14話
短いですがとりあえず生存報告としてあげておきます。
世の中なかなか思い通りには行かないものであるが、なんでまたお約束と言われる事や悪い事に関してはこうも思ったようにいってしまうように感じるのだろうか。
おそらく、良いことよりも悪い事の方が印象に残りやすかったりするからなのだろうけど。
まぁ、とりあえず今は。
十秒前の私を説教したい。
「居たぞー!」
「貴女達がユニークを倒したPTなの!?」
「ロリエルフぺろぺろ。」
ホームから出てすぐに近くにいたプレイヤー達に囲まれたのだ。
冷静に考えたら掲示板で話題になってたらそりゃ探しますよねー。
さよなら平穏、こんにちは面倒。
少し現実逃避をしたくなったが、そんなことをしていても状況は良くならない。
それに、この数のプレイヤーに囲まれているために怖いのか(特に最後の奴)アヤも私の背中に隠れてしまっているし。
諦めて取り囲んで好き勝手に騒がしいプレイヤー達をどうにかしますか。
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「はーい、静かに。」
あーだこーだ騒がしいプレイヤー達が多少落ち着いたのを見計らい私が話し出すとプレイヤー達が騒ぐのをやめたのでそのまま話し続ける。
「よし、悪いんけど私達にだって予定があるのはわかるわよね?だから質問に答えるまで囲んで逃がさないとか巫山戯た質問だったらその時点でさよならするからそのつもりでね。後、苦情は一切受け付けないから、良いわね?」
私は周囲のプレイヤーをぐるりと見回し、文句が無いのを確認する。
「了承とみなすわね。じゃあ貴女からどうぞ?」
ニッコリ笑いながら前の方に居た、よく知っている女の子に話すよう促す。
「おっはよーう!ナギにゃんもしかしてまた胸大きくなっぁぁぁぁ痛い痛い痛い痛い!」
他のプレイヤーが呆気に取られている中。笑顔のままで、目の前に居るマナにアイアンクローを決める。
ある意味期待通りの働きをしてくれた友人に対してアイアンクローはどうなのだろうか?とも一瞬考えたが。
まぁソレはソレである。
さておき、予定通り巫山戯た質問がきたので。
「それじゃあ皆様先ほど言いました通り、巫山戯た質問が出ましたので私達はこれで失礼しますね?」
行くわよ、と背後のアヤの手を握りつつ、もう片方の手でマナの顔を握りつぶしながら、私達は呆気にとられ固まってるプレイヤー達から逃げ出した。
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プレイヤー達から逃げることに成功した私達は、当初の予定通りに生産ギルドに居た。
「いやぁ、助かったわありがとうマナ。」
マナの顔とアヤから手を離しつつ私はマナにお礼を言う。
手を離す際にアヤが少し残念そうにしていたがどうしたのだろう。
「どういたしまして!ってか、私の顔大丈夫?部位破壊されてたりしない?」
マナがそう言いながらグニグニと顔を弄りながらこちらに向けてくるので。
「うん、目と鼻と口と毛が付いてるから問題ないわよ。」
「余計に心配になったんだけど! まぁ、いいよ。それでそっちの可愛いエルフの子は何処から攫ってきたんだいナギにゃん?」
マナがさらっと失礼なことを言ったのでとりあえず目潰しをしする。『目がー!目がー!』と痛みで転げまわるマナを無視しつつ紹介することにする。
「アヤ、そこで転がってるのがマナって言ってリアルでの友人。マナ、この子はアヤ、昨日の夕方からPT組んでるわ。」
「は……はじめましてアヤです、よろしくです。」
「くおおお……マナです、こちらこそよろしく。」
二人が挨拶し終わったところでマナが昨日のことを聞いてきたので説明することにした。
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「にゃるほどねー。ところでナギにゃん、この情報掲示板に書き込んでもいいかな?たぶんだけど少しでも情報が出ればさっきみたいに囲まれることも減ると思うよ?まぁ流石完全になくすのは無理だろうけどね。」
私が説明(キス云々は省いて)を終えるとマナがそう聞いてきた。
「私は別に構わないけど…アヤは?」
「わっ私も問題ないです。お願いします。」
アヤの了承も取れたのでマナに掲示板に書き込みするのをお願いする。
「了解、了解、じゃあ書き込んでくるね。すぐに反応はあるだろうけど今日は一応ギルドでおとなしくしておいた方が良いと思うよー。」
「ありがとう、すっごく助かる。」
「何言ってんのさ私とナギにゃんの仲なんだから気にしない気にしない。んじゃ書き込みついでに他の人にも協力して貰うから私は行くよ。」
じゃあねー、と言いながらマナが去っていくのをアヤと二人で見送る。
「いい人ですね、マナさん。」
「うん、自慢の友人だよ。……ん?」
私が自信を持って答えているとマナがもの凄い速さで戻ってきた。
何か伝え忘れたことでもあったのだろうか?
「ナギにゃんナギにゃん大切なことを忘れていたよ!」
「うん?」
あれだけの速さで戻ってきたのだから相当に大切なことなのだろう。
そう思ってマナの次の言葉を待っていると。
むにゅんっ
「あー、やっぱりナギにゃんのコレをしないと落ち着かないわぁ。」
マナの手が私の胸をガッチリとホールドしムニムニと弄り始めた。
何してるんだろうかコイツ。
さっきまでのいい感じが台無しである。「私の自慢の友人」発言の後にコレだ、なんだよ自慢の友人かと思ったら自慢の変態じゃねーか。
私がとりあえずこのバカを殴ろう、力の限り殴ろうと思っているとアヤが「何してるんですか!」と叫び。
「そんな羨ま…いや、けしからん事を! こうなったら……。」
むにゅうっ!
「私も揉みます!」
いや、その結論はおかしい。
「こらっ!ナギにゃんの胸は私のだよっ!」
「いいえ私のです!」
ギャーギャーと騒ぎながら人の胸をグニグニグニグニと好き勝手に弄る二人に。
「私の胸は私のものだこの馬鹿共がぁぁぁ!!」
流石にキレた。
後日、その様子を見ていた他のプレイヤーによって掲示板に『キレると怖いので勧誘やちょっかい掛けるのは程ほどにするように。』と書き込みがなされ、結果的に私達にちょっかい掛けてくる人が減ったのだった。




