RunEnd×epilogue:山梨県石和温泉街〜長野県諏訪市-奴らの正体、僕を狙った理由-
塩沢の目の前で彼の弟が“奴ら”に殺された。彼はこれ以上走りたく無かった。だが、また電話が鳴ったのだ…
僕は今、目の前で起きた出来事によって生きてる事が無意味に感じた。いっそ、このまま祐斗の待つ天国へ…
(ブーン…ブーン…ブーン)
また携帯が振るえた。アイツらからだった。僕は、電話に出るなり今にも崩れそうな声で怒鳴った。
「なぁ、何故人を殺せる?!なぁ、お前らには心があんのか?!」
すると、犯人側は嘲笑し、
「フッ、お前がいけないんだよ。お前が俺らをその性格にした。」
僕は困惑した。僕はアイツらと関係があったのか?!僕がうつ向いていると、
「さぁ、走れ!死ぬ気まで走れ!そうだな3日後の正午に諏訪湖に会おう。これで、ゲームを終わりにしようではないか。こんな茶番劇などやはり面白く無かったよ。
もう一度言う。3日後の正午までに諏訪湖だ、それまでに着かなければ君の負け。君の大切な人達は問答無用で順に殺されていく…これが最終決戦だと思え!」
と、向こう側から言ってきたので、僕は即座に言った。
「待て、俺が時間内に着いたらどうなる?」
すると、アイツらは静かに答えた。その声には殺意が感じられた。
「テメェが着く筈がない。」
僕は何が何だか解らなくなったが次が最後のゲームという事だけはしっかり認識した。
「諏訪湖で待ってるよ、それじゃ。」
そこで、電話は切られた。僕は決意した。このゲームに勝ち、アイツらを処刑台にたたせてやる。そうしなければ、こんなゲームのせいで殺された二人の命が救われないと思う。
僕は靴紐を結び直し、再び走り出した。
涙を拭い、必死に諏訪湖へ向かう。山梨県の県庁所在地の甲府、そして竜王の街並みを通り過ぎて、韮崎駅前で一旦睡眠を採る事にした。
僕は、久しぶりに夢を見た。楽しそうな弟の顔と僕の顔が並んで見える。僕は遠目から眺めている状態。僕は弟を見ているうちに、自分が何もしてやれなかった不甲斐無さを感じ、声を上げて泣いていた…
気が付くと、朝になっていた。僕は涙を拭いて、再び地図を見た。今日中に長野県へ入る事を目標に走り出した。
北杜市から小淵沢駅前を順調に走り抜け、山路に入ってようやく長野県に突入した。僕は体力が消耗したのですずらんの里と青柳駅の間で一旦休む事にした。
充分に休憩を採った後、僕は山路を駆け上り茅野市を通り過ぎ、そして約束の場所、諏訪湖に時間内に到着した。湖畔には奴らが乗っているとされるヘリコプターの姿があった。
「やぁ、塩沢君。久しぶりだね。」ヘリコプターのタラップから降りてくる姿を見て、僕の背中に衝撃が走った。
「や、山潟…」
何と奴は、同じ学校の陸上部の山潟だった。
僕と張り合える程の脚を持つ男で、最後のインターハイを賭けて勝負して僕に負けたのだ。
彼は降りてくるなり、こう言った。
「僕には山潟家の誇りがあった。僕が出ればインターハイなど、簡単に優勝できる。なのに…お前という人間は、俺のプライド、更に名誉ある山潟家を潰しやがった…許さん!」
奴は完璧に逆上していた。
「しかし、勝負は勝負だろ?でも何故、そんなに名誉ある奴が人殺しなんてするんだ?」
と、僕は尋ねた。すると、山潟は鼻で笑い、
「山潟家のプライドを傷つけると代償は高くつくのでな、テメェにも傷付けた分の代償を支払って貰わなければなと思ったのさ。それが、テメェの大切な人達の命って訳さ、ハッハッハッハ!」
僕は話を聴いている内に奴に対して怒りがこみ上げてきていた。そんな奴の戯言で二人の命が奪われたからだ。僕は遂に我慢の限界に達し、
「テメェ、ゼッテェに許さねぇ…ぶっ殺す!!」
と、言って僕は拳を振り上げ、山潟に襲い掛った。だが…
「フッ…愚かな奴。バイバイ、塩沢。」
(ドンッ!ドンッ!)
「グフッ!!」
僕は背中に銃弾を数発撃ち込まれ、その場に倒れた。
「ハッハッハッハッハッハ!グッバイ、哀れなクソガキ!」
僕は意識が朦朧としていく中で、向こうに死んだ祐斗が見えた。もちろん、錯覚だと解っているが。
僕は、そのまま意識が無くなっていった…
「…さぁ、山潟。最後、ラストスパート!ゴールが見えてきた!」
下界から聴こえる実況らしき声に僕は目覚めた。
僕は、手元にあった“怨みの鏡”を使って山潟を映し、そして自分の魂を奴に乗り移した…
「さぁ、ゴールが見えてきた!うん?どうした山潟?コースからどんどん外れて一般道へ出ていく…あ、危ない!!!」
“キィー!!!”
グシャ!!
「き、緊急事態です!1位を独走していた山潟君がいきなりコースから外れ、一般道へ出ていったところ、大型トラックに前から突っ込まれて山潟君が跳ねられました!山潟君は全身から大量出血しており即死かと思われます!何て事………」
殺ったよ、山潟が死んだ。ハハッ、当然の報いさ。やっと、奴に報復出来た。これで、秀悟も祐斗も喜んで天国で安らかに眠ってくれるだろう…
僕は何も考えず、静かに地獄へと走り出した。これが、僕にとっての最後の“ラン”だった…
たった4話分で作品を終わらせてしまい、この作品をお読みになられた読者の皆様…大変申し訳ありません…




