要らなくなった天使
『ここからが面白いんだよ? ガーネットくん?』
背筋が凍るような恐怖とさっきの黒猫と同じ様なオーラが襲った。しかし他の兵士や父上には気付いてないのか…。全く動じない。
『おい、何してんのか分かってるのか…?』
静かにガーネットは呟いた。
それに反論するように父は怒鳴った
「それはこちらの台詞だ…、 ガーネット!!」
部屋中に声が響き、急に静かさが増した。
「もうお前には見損なった。 このままではこの天界も地上の人間にも害がある。 ガーネット…、お前にはここで今死んでもらう…!!」
『…死…ぬ? 笑わせるなよ…。 それじゃこの国は誰が継ぐの? 後継者の居ない国なんて成り立たない。』
「本当…、そんなところだけは頭が良いんだな。 後継者ならしっかりいる……」
『何…?』
信じられなかった。父上の子供はボクだけ、なのにっ……!!
一体誰が…。
「…ガーネット、心配いらない。 君はゆっくり眠りなさい…」
そう言うと何故か父と兵士は退いた。ガーネットはその隙を見計らって出口へと全力で走った。
その時だった。一発銃声が、王宮の間全てに響き渡り、銃の矛先であるガーネットは床に打たれるように倒れた。
『父…上……何故っ。』
必死に助けを求めるが誰も手をさしのべてはくれない。その内にも意識は遠くなる。
『誰か……ぁっ! 助けてくれ…!!』
最高に叫ぶように声を上げ助けを呼ぶ。
「そんなの無理に決まっているだろう」
知らない声の主、銃を撃った主が冷たく言った。
きっと、もうおしまいだ…。
ボクはもう死ぬ…。
“…誰も、誰も…助けてくれな…„
諦め瞳を閉じた瞬間。
“ガシャン…!!”
大きな音を立て、天井のステンドグラスが飛び散りながら割れた。
「誰だ……!?」
「何だ、アイツ…」
割れたステンドグラスの上には、フードを被り黒い翼を持った人物。そこからは黒猫と同じ様な力を感じた。
「お前は…。」
「名乗る者ではない。 俺の用事はただ1つ…」
すると翼を使い降りた。透き通る様に綺麗な声、男だろうか。
そしてガーネットの側に駆け寄るや否や、お姫様抱っこで持ち上げて出口へ歩き出した。
「逃がすな、捕らえろ!!」
「はい!」
兵は銃を撃つが、弾が寸前で落ち当たらない。
「俺には効かねぇよ…。じゃあまたな」
そういうと外へ走り去った。
「まて…!」
兵が追いかけようとしたが、静かに囁いた。
『もういい… 全員ステンドグラスの破片を集めろ…。 私は休む…。』
「…はい」
兵は銃を床に起き作業を始めた。
しかし、ガーネットを撃った一人だけはうつむいてつっ立っていた。
『アイツさえ邪魔しなければ。』
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
『……っ』
「死ぬんじゃねぇぞ…。 せっかく会えたのに……」
『……?』
「また…会えたな。『ガーネット』。」
フードで口元しか見えないが、少し微笑んでる様にも見えた。
しかしガーネットの意識は持たず瞳を閉じた。
黒い翼の人物は翼を大きく広げて、下にある人間界へと向かい飛びだった。
「…ガーネット。 あと少し待てよ…」
彼はガーネットの耳元で小さく囁いた。
少し、一話~三話まで書き直しをしたので改めて見てみて下さい!