悩みでしたら『ランダム』など如何でっしゃろ?】



あ、それでお願いします。


システムの口調が気になったがめでたくキャラ設定が終わったのだった。



□□□□□□□□□□□□□□□



システムに良いゲームを!と見送られ。


ゲームが始まったらしい。


らしいというのは現状何をすればいいのかまったくわからないのだ。


普通のMMORPGならチュートリアル開始、それか始まりの町に転送されたりするものだろう。

チュートリアルなら説明キャラが、始まりの町ならば他のプレイヤーが居るものなのだが。

現在の私は1人で何も無い真っ暗な空間で椅子に座っている、椅子があるじゃねーかとか突っ込みはかんべんして欲しい。


「実はまだオープニング…とか?」


だとすれば早く何らかの動きが欲しいものだ、流石に真っ暗は無いだろうよ運営。

私は平気だけど怖がる子とかいると思うぞこれは…私は平気だけど。

などと考え事をしていると。


「ようこそ、美しいお嬢様。」


目の前にいつの間にかテーブルと椅子が現れ老人が座っていた。


「ど…どうも、お邪魔してます?」


少々驚いたために最後が疑問系になってしまった。


「これは申し訳ない、驚かせてしまったようだ。」


私は気にしてないことを伝え、突然現れた老人にここは何なのかを尋ねた。


老人が答えてくれた事をまとめると。



①ここは選ばれた者だけが訪れることができる場所である。


②老人は訪れた者に祝福を与えるために此処に居る。


③話が終わり次第後ろの扉(さっきまで無かった)から他のプレイヤーが居る町に出る事ができる。


④最後まで話を聞いてくれてありがとう。



うん、まとめの④いらないね。


そんなことより今何時かわからないけど結構話していたし割と時間がやばい気がする。


「おお、すまんな急ぎで祝福を与えよう。」


そう言って老人は虚空からカードを取り出しテーブルに置いた。


私は手に取って見せてもらう事にする、様々な絵柄のカードがあるのが確認できた。


「ありがとうございます。」


先程も言ったように私は急いでいるのだ、カードの内容の確認は後でもいいだろう。

私は全てのカードをありがたく頂戴し老人に礼を言って扉から外に出ることにする。

最後にふと気になって老人の方を見たら固まっていたのだが何かまずっただろうか…。



□□□□□□□□□□□□□□□



ナギハが出て行った後の部屋にて


「はっはっはっは!まさか全部持っていかれるとは思わなかった。」


「宜しかったのですか?お爺様。」


そこには老人と少女が居た。


「本来なら良くは無いな。」


「では、今からでも回収を?」


「よいよい、放っておけあくまでも本来ならば、だからな。」


少女は理解できないと首を傾げている。


老人はニヤリと笑い。


「あのカードは此処に訪れた者の可能性を具現化した特殊な物でな、いくら選ばれたものとはいえ1枚しか持てない、いや持って出る事ができないはずなのだよ。」


「でもあの人は。」


「そう、全部持って何事もなく出て行きおった。」


「凄い事…ですよね?」


「良くも悪くも、だがね。」


少女は「悪いのですか?」とまた首を傾げる、そんな少女を見て。


「なに…あの客人は面白い、それがわかれば良いのだよ。」


そう言って老人はまたニヤリと笑うのだった。

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