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また来世で会いましょう  作者: あおいあお
第一章 七日間の旅編
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08:三日目



 小刻みに伝わる振動と、心地良い馬の足音で意識が浮遊し始める。

 すっと目を開け、眩しさに数回目を瞬かせると、目の前に焦点を合わせる。


 膝が見える。

 白い清潔な服に包まれた人の足が。

 そのまま右に伸び、ブーツが地面に──いや、馬車の床に着いていた。

 誰かが正面に座っているのだ。


 上の方から差す光が昼である事を知らせる。

 更に、頭に感じる柔らかな感触。

 僕は手を突いて起き上がると、さっきまで自分の頭のあった場所を見た。

 そこには、布を畳んだ物が枕の代用として置いてあった。


「あ、預咲さん! 大丈夫ですか!?」


 と、向かいからそうエリア様が声を掛けて来た。

 少しその姿に違和感を覚えたが、それは髪色が元に戻っているからだと気づいた。


「ん、むぅ……起きましたか」


 と、エリア様の隣に居たリリスも気付く。

 半目で眠そうだ。

 というか、さっきまで寝ていたのだろう。


 確か悪魔に殴られて、それから……

 それから、なんだっけ?

 いや、それより。


「あ、悪魔は!? どうなったんです!?」


「悪魔はボンってなって逃げました。それより預咲さん! 容態は!?」


 エリア様がそんな事どうでもいいと訊いてくる。

 僕の身を案じてくれるのは嬉しいが、悪魔がボンって何!?

 その疑問は内に秘め、とりあえずエリア様を安心させる様手を開いたりし。


「何とも無いです」


「そう、ですか。よかったです」


 安心した様に脱力するエリア様。

 相当心配されたんだろう。

 ていうか、本当に何とも無いな。

 逆に不安になってきたんだけど。


「僕、大分怪我してたと思うんですけど」


「ああ、治癒はリリスさんが」


「ち、治癒?」


「ああ。えーと、治癒魔法の事です。私も詳しく知らないんですけどね」


 そう困った様に頬を掻くエリア様。

 治癒魔法?

 何だそれ?


「他の人はレミリアさんの治癒で元通りです。すごかったですよー、治癒魔法。初めて見ました。あ、まあ、人が怪我してるのに不謹慎かもしれませんが」


「怪我が治る? そんな事があるんですか?」


「はい。ありますよ」


 マジか! そんな便利なものまで!


「えぇと。って事は、今回の件で亡くなった人は居ないって事ですか?」


「そうなりますね。ちなみに一番怪我が酷かったのは預咲さんですよ」


 正直喜べばいいのか分からない情報も来たが、その返事に素直に安心する。


「とりあえず、よかったぁ」


 一先ず安心できたところで、いつの間にか強張っていた肩を下ろす。


「で、えーと、リリスが僕の傷を治してくれたの?」


「ええ、まあ。その言い方だと、少々語弊がありますが」


 リリスは重そうな瞼を上げて応える。


「ありがとう。リリス。ていうか治癒魔法? まで使えるとは。こっちのことよく分かんないけど、リリスってば凄いんじゃない?」


「まあ、神を召喚できる程度には……。ただ治癒魔法はあまり得意ではありません。アズサの場合も、看病と言っても実際は見ていただけですし」


「それでも、ありがとう」


 多分冗談だろう。

 何もせずにあんな怪我治る訳ないし?


「いや、本当ですよ? 本当に見てただけですよ?」


「またまたー」


 リリスもこういう事言うんだなぁ。

 いや、それより。


 僕は馬車の後面から外を眺めた。

 後ろに続く馬車は無く、ここが最後列だと分かる。

 青々とした草原が広がる風景。昨日の事など嘘の様に平和だ。

 そして。


「悪魔は、どうなったんです?」


 僕はそれを再び問うた。


「悪魔はボンってなって逃げました」


「……そのボンってのは何なんですか?」


「燃えてたんですよ。気付いたら」


 要領を得ないエリア様に変わり、リリスが答えた。


「え? 燃え?」


「アズサが飛ばされた後、エリア様と目を瞑っていたんですがね。気づくと悪魔が燃えてたんです。内側から這うように」


 内側から、燃える?


「それで逃げて行きました。生きてるかどうかは分かりません」


 生きてるかは分からない、か。

 まぁ、内臓がやられたなら普通に死ぬと思うけど。

 それより燃える?

 勝手に?


「そんな事あるの? 急に燃える何て」


「まあ、まず無いでしょうね」


 となると。


「誰かが助けてくれたって事?」


「そうなりますね」


 ふむ、誰だろう。

 商会の作業員の人達か? それとも。


「乗客の中に凄い人が居たとか!?」


 通りすがりの……何か、凄い人とか!?


「まあ、その線が一番高いでしょうね。もしくは、能力が未知数の……」


 未知数の?


「え? もしかしてレミリア?」


「……まぁ、かも知れませんね」


 と、リリスはどこか歯切り悪く答えた。

 って言うか今思ったけど。


「レミリアは? もしかして、もうお別れ? あれ? そう言えば僕ってどれくらい寝てました?」


「時計が一周するくらい寝てましたよ。今は午前の十一時です」


 と、そう教えてくれるエリア様。

 そ、そんな寝てたのか。

 そりゃ心配の一つもされるわな。


「そして、今朝それぞれの乗合馬車が出発し、私達ももうすぐルンバスへと着くそうですよ」


 ……仕方ないか。

 ただ別れの挨拶くらいしたかったなぁ。


「で、レミリアさんは急用ができたとか言って私達の馬車に乗り込み、ルンバスへ逆戻りしています」


「……はい?」


 続いたその説明につい訊き返した。


「レミリアさんは一つ先の馬車に乗ってますよ。こちらの商会に料金を払って乗り継ぎしてました」


 の、乗り継ぎってそういうもんだっけ?


「って言うか、レミリアも護衛では?」


「そこはまあ、いろいろと話合ったみたいで。荷物台ですけどね。馬が逃げたとかで」


「あら」


 そういや馬車が倒れてたもんな。

 お馬さんには是非平和に生きて欲しいところだ。

 しかし、わざわざ乗り換えて移動するとは。


「何かあったんですか?」


「あー、それなんですけどー」


 と、エリア様はまるで勿体ぶる様に一拍置き。


「バレちゃいました。私が神エリアである事」


 そう驚かす様に、いや降伏する様に両手を上げて言った。









「も、もう一回聞くニャ。なんで素性を隠したニャ?」


 レミリアが頬を引攣らせつつ、本日三度目の質問をした。


 ここはある建物の客間。

 十畳程度の空間で、膝辺りまである壇上へと僕らは上がっていた。

 レミリアはテーブルの前に正座し、若干前のめりでエリア様と対峙する。

 対するエリア様も正座し、レミリアの質問をゆっくりと反芻している様子。


 そんな光景を眺め、僕は奥の壁際で胡座をかいていた。

 一人分空けた右隣にはリリスが膝を抱えて座っている。顔を伏せがちで眠そうだ。

 左隣の三人分空けた所には、綺麗な深い青髪の女の子が、同じく膝を抱えてエリア様達を見ていた。

 そのも髪をレミリアと同じく肩口で揃え、服装もエリア様やレミリアと同じ祭服?っぽい物。

 白を基調とし、その娘のは所々青の刺繍であった。

 見た目的には十四歳前後と言った所か。レミリアよりも更に幼く見える。


 あの娘も天使だろうか?

 と、やがてエリア様が目を泳がせながら。


「えーと。見つかったら、何かめんどくさそうだなー、って……」


 その返答に暫し微妙な表情で絶句するレミリア。

 そして立ち上がりざまに。


「取り敢えず、天界には報告しとくニャ」


「や、やめてぇー!?」


 一瞬でテーブルを周ってレミリアの腰にすがり付くエリア様。

 一応信者も居るのに何やってるのかこの神様は……

 しかも、その信者達の総本山で。


 僕らがレミリアに連行されたここは、エリア教の唯一にして本部である教会であった。

 レミリアが、いやレミリア達神エリア捜索班の活動拠点としてると言う場所は、エリア教の総本山だったのだ。


 エリア教。

 信者数は二百人程度で国から宗教として認められてはいるものの、今は衰弱化の一途を辿っており、信者数及び寄付金などもそれに伴っている。

 という話を道中リリスから聞いた。

 何でもエリア教は数多ある宗教団体の中でも底辺も底辺なんだとか。

 そして、更に衰弱化の一途を辿っていると。

 エリア教って結構瀬戸際らしい。


 その話を道中エリア様と聞いていたが、エリア様はエリア教がそんな事になっているとはその時知ったらしい。

 と言うかそれ以前にエリア教の教会がこの街にある事すら知らなかったと。


 エリア教は大丈夫だろうか?

 エリア様は自分の信仰団体何て興味無さそうだった。

 話を聞いてる時も、隙を見てはレミリアから逃げようとしていたし。

 何故そんなにこっそりと帰りたがるのだろう?

 まあ、ともかく。

 いろいろと画策と言うか愚策はしてきたが、こうやって敢え無く捕まってしまっているのだ。


「取り敢えず、見つかった事だけでも報告しなくちゃニャ!」


「いやー! そこを何とか!」


 部屋を出て行こうとするレミリアの腰に縋り付くエリア様。

 だからこの人は何やってるのか。


「大体何でそんな嫌がるニャ!? 私の切望の感情を汲み取って欲しいニャ!」


「だから面倒くさいからって言ってるじゃないですか! それから、今の貴女からは私と同じくらい面倒と言う感情を感じます!」


 段々と声を荒げる二人。

 何だか白熱してきたし、そろそろ止めた方がいいかな? 

 こういう時、つい周りを見てしまう。

 リリスは……寝てるな。そっとしとこう。


「止めなくていいんですか?」


「うわっ!?」


 と、急に後ろから声を掛けられさっそく声を上げる。


「あ、すみません! 驚かせてしまいましたね」


「い、いえ」


 そう青髪の娘へと応じる。

 リリスは……大丈夫だ。眠ってる。


「そもそも! 勝手に下界降りたりしなきゃ良かったニャ!」


「なっ!? こっちの気も知らずにぃ~!」


 いよいよ頬を引っ張り合いだした二人。

 これはもう我関せずでいこう。

 ていうか青髪の人ー、あなたこそ止めなくていいんですかー。

 そう思い横を見ると、青髪の娘が泣きそうな、縋る様な目でこちらを見ていた。


 ぼ、僕に止めろと?

 えぇ……


「あの、私メリアっていいます」


 と、僕が渋っているとその娘は自己紹介してきた。


「えーと、預咲って言います。どうぞよろしく」


「はい。よろしくお願いします」


 そう言って、青髪の娘改めメリアさんはにっこり微笑み。


「で、どうします?」


「えっと、何がでしょう?」


「いえいえ、すっとぼけないで。どっちがあの人達を止めるかですよ」


 僕は視線を前方に向ける。

 そこには未だ何か言い合い、互いの頬を引っ張り合う二人の姿。

 んー、嫌だなぁ。


「ここはそもそもの元凶であるエリア様と一緒に行動していた、あなたが止めるべきだと思うのですよ」


「うっ」


 先手を打たれた。

 メリアさんは至って真剣な顔で訴えてくる。

 先程の表情は演技だったらしい。

 何てしたたかな女性だ。

 だが、僕も譲る気は無い。いや、譲らせる気しか無い。


「確かに言いたいことは分かります。が、あなた方の仕事は何ですか? 僕が居なかったら遂行できない様なものですか?」


「うぐっ」


 よし、効果あり。


「いや待って。仕事の話したら、私達だって別にケンカ止めに来た訳じゃないし」


「うぐぐっ」


 と思ったらカウンター食らった。

 どうする?

 どうしよ……って、あれ?


「じゃあ放って置いてよくない?」


「あ、そうですね。そうしましょう」


 と言う話で落ち着き、暫し二人の喧嘩の声だけが聞こえる。


「いい、痛いニャー! もう天界に報告するニャ! あっ、ちょ。どこ触って……!」


「へんはいにほうほふはへわー!」


 いや、いいんだ止めなくて。

 止めなくても……


「ジャンケンで決めません?」


「ジャンケンポンッ!」


「うわっ、せこ!」


 出遅れた僕は手をグーにしたままメリアさんに負けてしまった。


「ふっ、これが世の中。って事で、よろしくお願いします!」


「うぅ。はいはい。行きます」


 不完全燃焼だが埒が明かなそうなので立ち上がる。

 っていうか、こっちにもジャンケンあったんだな。

 時計もあったりするし、やっぱああいう形が最適なのかな?


「皆んな聞いてくれ!」


 と、僕がいよいよ二人を止めようとした所で、奥の扉が開くと切羽詰まった様な声が響き渡った。

 急なでき事に皆それぞれの行為をやめ、一斉に扉の方を向いた。


「って、あれ? お客さん? またレミリアのところの子? って、レミリアも居るし」


 そこには祭服っぽい服を着た青年がいた。

 薄い灰色の髪と同じく灰色の瞳。齢は僕より二つ、三つくらい上だろうか? 好青年といった印象を受ける。


「あ、クレっち」


「やあ、レミリア。まだ出発してなかったんだね。ところでこの人達は?」


 青年は僕らを見据えてレミリアに問う。


「あー、その人達はー……え~」


 今思ったが、この教会には何と言って滞在を許可してもらったのだろう。

 まさか御宅の神様が迷子なので、見つかるまでここで泊まらせて下さいとは言ってないだろうけど。


「し、知り合いニャ。知り合い」


「ふーん。髪色が探してるって人と一緒だったから、ついその人かと思っちゃったよ」


「は、はははー。髪色は確かに一緒ニャろうけど、私達の探してる人間の娘とは違うから」


 若干辿々しくもそう説明したレミリア。

 どうやらエリア様は人間の娘って事になってるらしい。

 と、青年は僕達の方を向くと。


「僕はここの助祭をやっているクレイって者です。どうぞよろしくね」


 そう微笑んだ青年改めクレイ。

 助祭って、本物の聖職者の人? 初めて見たかも。


「ってそんな事より! 聞いてよレミリア!」


 と、そんな事はどうでもいいとレミリアに向き直るクレイ。


「どうしたニャ? そんな興奮して」


 レミリアも居住まいを正しつつ問うと。


「神言! 神言が渡されたんだよ! 神エリアから!」


 そう、クレイは興奮冷めぬまま口にした。

 神言? 何だそれ?


「え? えええ? クレイが聞いたのかニャ?」


「いや、司祭をやってる僕の父が聞いたんだ」


「ちなみに、内容は?」


「えーと、確か『六人とか……何とかかんとか?」


 後半は少し自信なさげに応えるクレイ。

 と、それを聞いてか、何故かエリア様が落ち着きなく居住まいを正し始める。


「まあ、神言なんて当てにならないし」


「まあ、そうなんだけど。実際僕が聞いた訳でもないし」


 そう視線と肩を落すクレイ。

 と、彼は僕の隣に視線を止まらせる。


「リリス?」


 クレイは半信半疑と言った具合に呟いた。


「ん……?」


 それにリリスは開いてるのか分からない細目で顔を上げ、また伏せた。


「リ、リリス!? 久々だね!」


 と、それを見るなり顔を輝かせたクレイ。


「クレイですか。久々ですね」


「うん。相変わらず寝起きは苦手みたいだね」


 どうやら二人は知り合いの様だった。

 リリスも寝起きで面倒そうにしながらも応じる。


「まったく、また急に戻ってくるんだから」


 クレイは言いながら靴を脱いで上がってくる。

 うん。なんか久々の再会っぽいし、僕が座ってた場所は譲ろう。

 レミリアに聞きたい事もあるし。


「あ、なんか悪いね。場所譲ってもらって」


「い、いえ。寧ろお邪魔してますって感じで」


「いいよ! そっちも大変な事情みたいだしね! 助け合いさ」


 そうニコッと笑うクレイ。

 かっけー。

 こんなお兄さんに憧れるなぁ。


 挨拶もそこそこに、レミリアがこいこいと手招きしていたのでそちらに向かう。


「取り敢えず、身辺整理ニャ」


 テーブルに着くなり、そうレミリアが宣言する。

 左からエリア様、レミリア、僕の順で座る。


「メリア、ちょっとお茶淹れて来てニャー」


「はいは~い」


 レミリアに言われ、メリアさんは軽い返事と共に奥の扉から出て行った。

 そう言えばクレイもあの扉から入って来たが、最初っから居たのだろうか? それか裏口でもあるのかな?


「あー、こほん。……ニャ」


 と、レミリアが態とらしく咳払いをする。

 そして一度クレイの様子を確認すると。


「今エリアさんはエリア教の迷子の娘って事になってるニャ。そして私達は雇われた探索班~、みたいニャ? 流石に神エリアが迷子何て言えないニャ」


 そう説明するレミリア。

 ふむ、概ね予想通りか。

 ここはその迷子の総本山だし。


「そしてもしエリアさんが心底困ったら、この教会を頼るだろうと、この教会を拠点に神エリア捜索が開始されたニャ」


 なるほど。

 エリア様側もここを拠点としてると思うかもしれないし。

 まあ、当の本人はこの町に自分の教会がある事すら知らなかったのだが。


「んで、言ってなかったけど、私が今回の捜索班の主任兼班長ニャ」


「えぇ!?」


 まさかの偉い人だった。

 驚く僕をレミリアはちらりと見るに留め。


「さっきの娘もここではそれなりに権限を持つ指揮する側ニャ。あと一人か二人指揮する側の子が居るけど……。あ、もちろん天使ね。私の部下は全員天使だと思って結構ニャ」


 そう引き続き説明するレミリア。

 ふむ。やっぱり天使だったか。

 見た目と違って全然仕事してれば出世もしてるし、年齢に関して見た目は当てにならなそうだな。

 実際幾つくらいなんだろう?


「あ、ちなみに天界はそんなに騒いでないから安心していいニャよ。エリアさんの部下も、普通に仕事してるし」


 レミリアの説明にエリア様の頬が若干引き攣る。


「でも、まあ。一応心配してくれてる人も居るみたいだから、真剣に帰ったらどうニャ?」


 と、今度は優しく論しだすレミリア。

 それに対し、エリア様は。


「こっそり、しれーっと帰れませんかね?」


 いつもどーりの返事をする。


「ニャ、ニャぁ。何でそんなに無かった事にしたいんだニャ? 天界に帰りたくないのかニャ?」


 エリア様の返事を聞いて、若干呆れてつつも心配する様に訊くレミリア。

 確かにレミリアに同意だ。

 なぜそんなにさりげなく帰る事を優先するのだろう?


「い、いえいえ! 天界では楽しくさせてもらってます。けど、も。その……」


 と、エリア様の言葉はだんだんと尻すぼみし、その視線はゆっくりと僕の方へ向く。

 え? 僕?

 何かしてしまったかと心当たりを探っていると、エリア様が一言。


「この人、異界出身なんです」


「……は?」


 エリア様の発言に、レミリアからは素の声が溢れていた。



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