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今日から魔王!

2019年7月20日土曜日午前8時13分。

きちんと朝食を用意し、洗濯物をまとめ、トイレの掃除をしてから、イオにログインした。

妹のPTメンバーとの待ち合わせは10時からなので、まだ時間はあるのだけれど、その前に、シキから防具を受け取って起きたかったのだ。

休みの日だからか、昨日の朝より人が多いように思える。

ちなみに今日、土曜日は休みである。数年前には土曜日も働かせようとする動きもあったのだが、やはり人の楽をする為の活力はバカに出来ないもので、全国の各地で暴動が起こり、土曜日は休みとなった。因みに首都周辺は特にひどかったらしく、ビルが一棟倒れたという話も聞くほどだ。多分誇張なのだろうけれど、それで土曜日の安全性は更に強固なモノになるのだ。損はない。

やっぱ皆休みたいよね。土曜日は。ていうか寧ろ休み増えてくれねぇかなぁと思う。いやだって、働く日と休む日の割合が、5:2だぜ?明らかに足りねぇよ。もっと休ませろ。


閑話休題。


というわけで、今日もシキ武具店を訪れていた。こんな朝っぱらからログインしているかは不明だったけれど、ドアに掛かった木札に、OPENと書かれていたため、いるのだろう。ていうか業務時間長いな。労働基準法守れよ。

と考えつつ、今はその労働時間の長さに感謝し、ドアを開けた。

すると店主が明るい笑顔で出迎えた。

「いらっしゃい!ってハカマか・・・・。」

すぐその笑顔は引っ込められてしまったけれど。

「何でそこでがっかりするんだよ。ちょっと傷つくだろうが・・・。」

「あんたの紙耐久でも耐え切れる時点で、大したダメージでもないでしょうに。」

「それだけ繊細だと思えよ。頭が高いぞ。」

「ごめん。意味が分からない。」

そうやって楽しく言い合いをしつつ、俺は本題を切り出す。

「で、できたか?」

「もちのろんよ!あたしを誰だと思っているの!」

「IIOが誇る武具店、シキ武具店の天才店長、シキ様にございます。」

「よろしい!ではありがたく受け取るがよい!」

と、たたまれた衣服を俺に差し出して来た。

「ははぁ!ありがたき幸せ!」

それを俺は恭しく受け取り、予め開いておいた装備ウィンドウに放り込む。するとウィンドウが現れ、『全て装備しますか?』と問われる。

もちろん『YES』

すると俺の体が光に包まれ、装備が一新される。

するとシキが目の前に鏡を持ってきてくれた。意外に気がきくな。彼女は将来、服屋の店員になっているかも知れない。

あまり自身を鏡で見ることは好きではないのだが、期待に胸を膨らませつつ、置かれた鏡に向かい合う。

「・・・え?」

俺は驚愕で目を何度か拭う。

うーん。この驚愕をなんと形容すれば良いのかは分からないので、とりあえず自分の服装の現在の特徴を述べれば、

マントを羽織り、黒い軍服を着ていた。角はなかったけれど、デザインコンセプトは、明白だった。

「・・・魔王か。」

「よく分かったわね。」

「まあな。」

「あ、ルーシーちゃんのは、こっちね。」

彼女はそう言うと、銀色のを冠と、金のように輝く首輪を渡して来た。着けるととても可愛かった。装備を付けたからか、肩の上で胸を張る様なんて特に。これからもここは贔屓にしようと思う。そもそも眷属用の装備なんて、そうそう見つからないだろうし。

「ところで、この足とかの鎧はどうやってつけた?」

そう、手の甲と下腕部、心臓の上に膝に肘にブーツと、抑えるべきところには、きちんと金属が付いている。

「あぁ。異様に軽い鉱石ってのが見つかってね。名前をマギン鉱石って言うらしいんだけど、それだったら行けるかなぁ?って。」

「本当にできちゃってるから何も言えねぇよなぁ・・・・。」

「まあ、ともかくありがとう!大事に使わせて貰うよ。」

「まあ、あんたの戦闘スタイルなら長持ちしそうだしね。腕と足以外。」

「それってほぼ剣とかで攻撃してる人と変わらなくね?」

「もっともだ。」

「んじゃ、俺は用事があるからこれで。また来るよ。」

「強化したくなったらいつでも来なよ?」

「応。って、そう言えばシキ。」

「ん?何?」

「フレンド登録しよう。」

「・・・了解。」

俺はウィンドウを開き、彼女に申請を飛ばし、返ってくるとともに、踵を返す。

「んじゃまたなシキ。」

「応。またねハカマ。」

こうして俺は、シキとフレンドになったのだった。


時は移ろいで、2019年7月20日10時ジャスト。

噴水の縁淵で寝つつ待っていると、

「兄ちゃん。」

と、声をかけられた。可愛い可愛い愚妹の声だった。

俺は目を開け、愚妹の顔を見上げる。

「・・・随分と立派な装備だな。」

「兄ちゃんこそ、魔王って感じになってるよ?」

「じゃあお前は勇者ってところか。」

「勇者と魔王がパーティ組むってこれまた乙だねぇ。」

「ま、面白くはあるな。ていうか、こういう時は先に来ている人間に謝るのが定石だろ?」

「そんなデートでもあるまいに。ましてや兄ちゃん相手に?。」

「ですよねー。」

「まあ、とりあえず紹介するね。この子達が、あたしの仲間たちだ!」

そう言って、彼女が自身の後ろにいた四人が、俺の目に映るように控えると、一番端の子から、自己紹介を始めた。

「どーっもはっじめましてー!妹さんのところで魔剣士やらせていただいている。アカリともうします!仕事は遊撃ですかね?」

このアカリという子は、随分と明るい子だった。とっつきやすくてよろしい。

俺がよろしく。と返すと、アカリさんの隣の子が自己紹介を始める。どうやら端から順に紹介していくらしい。

「えっと、ア、アズサです。ひ、回復役ヒーラーです。よろしくお願いします。」

人見知りなようだ。

「ユキノです。魔術師です。今日はよろしくお願いします。」

クールだ・・・。

「ユイです!仕事はタンクです!よろしくお願いします!」

あ、何かこの子バカっぽい。イジリ甲斐ありそう。

「妹から聞いてるとは思うが、ハカマだ。職業は、なんて言えばいんだろ?わかんねぇや。まあイロモノな戦い方してるから、かなり迷惑かけるとは思うけれど、今日はよろしく!」

「「「「よろしくお願いします(!)」」」」

「んじゃあ、PT申請飛ばすね?」

「応。頼む。」

『Makuraからパーティ申請が届きました。受託しますか?

        『YES』 『NO』 』

正直ここで断ったら面白そうだけど、さすがに素直に『YES』を押す。

「んで、結局どこに狩りに行くんだ?」

「タイカイ砂漠!」

「え?ああ。悪い。俺まだオオナラ森林のボス倒してねぇんだわ。」

「え?んじゃあ倒しに行こう!」

「マジか・・・。」

「大マジだ!」

俺がいいの?という具合に、PTメンバーたちにお伺いを立てるとユキノさんとアカリさんが、いつものことですと言わんばかり、両手の平を上に向け、首を横に振っていた。

いつも妹が迷惑かけてすんません・・・・。




2019年7月20日午前10時30分。

俺たちは、オオナラ森林の、ボスゲートに来ていた。

「野郎ども、準備はいいかー?」

そうわめきたてるのは、我が愚妹である。

「この場に野郎は俺しかいねぇよ・・・。」

「困けぇこと気にしてんじゃあねぇよクソ野郎。」

「随分と好き勝手言ってくれるなこのクソアマ・・・。」

二人で額を合わせいがみ合っていると、そこにアカリさんが仲裁に入る。

「まあまあ二人共落ち着いて・・・?さっさとボス倒して、タイカイ砂漠へ行こう?」

「・・・悪いね。迷惑かけちゃって。」

「いえいえ。いつものことのようなモノですから」

「・・・ウチの妹が、いつもすみません。」

そう俺が誤っているのを、聞いてか聞かずか、我が妹をボスゲートに体を向け、言う。

「行くぞ!」

「「「「「おう!」」」」」



ゲートをくぐると、木々に囲まれた、木々のない森の広場に出た。

すると、俺から見て置くの、最奥の木々がなぎ倒され、一匹の魔物が現れる。

『ボクスベアー』

それが、この魔物の名前だった。彼はそこで構えを取った。ほう。面白い。

「まくら。ちょっとあいつの相手を任せてくれないか?」

「わかった。」

「あんがとよ。一応、皆も攻撃の準備をしといてくれ。俺がいつ死ぬとも知らん。」

俺はそういうと、戦闘の為に、スキル名を呟く。

「ブースト、【炎の拳】【炎の肘】【最後の一撃】」

すると俺の体から、【驕りの代償】の効果なのか、黄金のオーラが吹き出、その拳と肘に火が灯り、最後の一撃の効果で、体が白いオーラに包まれた。因みに戦闘開始直後から、【絶頂の悦び】のせいなのか、紅いオーラも吹き出ている。

それらが重なり、炎のようなオーラが、身を包んだ。

向こうはボクシングらしいので、こちらも似たような構えを取り、突撃する。向こうに体躯は3mを越すのだ。インファイトに持ち込むのが、最も早いだろう。

向こうもそれを察してはいるのか、俺を吹き飛ばす為に、突進を仕掛けてくる。俺はそれをステップで避けると、彼の横に立ち、左足を前に、思いっきり踏み込み、彼の進路上に、顔面の延長線上に、一撃を置く。そして高らかに言う。

「―――『ジェットパンチ』ッ!」

瞬間、俺の肘から炎が噴射される。

そう。俺がなぜ【炎の肘】を発動させたかと言えば、この為である。

これが俺の入手した新スキル、ジェットパンチだ。簡単に言うと、肘のファイラを爆発させ、拳を加速させるというものだ。

従って、俺が振っていた拳は更に加速し、熊の顔面に叩きつけられる。

「―――ッラァ!」

そんな掛け声と、ジェットのアシストとともに、拳を振り抜く。すると、ヒットした箇所から、炎と光と雷を吹き上げる。ボス相手に判定勝つとか、我ながらどういうことだと思う。

熊は腹を中心した回転とともに、後頭部を地面に叩きつけると、ともに、3本あったHPバーのウチ、1本半が吹き飛んだ。彼はのたうち回る。こんなところまで作り込むとは、IIOスタッフには、つくづく感服である。

しかしそれと同時に、俺のヒットポイントも0になった。本来ならここで死に戻りなのだろうが、俺の場合は違う。【無力の後悔】によって、HPが1の状態で蘇生するのだ。そして、

「―――【奇跡の完治】【炎の拳】【炎の肘】ブースト。」

すると俺のHPは全快し、紅いオーラと、黄金のおーらが、再び身を包む。つくづく面白い組み合わせだと、我ながら思う。

しかし、そうして俺が倒れて復活している間に、彼もまた、攻撃のチャンスであった、のたうちまわっている状態から回復したようである。

さて。ここからだ。

ここからだ。俺が一歩踏み込むと、向こうはそのリーチを活かして、俺の手の届かない範囲から、腕を遠心力に任せて振る。ボクシングに関する名前を持っているだけあって、中々に綺麗な右フックだった。

俺はそれをダッキングでかわすと、さらに一歩踏み込み一撃を肩に入れる。肩パンって痛いよね。それによって、やつのHPの残り三分の一が消し飛ぶ。単純な計算で、半分は削れるかと思ったが、そこは部位ごとに違うらしい。あと根性補正のようなものも、あるのかもしれない。俺は更にもう一撃食らわせようとするが、奴は危険を察してか、後ろに飛び退った。

また近づかなきゃならんのかメンドくさい。だが、向こうに遠距離攻撃があるとも思えないので、悠然と歩いて近づく。

「ルーシー。『ザンダ』。」

ルーシーに牽制として、ザンダを撃ってもらったが、まだレベルが低いからなのか、大したダメージにはならなかった。

まあ、それでも十分なのだが。

奴がザンダに気を取られている間に、ダッシュで近づき、一発いれる。

向こうも反撃してくるが、

「おせぇ!」

俺がそれにぶつけるように、もう一発入れると、奴は四散するのだった。

Hakama lv12

HP 120

MP 36

ATK 0

DEF 0(+6)

MATK 1068

MDEF 0(+12)

SPD 0

DEX 0

スキル

【火属性魔法】―『ファイラ』M

【MP自動回復】PS

【魔闘術】―【炎の~】AS―【ジェットパンチ】BS

【無力の後悔】PS【奇跡の完治】AS【絶頂の悦び】PS【最後の一撃】AS

【驕り】PS【災禍の(コーリング) 中心・ディザスター】PS

ちなみに装備可能スキルは15個です。【譲渡トランスファー】で渡されたものは別です。


一応参考までにほかの人のも。

一般(近接型)

lv12

HP180

MP48

ATK204+武器などの数値(+20程度)

DEF12+防具などの数値(平均+100程度ガッチガトの金属鎧で、+200            程度です)

MATK12+武器などの数値(近接型の人の場合、ない人がほとんどです。)

MDEF12+防具などの数値(ここも、DEFと対して変わりません。)

SPD192


で、袴くんは【絶頂の悦び】で、1.3倍と、一段階上昇で1.1倍が6つ分あるので、【絶頂の悦び】(PSは最初に計算。複数ある場合は1.3倍と1.3倍なら1.6倍)で増加したのに、『サンダーブースト』『ライトブースト』【驕りの代償】の順で掛けると、この時点で2382(小数点以下は切り捨て)。ここに【驕り】と【最後の一撃】(PSを先に計算)で5241のバイブッシュバ火力になっております。ちなみに通常は2620になります。通常のおよそ十倍の火力がでます。あと、彼の攻撃は属性魔法扱いですので、ここに属性ダメージだとかも付加されます。『インテリジェンスブースト』を計算に入れていなかったことには今気づきましたが、今回は袴くんのバ火力を実感してもらうためなので、問題ありません。あ、あと【驕り】と【最後の一撃】は、最終ダメージを考慮するものなので、MATKとしては計れません。今回は分かりやすくするためにやりましたが、そこは考慮に留めておいてください。あくまで最終MATKは2382です。


7/23

【無力の後悔】の名前を間違えていたので修正

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