13話
仕事始まって生活サイクル変わっちゃって更新遅れました。
「…ん。」
自室のベッドで目が覚めた。
昨夜はいつ『箱庭』からログアウトしたのだろうか…記憶が無い。
ただ、こうしてベッドで目が覚めるということは少なくとも寝る前の私はちゃんとログアウトはした様である。
ログインするのに若干の不安があるが流石に初日で投げ出すのもどうかと思うので
早々に
さて、身だしなみと朝食を済ませたらまたログインしようかな。
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朝食を済ませ『箱庭』にログインした私が最初に目にしたのは土下座をしている少女だった。なぜか下着姿で。
なんでまた私は2日連続して知り合いの土下座なんぞ見なければならないのか?
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!魔が差したというか唆されたといいますかなんと言うかもう本当にごめんなさい!」
まず落ち着いて欲しいものである、一向に話が見えないのである…私も下着姿なところとか。
「ごめんなさい、アレですか!?切腹しますか!?」
いや、切られても困るしそれリスポーンするだけだよね。
「じゃあえーとえーと……。」
真剣に考えてくれているようだが個人的には気にしていない…というよりもこのままその話題には触れないほうがお互いのためなのではないか。
と言うか人として服をまず着よう、そう私が思い至ったとき。
アヤが『そうです!』と何か妙案を思いついたようだ。
「責任を取って結婚します!」
「落ち着けぇぇぇぇぇ!」
スパーンと小気味良い音がニノマエの朝に響いた。
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アヤの頭を引っ叩いて正気に戻した後、とりあえず服を着た。
それだけでも大切な何かを取り戻せた気がして心に平穏が訪れるものである。
何言ってるのか自分でもわからないけど気にしない、こういうのは感覚が大事なのである。
「昨夜の事は結果的にモンスターも倒せたようですし、お互い無事で良かったって事で済ませましょう?謝罪だ何だって言われても私も困っちゃうし……。」
「……わかりました。」
アヤはまだ少し気にしてるみたいだけど悪意があってやったことではないでしょうし。
「そういえば、アヤが宿屋に運んでくれたの?大変だったでしょうに。」
昨夜の記憶があるのは草原までで気がづいたら宿屋の一室で下着姿、とか字面だけ見たら最悪である。全裸じゃないだけましだが。
「いえ、宿屋じゃないですよ?ココ。」
「え?」
じゃあ一体ココはどこなのか、ギルドの部屋には見えないし…。
アヤがどこから説明すればいいですかね?と聞いてきたので【隻眼の人狼】を倒した後からで、と頼むとアヤが何やらモジモジしながら説明が始まった。
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「えっと、もう一度ナギハさんにキスして『そこはカットで。』……はい。」
何故、残念そうな顔を向けてくるのか私には全っ然わからないので話を進めてほしい。
「……討伐後にアナウンスで、東の草原の先のマップ【デンジャの森】の開放とプレイヤーのマイホーム購入、マイホームが購入可能になるとともにギルドの作成も可能になりました。」
「へぇ、新マップ開放されたんだ。」
デンジャの森はβの時に【隻眼の人狼】が討伐されていなかったために情報が全く無いらしくどのプレイヤーも今のところ様子見状態らしい。
それでも何人かは特攻してみたらしいが、そもそも【隻眼の人狼】を討伐してることが前提のフィールドだけあって調査は全然進んでいないとか。
ついには掲示板で『気になって仕方ないから討伐者が責任持って調査してくれないかなー(チラッ』という状態らしいが。
知らんがな、そもそもまともな手段で倒したわけでも無いので私だってレベル足りてるかわからないし。
と、私が考え込んでいるのに気づいたのかアヤが説明を中断していた、私は「ごめん、続けて。」とアヤにお願いする。
「はい、マイホームが購入可能となった話に繋がるのですが【隻眼の人狼】の初討伐ボーナスがありまして。」
これです、と言いながらアヤがインベントリからアイテムを取り出して見せてくれる。
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【マイホームの鍵】
ニノマエ居住区にあるマイホームの鍵
※譲渡不可
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「たぶんなんですけど、ナギハさんも同じものを持っていると思いますよ?」
言われて自分のインベントリを覗くと確かにマイホームの鍵があった。おそらく討伐PT全員に配られるものなのだろう。
「コレと【帰還石】っていうアイテムがあったんですけど…すみません【帰還石】は使っちゃったんでお見せすることが出来ません。」
なんでも、【帰還石】は使用すると使用者のリスポーン地点にPT全員で転送されるという素敵アイテムだとか。
昨夜私が動かなくなった事に気づいて途方に暮れているところでインベントリにある【帰還石】に気づき使用したところマイホームに転送されたということらしい。
本来アヤも私もリスポーンするとしたら宿屋かギルド、もしくはニノマエの広場のはずなのだが、どうやらマイホームを取得した段階で半強制的にリスポーン地点に設定されたようだ。
なるほどね、と思っているとどうやら話にはまだ続きがあるらしい。
「それで…その、【転移石】を使ったらなぜかベッドの上に転送されましてね。」
「うん。」
「丁度いいなって思って動かないナギハさんをベッドに横にして。」
「うんうん。」
「それで、横にしたところでその…防具を装備したまま寝るのは何かおかしいと思いまして。」
「うん?」
「すると何処からともなく『アヤ、貴女の思うがままに進むのです。』って草原で聞こえた声が聞こえて。」
「……。」
「そう、おかしいと思うので脱がしました!」
「なんでだよ!」
「私も脱いだんで問題ないです!」
「大問題だよ!」
「そして柔らかかったです!」
「おうコラ、ちょっと座れ。」
ちょっとお話しようか。
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アヤに朝から説教した私は自分は何のために『箱庭』をプレイしているのかわからなくなりそうだった。
このままでは友人にセクハラされる為にやってるんじゃねーかあの人、とか言われそうである。
もしくは説教するため。
流石にそんなレベルの高い性癖は持ち合わせていないのでどちらも勘弁して欲しいものである。
とりあえずお話も終わったしいつまでも部屋にこもっていても仕方が無いので出よう。
さて今日の予定はどうしようか。
「アヤ、今日はどうするの?」
「……ふえ?今日ですか?」
なんで『コイツ何言ってんの?』と言わんばかりな顔なのか。
「いや、普通に今日の予定聞いてるんだけど?特に無いなら一緒に採取に行くかい?」
「あぁ、すみません。昨日今日とやらかしていたのでこのままお別れかと思ってましたので。」
あぁ、なるほど。
「さっきも言ったけど昨日のは仕方が無かったんだしいいでしょ?それに今朝のも別に絶縁するような話じゃないでしょうに。」
世間一般的にはどうかは知らないが。
幸運…いや残念なことに会えばほぼ毎日セクハラを働いてくる友人が居たら耐性もつくものだ。
「謝ってくれたしそれでいいわよ。それでどうする?」
私が改めて聞くとアヤは少し悩んだよう後。
「ありがとうございます。でしたら昨日採取した分を調合なり何なりしてしまいたいのでまず生産ギルドに行きたいんですけど良いですか?ナギハさんもモンスタードロップの素材かなり溜まってるでしょうし。」
おぉ、確かにさっき鍵を見た時には気にしてなかったけどかなりの量があるな。換金なり何なり済ませてしまおう。
「了解、じゃあ生産ギルドから行きましょう。後はまぁ着いてから考えましょうか。」
「はい!」
やる事が決まった私たちはホームを後にする。
今日は面倒がありませんように。
少し考えてから。
これフラグじゃね?と気づいたが早々そんなことあるわけ無いよね。




