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おかしな聖女は冷血王子に拾われて溺愛されます  作者: 藤七郎(疲労困憊)


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9/19

第9話 心の洗濯

異世界恋愛が無理だとわかったので大幅に加筆修正しました。

グランツやジャン、マリアンヌなどの性格を大幅に変更しました。


 森を歩いて数日後。


 昼頃、ようやく鬱蒼とした魔の森を抜けた。

 広々とした平原が広がり、はるか遠くには高い外壁を持つ街と、のどかな畑が見える。


 私たちの周囲を狼たちが円陣を組みながらも、軽快な足取りで歩いていた。

 時には「くぅんっ」と可愛く鳴きながら小走りに、平原を駆けては元の位置に戻る。

 楽しそうで何より。


 というか狼たち全員、ますます白くなっていた。

 微かに灰色が混じっている感じ。

 毛が生え替わってるの? と心配になるぐらい白い。


 あと、平原に出たら狼たちの体が小さくなった。といってもイチローは馬ぐらいの大きさだけど。


「なんか小さくなったけど、大丈夫?」


 気になって尋ねたら、狼たちは大丈夫とでも言うように「くぉん」と鳴いた。



 グランツがそよ風を受けて銀髪を揺らしながら、涼しい声で言う。


「魔物は攻撃態勢に入ると、体に魔力をみなぎらせて一回り二回り大きくなるそうですよ」


「そうなんだ。だから森の中では大きかったんだ」


 私は納得して頷いた。

 まあ、狼たちも元気に走っているから大丈夫だと思う。



 ――と。

 街に向かうにつれて、異質な状況が目に入ってきた。


 平原の中に、大きなテントがいくつも張ってあった。

 高い天井をうかがわせる、数十人ぐらい入れそうな大きなテントだった。

 

「こんなところにテント?」


 つい口をついた疑問の声に、隣を歩くグランツが私を見た。


「どうしました? アリア」


「なにもない平原に、大きなテントがあるなぁと思って」


「ああ、ここは魔の森に近いですからね。騎士団が駐屯するためのテントでしょう」


「なるほど」



 さらにテントへ近づくと、テントの前にメイド服を着たメイドさんたちがずらっと十人ほど並んでいた。

 私はいぶかしげに眉を寄せながら尋ねる。


「ねえ、グランツ。あれは?」


「聖女アリア様に対するもてなしの用意です」


「特別扱いしなくていいんだってば」


 私は言葉に不満をにじませていった。

 けれどもグランツは私を見て、目を細めて微笑む。


「いいのでしょうか? 街に入る前に身だしなみを整えなくても? しばらく湯浴みも水浴びも出来なかったはずですが?」


「あ、はい。したいです」


 確かに、汗や汚れで気持ち悪かった。

 王都から森までは囚人扱いされて檻の馬車で運ばれたし、森の中では逃げ回っていてお風呂に入る余裕がなかった。

 

 そう考えたら、体の臭いが気になり始めた。

 ――てか、ひょっとして。

 先触れ出したのは私のため!?


 なんだか恥ずかしくなってグランツの顔が見れず、うつむいて歩いた。



 しばらくして大きなテントまで来た。

 ずらっと並んだメイドたちの前に、緑の髪をした若い男性が立っていた。痩身の体を、立派な貴族の服を着ている。


 男性は垂れ目がちの優しい顔立ちをしていた。

 私たちが傍まで寄ると、男性は一歩前に出た。

 そしてグランツを見て微笑み、丁寧にお辞儀をする。


「お帰りなさいませ、王子様」


「これはこれはご丁寧に、ヴィー」


 鬱陶しそうに顔をしかめてグランツは気軽に言う。

 ヴィーと呼ばれた彼は顔を上げて、悪戯をした子供のように笑う。


「また死に場所を見つけそこなったみたいだね、グランツ」


「熊にやられて死にかけましたけどね」


「えっ? 大丈夫だった?」


 ヴィーは気軽に話しながらも、声に心配をにじませる。

 グランツは口の端に、ふっと笑みを浮かべると私を見て言った。


「彼女に助けられました。名前はアリア。私にとっては聖女に等しい人です」


「それはそれは」


 ヴィーは私を見てにっこりと微笑む。

 可愛さの残る童顔の笑みが眩しい。


「初めましてアリアさん。僕はヴィントドルク・グレンツマウアー。気軽にヴィーと呼んでくれていいから」


「初めましてヴィーさん。ただの村娘のアリアです」


 私は修道服の裾を摘まんでカーテシーをしつつ言った。

 グランツは眉間にしわを寄せて咎める。


「アリア様。ヴィーには気を遣わなくていいんですよ」


「ひどいなぁ、グランツは。これでも一応、辺境伯なんだけど?」


 ヴィーはグランツを見て、困ったような笑みを浮かべた。



 二人のやりとりを傍で聞いていた私は、仲が良さそうに思えたので二人は親友なのかなと考えた。

 ――え? てか!


「辺境伯様!? 失礼しました」


「いいってば、アリアさん。正確には辺境伯じゃなく侯爵だし。それにグランツと仲良くしてくれてるみたいだし、僕とも仲良くしてね」


「はい、ヴィーさん」


 私が笑顔で答えると、横にいたグランツが不満げな声で言った。

 なぜだか不機嫌そうだ。


「それよりアリア様。身だしなみを整えたいのではなかったですか?」


「あっ、そうでした」


 私の言葉に、ヴィーが眉尻を下げてすまなそうに言う。


「ごめんね、アリアさん。話し込んじゃった――みんな、彼女の世話をお願い」


「「「はいっ!」」」


 背後に並んでいたメイドたちが声を揃えて答えた。



 さらに年配のメイドが私の傍へ来る。


「では、アリア様。どうぞこちらへ」


「あ、はい――そうだ! 狼たちも洗ってあげてもらえないかな?」


「「「きゃうん!?」」」


 狼たちが目を見開いて悲鳴を上げた。

 でも私は心を鬼にして命令する。


「あなたたち、体をきれいにしてないでしょ? ちょっと臭ってるから、ちゃんとお風呂に入って洗って貰って。それと先に言っとくけど、暴れちゃダメだからね?」


「「「きゅぅ~ん」」」


 狼たちはこの世の終わりが来たかのように、悲しげな顔をして伏せをしてしまった。

 どうやら狼は、というか動物は自身がまとう匂いを失うのが嫌らしい。


 でも一緒に暮らすならきれいになってもらわないと。

 それに大きな狼たちの困り顔が、逆に可愛かった。



 年配メイドが若いメイドたちに命令する。


「わかりました、アリア様。――メイドたち、半数は狼を洗いなさい。聖獣と聞いていますし言葉も通じるので、安心して対応なさい」


「「「は、はい!」」」


 少し声を震わせながらも、若いメイドたちは威勢良く答えた。

 五人のメイドが狼たちに近づいて話しかけると、どこかへと連れて行く。

 七頭の狼たちは捕虜か囚人のように、とぼとぼと力なく歩いて行った。

 マミーだけが意気消沈しておらず、堂々と胸を張って歩いていた。



 それから私は、年配メイドに付き添われてテントの中へ入った。


 驚くことに、中には湯気の立つ湯船があった。

 大きな鏡台や、服やドレスを吊したハンガーラックがあった。姿見の大きな鏡もある。


 テント内を眺めていたら、いつのまにか私はメイドたちに取り囲まれていた。


「では、失礼します」


「えっ? いや、自分で――」


 メイドたちが私の服を脱がせにかかった。

 自分で脱ごうとしたけれど、抵抗むなしく脱がされる。


 そのまま湯船に入れられて、体も髪もめちゃくちゃ洗われた。

 恥ずかしかったけれど、途惑う暇もないぐらいメイドたちの手が襲い来る。


 ――結果、すっきりさっぱりした。


 ただ、メイドたちの攻勢は風呂だけでは終わらなかった。

 湯から上がるとオイルマッサージに、化粧とヘアセット。

 さらには、着せ替え人形かと思うぐらい、代わる代わる服を着せられた。

 結局は聖女を意識してか、白いローブと肩から羽織る短いマントになった。頭にも白い帽子をかぶる。



 姿鏡の前に立つ私。

 鏡の中には、ウェーブのかかったオレンジ色の髪をなびかせる素敵な女性がいた。

 紅差す頬の顔色も美しかった。私とは思えないぐらいに。


 こけていた頬も、心なしかふっくらとしている。

 ――これはお菓子を食べ過ぎただけかもしれない。手のひらから無限に生み出せるし。


「あれ?」


 変わっている部分に気付いて、私は思わず声を上げた。

 傍に控える年配メイド――メイド長が不思議そうに首をかしげる。


「どうされました? お気に召しませんでしたか?」


「いえ、とても素敵だと思います――でも、私の髪の色がこんなに明るいオレンジ色だったかなと思いまして」


 そう。

 記憶にある髪の色と違っていた。

 もっと茶色かったはずだった。



 メイド長がにっこりと微笑む。


「アリア様が、まことの聖女だからでしょう」


「というと?」


「聖女様は、神に使わされた太陽の化身。髪も瞳も太陽のような色合いになると伝えられています」


 私はしげしげと鏡を覗き込んだ。

 確かに、瞳の色も明るい茶色になっている。


「変な色じゃない?」


「唯一無二の、素敵な色合いだと思います」


「そっか」


 まあ、色が違うぐらいは気にしない。

 見た目的には、何も問題がないぐらい素敵な女性になっていたわけだし。


 私はメイド長や、メイドさんたちを見渡して言う。


「素敵にしてくれて、ありがとう」


「いえ、こちらこそ!」「お手伝い出来て最高でした!」「また機会があればお手伝いします!」


 メイドさんたちは笑顔で答えてくれた。

 ――着せ替え人形にされるのはつらいけど。

 でも、素敵な女性になれるのなら、手伝ってもらうのもありかなと少し思った。



 それからテントを出た。

 身支度に結構時間がかかったため、日はだいぶ西に傾いていた。


前書きにも書きましたが、大幅変更しました。

続きを書いていると、どんどんヒーローがそこはかとなく変態になっていって苦しんだので。

例えるなら、周囲には冷酷だけど主人公にだけは優しいCV石田彰を想定してたら、CV杉田智和になっていくような感じ。


この状況で最後まで書くのは無理だなと判断したので、思い切って登場人物の性格を変更しました。


今度のヒーロー役は、多分CV中村悠一。

現時点まで読んでブクマしてくれた人たちには、内容が変わってしまって迷惑をかけます。

すみません。

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