遺伝子の事
先日『ホモ宣言』という物語の中で、遺伝子の事を軽く語りましたが、私は遺伝子って要素を必要以上に反応して惹かれる所があります。
親の血液型の因子をどう受け継ぐかで、子供の血液型が決まるように、親のどの因子を受け継ぐかでお酒の飲め具合など様々な決定される。凄い事ですよね。
遺伝子の型についてより興味を持ち詳しく調べる事になったのは、姉の急性白血病が原因でした。急性白血病治療は創作においてもよく登場する病気ですが、血液のガンなので他のガンのように切除することも出来ず、また他の所に転移もしやすい厄介な病気。抗ガン剤治療が効果あれば良いのですが、それがなければ骨髄移植しか手がありません。
そこで重要になってくるのは、HLA型という白血球内の遺伝子の型。
人のアルコール代謝を調べる遺伝子はALDHのタイプは二つでそれをどのように保有するかは三パターンしかないのですが、コチラは六パターンの遺伝子をどれをもつかという問題になります。とはいえ少ない型では6種類ですが多いので39種類の因子の何かを一つもっているという状況。つまりその組み合わせは数百パターンあり、同父母の兄弟姉妹間で25%、非血縁者間では数百~数万分の1。それが一致していることがドナーの条件になります。兄弟間でここまで数値が格段に上がるのは、この遺伝子は三つをセットにして親から子供に引き継ぎされるからです。つまり父親がAセット、Bセットを用意していて、母親がCセットとDセットを用意しており、生まれてくる子供はそのいずれかの二つを選択して生まれてくるのでこのような数値になります。
しかし、自分が親からどの遺伝子を引き継いできたかなんて分かるはずもなく、自分達家族で姉を救えるのか? と悩み、なんで人間ってそんなに複雑で面倒なの? と頭を抱えてしまったものです。まあ、万とか百とか分の1よいかは数値が良いといえ、25%という数値にも目眩起こしそうな状況でした。結果からいうと、兄が全一致いう事で最高の条件での移植が出来、姉は無事サバイバーとなれました。でもこの体験が遺伝子というものを私の中に強く印象つけてしまいました。
容姿や血液以外に生まれながらに親から子に何を受け継ぎ存在しているのか? その考えから『置き血の流れし先』という物語が生まれたように感じます。容姿、能力、性質、知性、情感、持っている属性といったものを、親子の中でどう分解し受け継いでいくかを、パズルのように考え組み立てて、いつも以上に親子の関係というのに重点をおいて書いています。この私の想いをうまく表現できていければ良いなと考えています。