第1章 衆議院議員 森山克子
我が国の少子化が問題視されてから30年間が経過したがその間子育て支援など色々な対策が講じられて来たが未だに少子化に歯止めがかからない。そんな中、衆議院議員森山克子は民民党党首に上り詰め総選挙を戦い抜き女性としては初めての内閣総理大臣に就任、以前から持っていた少子化対策の法制化を実現する。
第1章から第10章までは森山克子が新少子化対策の法制化を実現するまでの過程が綴られており第11章からは新少子化対策法施行後のドラマが展開する。ご期待あれ。
話は全てフィクションです。なので登場人物は全て架空の人です。
その日、日本の革新政党【民民党】の議員総会で衆議院議員森山克子は第4代党首に選出された。民民党はじめ今まで長年野党であった革新政党は近年国民の支持が離れた保守政党に代わって久しぶりに衆参両議院共にかろうじて過半数を獲得したが第一党の民民党単独では過半数に満たず、政権を担って安定した政治を行うにはまだ危うい面があった。
そんな中、民民党の女性衆議院議員である森山克子は少数政党を束ねあげる努力を続けて党勢を立て直した功績を認められて晴れて民民党の党首の座を掴んだ。
森山克子は身長が174cmあり学生時代にバスケットボール選手として鍛えた甲斐があって男性に劣らない立派な体格の持ち主で歯に衣を着せないハキハキした物言いで相手を説き伏せる特技を持っていた。
「森山さんはなぁ、敵に回すとすごく怖いオバチャンだけどさぁ、懐に入りゃ頼りになる肝っ玉母さんだな」 などと怖がる若手の議員もいた。
森山克子が民民党党首に就任してから約一ヶ月後国会で次期総理大臣指名選挙があり民民党代表の森山克子は我が国初めての女性総理大臣に選出された。
森山はかって県会議員から国政に出ようと決心した時自分の生涯を掛けて達成したいと言う一つの目標を持っていた。それは少子化対策だ。国の少子化対策は20年以上も前からその時々色々な施策が講じられて来たがどの施策も効果に乏しく人口の減少傾向に歯止めが掛からず将来日本人は世の中から絶滅するとまで言われている。
そんな中、森山は長年講じられて来た少子化対策ではなく世の中の仕組みや人々の気持ちをすっかり変えてしまわないと子供を増やす事は無理だと思い、自分の考え方を強力に推し進めたいと考えていた。それには国会で絶対的な過半数を占める自分を支持してくれる党員たち全員が賛同してくれなければ改革に必要な新たな法案を次々と成立させる事は難しい事も十分に理解していた。とりわけ、森山が密かに練り上げてきた構想をオープンにすると、男性議員の中には相当反発する者が出ると予想された。
そこで森山は最初に日頃自分に対する忠誠心が強い衆参両議院の中から10名を選んでワーキンググループを立ち上げた。
「この構想を明らかにすると賛否両論世の中が騒々しくなるから構想がまとまるまでは一切口外しないで下さいな。皆さん分かったわね。もしもよ、事前に世間に漏れたら私が推し進めたい構想が確実に頓挫するわね」
「・・・」
今回選ばれたワーキンググループのメンバーは全員黙っていたが森山は全員が納得してくれたと確信した。そこで森山は自分の考え方を皆に話す準備に取りかかった。