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語部まくらは”バカ”である。

俺の名前は、語部袴かたりべはかま。しがない高校二年生である。もっと言えば、友達少ない系少年である。そして現在2019年7月18日木曜日9時30分。俺が待ちに待ちに待った日であり、今か今かと、某電気屋の長蛇の列に並んでいる。何故なら、本日は、あの待望の、新作VRMMOである。『Ideal Infernos Online』の発売日だからである。学校?知らん。1日2日休んだ程度で揺るぐほど、俺の高校一年間のぼっち生活は伊達ではない。

「あと30分かぁ!待ち遠しいなぁ!」

そう騒ぎ立てる声の主は、俺の妹、語部まくらである。俺より少し小柄な体格と、整った顔立ちをしているため、この場にそぐわない空気を放出しまくってしまっている。学校?サボリだよ。

「いやぁ、ほんとにな!ちなみに、お前ら最初のSPスキルポイント、何に振るの?」

そうして、妹に合わせて燥ぎ立てるのは、相槌手打あいづちてうち。俺と同身長のすこし飄々とした空気を漂わせる男である。ちなみにこの男も、ここの空気に沿っていない。

そしてこの相槌の言う『最初のSP』というのは、このゲームの特徴的な要素の一端である。

このゲームは、キャラメイキングの際、12ポイントのSPが与えられる。それを、体力(HP)、マナポイント(MP)、物理攻撃力(STR)、対物理防御力(VIT)、魔法攻撃力(INT)、対魔法防御力(MND)、俊敏性(AGI)、、器用さ(DEX)、の何れかに、ふりわけるのである。

「まあ、無難に体力、攻撃力、俊敏性に4ポイントずつかなぁ。」

と、俺は無難な答えを返すが、本当は違う。だって、んなこと言ったらこいつら、確実に文句言ってくるし。

「やっぱお前は物理型か。」

そう相槌をうつ相槌。本人もこれでイジられて、結構トラウマらしいけれど、心の中で思う分には、相手を傷つけることはないのである。それより、

「やっぱりって何だよ。やっぱりって。」

「いや、白津しらづの魔人だし。」

「うるさいぞ愚妹。人の黒歴史を抉るな。」

「黒歴史ってか暗黒時代でしょ?中学上がった途端に、瞬く間にこの辺の不良屈服させて、この街を混沌に貶めたのはどこの誰よ?」

「うぐっ・・・・」

ちなみに、俺が高校一年間、ぼっちであった所以の一端であったりもする。

困った。これはなかなか不利である。

「じゃあお前らは何に振るんだよ?」

ここは話題を即座に変えることが上策かと思い、急遽話題を交換する。

「お前と同じだ。」と、相槌。

うん。まあ無難だな。バランス取れてるし。しかし、問題はこいつである。

「STR極」

とかぬかしやがったこいつである。

「おまえは本当に愚妹だったわけだな・・・・。」

バカだ。こいつ恐らくというか確実にバカだ。恐らく脳みそが、同じタンパク質でも、神経ではなく筋肉で出来ていやがる。こいつ本当にVRマシン使えるんだろうな?

勿論これには、相槌も唖然としていた。うん。分かるぞ。その気持ち。

「お前、防御とかどうするつもりだよ・・・。」

「剣で捌く!」

と、堂々と腕を高くに掲げて言うこいつを見て、つくづく思った。こいつとPT組んでいくのは拙いなと。いや、確かに祖父ちゃんのおかげで、俺とこいつには武術の心得はあるけれど、流石にそれはない。モンスター相手にそれはない。

まあ、ゲームだし、気楽に組むんですけど。

そうしている内に、視界の右上に表示されている時計は、いつの間にか10時を示していたのであった。

忘れていたマナポイント(MP)を追加。

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