表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/19

勇者まくら。

2019年7月20日土曜日午前10時36分。

「悪い。待たせたな。」

と、声をかけたが、我が愚妹以外は呆然としていた。

「あはははは。はやかったね。」

そう言って笑い飛ばすのは我が愚妹である。

「ま、殴ったのは四発だけだからな。」

「いや、四発で倒せる時点でもうおかしいでしょう?」

「いや、多分お前も似たようなことできるぞ?STR極だし。」

「いやぁあたしの場合は、属性ダメージが無いから、ああはいかないよ。」

「そういうもんか?」

「そういうもの。ほら皆起きてー。狩り行くよー。」

まくらがそういって、パンパンと、二回手を叩くと全員はっとなっていた。

最初に口を開いたのは、アカリさんだった。

「えっと・・・あー。討伐おめでとうございます。」

「あぁ。ありがとう。皆より大分遅れちゃったみたいだけどな。」

「いや、あたしたちもたおしたの昨日ですし、気にしなくていいと思いますよ?」

「そうか。それなら良かった。んじゃ、行きますか。第二の町へ。」

そうして、フィールドの中央に現れていたボスゲートを、皆で潜るのだった。




ボスゲートを潜ると、アラビアだった。いや、これでは少し語弊があるな。正確に言えば、アラビアンナイトの世界だった。盗賊アリババとか、アラジンとかが出てきそうな感じって言えば、わかりやすいだろうか?オアシスの近辺に栄えているようで、所々にヤシの木のような高木が見受けられた。

「んじゃれっつごー!」

「ういうい」

無駄に元気だなぁこの妹。

そうして俺たちは歩を進めた。

「って、皆俺のスキルのことは聞いてる?」

道すがらに、そんなことを聞いた。

「聞きましたよー。随分と規格外なスキル持ってますね?」

「まあね。」

ちなみにこのスキルというのは、【災禍の中心コーリング・ディザスターのことである。

「なら話が早い。俺は十秒間、セーフティエリア外で吊っ立っていると、大量のモンスターがPOPする。んで、そのでてきたモンスターは、俺以外は攻撃しないから。俺が捌いている間に、横合いから攻撃してくれ。おーけー?」

「「おーけーおーけー!」」そう返事したのは、アカリとまくらだった。仲良いなこいつら。

「ところでハカマさん?」

そう問いかけてくるのはアカリさんである。

「何ですか?」

「その子はなんですか?」

恐らくルーシーのことだろう。

「あぁ。ルーシーってんだ。ゲーム内での扱いは『眷属』ってやつらしい。詳しいことは、分かってないから開示できないけどな。」

「へぇ・・・。触ってみても?」

「できるもんなら。」

「ムっ。なんか挑発的ですね。いいでしょう!やったりますよ!」

そう言って、アカリさんはルーシーに手を差し伸べるが、ルーシーは俺の左肩から、右肩へ移ることで回避した。

「むっ!?」

そう言って、もう一度俺の肩へと手を伸ばすが、またしても回避される。

「むむむーっ!?」

「ダメみたいだな。」

流石『プラウド』と名に冠するだけのことはあるようだ。

「「むむむむむむむーっ!」」

いつの間にか、我が愚妹も参戦していたことをここに追記しておく。


2019年7月20日午前10時46分。俺たちは、アビアラの町(さっきの砂漠の町)からでて、タイカイ砂漠に来ていた。

「・・・暑っ!?」

暑かった。めちゃ暑かった。

ていうか、HPがゴリゴリ減るんですけどナニコレ!?ちょ死んじゃう死んじゃう!?

「ってああ!ヤバっ!?ほら!兄ちゃん早くこれ飲んで!」

そう言ってまくらがガラスのボトルをアイテム化し、俺に投げてきた。

「お、おう!」

取り敢えず言われるがままに、それを飲み干す。

「・・・・うめぇ。」

普通に上手かった。なにこれ、三ツ矢サイダーみたいな味がする。色も無色透明だし、炭酸も強めだし。

ていうか、

「・・・暑くない?」

「ここ、地形効果ダメージで、体力ガリガリ削られるんだよねぇ・・・。ウィキ曰く1秒1パー持ってかれるんだって。」

「うわ。何その鬼畜仕様。100秒いたら終了かよ・・・。で、これはクーラードリンクってとこか。」

「そういうこと。名前は三ツ矢サイダー!」

「ってマジで三ツ矢サイダーだったのかよ!?」

「いや、ボトルにマークついてんじゃん。」

「・・・ほんとだ。」

マジかよおい。

「因みに、別に『クーラードリンク』もありますよ。」

「へぇ。それも飲んでみたいね。」

「なんなら今ありますよ?」

「おぉ。じゃあ一つ貰おうかな。代金は払うよ。」

「いいえ。いいですよ。これからかける迷惑料とでも思って頂ければ。」

そう言ってアカリさんは、俺に薄く白い液体の入ったボトルを投げてきた。

「俺の方が迷惑掛けちゃいそうだけどな。まぁ。そういうことなら、ありがたく受け取っておくよ。」

丁度装備も新調しちゃって、金もないし。

試しにボトルを人差し指でタップしてみると、

「・・・カルピス?」

アイテム名は『カルピスウォーター』だった。

「あ、すいません間違えました。本当はこっちです。」

と、彼女はインベントリからボトルをアイテム化し、俺に投げ渡す。

「やれやれ頼むよアカリさん。こういうことはもう無いようにしてくれよ?」

そう言いつつ、俺はその投げられたボトルを受け取り、アイテム名を確認する。いや、まあ、もうボトルのロゴでわかっちゃあいるんだけど・・・・。

「ってこれコカ・コーラじゃねぇか!?」

中々できるぞこの女!?流れというものを心得ていやがる。しかもペプシでなくきちんとコカであることが、俺的には中々ポイント高い。

ていうか、どんだけ食料会社と提携してんだこのゲーム。もうサイゼリヤとか、探せばあるんじゃないだろうか?

「あっはははははははは。お兄さんは面白いですね。」

「アカリさん、そのセリフ、無闇矢鱈に使うなよ?少なくともそのセリフは、男が勘違いしてしまうセリフBEST10には、確実に入ってるから。」

少なくとも彼女に、見た目をイジっているような気配は感じられない。つまりリアルでも美少女なのだ、その分勘違いしてしまう奴も多いだろう。

「さんづけは要りませんよ。後輩何ですから、呼び捨てでも結構です。」

「って言うと、アカリさんはウチの生徒?」

「っていうか、このPTは全員がそうですよ?皆まくらの同級生です。」

「マジか。」

「マジです。」

どうりで仲がいいと思った。

「んじゃあ、遠慮なく呼び捨てにさせてもらうとするよ。」

「全員ストップ。」

そう、まくらが全員の歩みを止めさせる。視界の端に、『Encounter!』という文字が見える。

「どうする?【災厄の中心】のために、ここで吊っ立っとく?」

「そうして。」

「了解。」

んじゃあ、10秒間、お手並み拝見と行きますかね。

因みに敵は、トカゲが3体である。

「―――はっ!」

と、息を吐くとともに、まくらが一撃で、一体を沈める。

その時点で、アカリさ・・・アカリはもう一匹のトカゲに襲いかかっていた。魔法剣士という名乗っただけは有り、剣でトカゲの攻撃を捌きつつ、魔法を撃つ様は、中々に隙がなく、上手いと言える。。というか、普通にトップレベルの実力ではなかろうか?

まくらは仕事は終わったとばかりに佇んでいた。おい働け愚昧よ。とも思ったが、残りの一体は既に既にユイさんによって足止めされている内に、ユキノさんが氷魔法で屠っていた。この間わずか十秒にも満たない。

「いや、強すぎるだろお前ら・・・・。」

しかし現実はゲームの中だろうが非情であった。サメと思しきモンスターが、アカリの後ろからいきなり現れたのである。

が、

アカリは後方から飛来してくる鮫に、ノールックで、剣を突き刺し、それをユキノさんが氷の第一魔法、『レイス』で打ち抜いた。

・・・やっぱり、俺いらねぇよ・・・。仕事ねぇよ手持ち無沙汰だよ。

だって、

「さぁ皆!こっからが本番だよ!」

俺の【災禍の中心】でモンスターが更に追加でPOPしてしまうのだから。

その数凡そ10ってとこか?やはりあの数は異常だったようだ。

「ルーシー、ブースト。【炎の拳】」

俺はそう言いつつ、奴らの元にダッシュで向かおうとするが、

「【決死の特攻】【一撃削命】【千里の長剣】」

そう言うが早いか、早いか、まくらは、モンスターから3mは離れた状態から、目にも止まらぬ速さで、剣を水平に振る。

すると、出現したモンスター10対は、全員まとめて、真っ二つになり、ポリゴン片となって、散ってしまった。

「・・・は?」

いや、待て。どういうことだ?見れば我が妹からは、赤いオーラが立ち上り、心臓のあたりに、十字架のようなマークが浮き出ていた。ちなみに剣の長さは3mもなく、80センチ程度のワンハンドロングソードである。

PTプレイヤーの方たちを見れば、なれているのか、呆れた顔で、諦めてくださいとでも言う様に、両手の平を上に向ける。

「・・・んなアホな・・・。」

「少なくともお兄さんの言えることでは無いと思いますよ?」

「いや、俺は一撃で10体も同時に倒せたりはしねぇよ。」

「いや、一撃で倒せる時点で、おかしいんですけどね?」

「ていうか、お前も大概だろう?何でノールックで背後の敵攻撃できるんだよ。ニュータイプなの?」

「いや、確かに髪とか赤いですけど、あれは【索敵レーダー】スキルの応用みたいなもんですよ。索敵って言っても、このゲームはレーダーが画面右上に表示されるわけじゃないですからね。」

「なるほどその手があったか。後で取ろう。」

「これ以上化け物になる気ですか・・・?」

「っておっとそう言ってる間にもPOPして来ちまったぜ?またまくらのやつが、一掃してくれんのか?」

「いいえ。【千里の長剣】は、BS(バトルスキル)と言った方が近いASなので、次打つまでにクールタイムがあります。」

「何かよくわからんが、俺らでやれってことね。了解した。」

そうして俺たちは、昼飯で落ちるまで、狩りを楽しむのだった。

Makura lv。14

称号 『一撃必殺』

HP 120

MP 36

ATK 1316(+100)

DEF 0(+6)

MATK 0

MDEF 0(+6)

SPD 0

DEX 0

【長剣使い】

【攻撃力上昇(微)】

【背水の陣】

残りHPが1の状態の時、ATKが1.3倍。

【決死の猛攻】AS

DEFが0.5倍になる代わりに、ATKを1.3倍にする。

【一撃削命】AS

与ダメージを1.3倍にする。ただし、一度剣を振るごとに、HPを10%削る。HP1以下にはならない。HPが残り10%未満の場合、解除される。

【千里の長剣】AS

剣のリーチを5m程に伸ばす。ASってよりBS

『一撃必殺』

相手のHPが100%の時、その相手への与ダメージが1.3倍になる。

ちなみにまくらちゃんがPTを組む必要性は、ほぼありませんw

称号は、スキル枠を裂かないパッシブスキルみたいなものです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ