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天使王は、あるひ人間になった。  作者: 亞紅 真月
王子である天使の実態
3/5

それは…。裏切り

『……』


 思えばボクはいつも独りぼっちだな。

仲間も居なければ、親友さえも居ない。父は忙しそうだし。母は…。


 でも自分が可哀想なヤツなんて思わない。思ってしまったらその時点で『負け組』だ。


『ボクは…… 負け組何かじゃねぇ。』


そうやって自分に言い聞かせる。

 でないと、何かに押し潰されそうで…

苦しくなるから…


 歩き出したその瞬間後ろから視線を感じた。分からないが何かとてつもないオーラ…。

 振り替えると黒い猫がこちらをみあげていた。ブルーの冷たい瞳に落ち着いたどこか表情。


『何だ…。 猫かよ』


今日は猫何か相手にしてる暇は無い。早くみたいんだ、『面白いもの』を…。

 ずっと見つめてくる猫を無視し、城へ向かい歩き出す。


「にゃあ……」


にしても、この辺りにあんなの居たか?

 まるで“悪魔„みたいな…


って。 悪魔なんて天界には居ないし早く行かないと…


 軽く走りやっとの想いで父のいる城へと着いた。

 一体どれだけの笑顔を今日見てきただろうか。本当に嫌になる話だ。

……全て消えれば良いのに。



 城の中へと続く道を歩いていく。

光に反射する天井のステンドガラス、首が痛くなるし何の必要性があるか分かんない屋根。

 15年間、この地にいて学んだモノなんて指で数えられる位の数しかない。

 例えば「挨拶」。俺は他人に会わないから役にたってもないのだが。


 気がつくと目の前には王宮の間。

目の前には見慣れた父の姿。

 でも何かがおかしい。奥へ奥へ向かう内に気のせいか警備天使の人数がいつもよりも多い気がする。


 武器も何回もここに来ているのに見たこともない様な物を沢山の天使兵が持ってるし、何より空気がピリついている。


 そんな事よりもボクは父と話したかった。

『面白いモノ』って何だろう?

兵が持ってるモノも関係しているのだろうか…?


天使兵が見ているのは気にせずに話始める。


『父上~!』


「…なんだい、ガーネット?」


父上はボクの名を呼んで笑顔でボクを迎えた。

 ボクは笑顔が嫌いだからさ…。ウザイんだよな。まぁ、いつもの事…我慢だ。

 あと、ボクの名はガーネット。聞いた話だと母が付けた名前だとか……


そんな事より、面白い事だ。

ボクは我慢出来ずに聞いた。


『なぁ!! 今日面白いモン見せてくれるんだろ?』


「もちろん…」


 いつも落ち着いている父がゆっくりと立ち上がり兵に近づいた。


『その面白いヤツって何だ!? 見せてくれよ。』


「見せてあげるから急ぐな…。 昔から慌てん坊だな…」


 そう言うと天使兵の持っていた、銃を一つ手に取った。


『…これは?』


「この銃は危ないモノでね…。 天使は刃物程度指した位では切り傷程度だが…

これを天使に使うと当分動けなくなるね…。」


『す…凄い』


「使い方間違えたり、場所が悪いと死んでしまうからな。」


『ふーん……。 んで、何が楽しいのさ? 貸してくれんのか!?』


「いや…違う。 面白いのはこれからだ…」



 父が優しく微笑むと急に目付きが怖くなった。


『なっ…!?』


ガーネットは動揺し、一歩下がった瞬間…


 周りの天使兵がガーネットを囲むように立ち銃を向けた。

 60人はいるかと言う全ての兵が俺一ヶ所へ狙いを定めて、恐い形相で睨んでいた。

 

……もちろん、父上もだった。




 一瞬の出来事で体や足元が止まる。

身体は怯えた子犬の様に小刻みに震える。

 しかし父上も兵も動揺しない。


そして、ある天使兵が口を開いた。




『ここからが…面白いんだよ、ガーネットくん……?』

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