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また来世で会いましょう  作者: あおいあお
第三章 竜凱山脈編
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72:決着と合流



「また雨かぁ」


 見れば分かると言う物だが、つい零してしまう。

 大きな洞穴から覗く景色は雨雲に覆われた灰色の空だった。

 そこから落ち始めた雨水が目の前の狼煙の火に入ってジュッと音を立てた。

 次期に消えてしまうだろう。

 もう今日はダメかもしれない。


 遭難して三日目。

 ここまで手がかりが無いと流石に不安になってくるが、都合のいい洞穴を見つけられたのは幸いだった。

 かなり大きい。半球状態で繰り抜かれる様にして広がっている。

 奥行きは無いが雨は十分凌げるし、目の前は森で風も入りにくい。

 魔物の痕跡も無ければ手付かずの様に木の実もあるので、下手に動くより狼煙を上げ続けてここで待っていた方が良い気がする。

 それくらいここは都合の良い場所だった。

 今日は雨で一時止みそうにないが、ここで暇してればいい。


「にしても、運が良かったね。こんないい場所見つけられて」


 僕は振り返って焚き火の前で膝を抱えて座るリシアに言った。


「そうね」


 リシアは何処か気落ちした様に応じる。


「やっぱそれ気になるの?」


「う、うん」


 心ここに在らずなリシアに問うと、珍しく不安気に頷いた。

 その視線の先にあったのは、ここら辺に唯一有った何かの生き物の糞である。


「蝙蝠の糞って感じじゃないし、熊にしちゃ大きいし」


 僕には土の塊にしか見えなかったが、リシアには違いが分かるらしい。


「結構前のっぽいから大丈夫そうだけど、にしてもここらって不自然に二次消費者が居ないのよねぇ」


 二次消費者って言うと、肉食動物の事か。

 魔物とか居るこの世界って生態ピラミッドが複雑そうだな。


「そういや魔物の生活圏が変わったとか、途中で会ったお姉さんが言ってたっけ」


 それで街の方では足止めも食らったし、西に行く経路も使えなかったのだ。


「竜がどうとかって言ってたわね。知性の低い魔物程レベル差には敏感だからね」


 リシアが僕の言葉に応じる。


「もしかしたらここらって、あの竜の縄張りなのかもね。差し詰めここは寝室かしら? なーんて」


「あはは。まさかー」


 僕はおどけて見せたリシアに笑って応じた。

 一頻り微笑み合い、そして。


「「…………」」


 急に実感の湧いてきたその仮説に僕らは押し黙った。

 沈黙が耳に響く様だ。


「まま、まさかね。それにその糞だって随分前のなんでしょ?」


「え、ええそうよ。そうね。寝床に糞をする習性なんか無いわ。飛竜ワイバーンに。それに、ここが寝床なら昨晩かち合う筈よ」


「確かに!」


 僕らは仮説を否定する様に言い合い、リシアの言葉にほっと息を落ち着かせた。が、その直後リシアは何か思い至った様に青い顔をする。


「ど、どうしたの?」


「そう言えば、飛竜が縄張りを変えるか拡げる時、今まで使ってた住処に取り置きとしてマーキングをする習性があったわ」


「え、それってつまり」


 僕は先を言い淀む。


「たかが糞でも、それが飛竜のとなれば魔物にも十分な威勢となる」


 リシアが代わりと呟いた。


「す、すぐに出よう」


 僕はリシアを急かそうと言うと、リシアは僕の後ろを見上げて驚いた様に固まっていた。


「え? ね、ねぇ、嘘でしょ? またそのパターン? 冗談だよね?」


 その既視感にとても嫌な予感がして僕は恐る恐る後ろを振り返り。


「って、何も居ない……あ、狼煙だ!」


 そして遠くの方で上がっていた白い煙に気がついた。

 下流の方向に空へと身を突き進ませながら風に身を倒す煙が二つ上がっていた。


「あれは二つ上げてるって事は、こっちのに気付いて向かってくれてるみたいだ!」


「良かったじゃない! じゃあここでのんびり待てば万事休すね!」


「う、うん」


 元気に言ったリシアに僕は歯切り悪く頷く。


「大丈夫よ! 例えここが竜の巣だったとして、クレナ達の方が先に来てくれるわよ! 竜と鉢合わせるなんてそんな滅多な事ないない」


「そ、そうだよね。一晩過ごした訳だし」


 リシアの言葉に少し安心した僕はまた煙の方に視線を戻した。

 と、片方の煙が黒い煙へと変わり始めていた。

 ん? あれは……


「確か、片方黒が〝警戒せよ〟で、両方黒が〝すぐに逃げろ〟だったっけ」


 言いながら観察していると両方の煙が黒へと変わり、僕は煙に気を取られて気付かなかった空飛ぶ物体が目に入る。

 竜が真っ直ぐにこちらへと向かって来ていたのだ。


「「ぎゃぁーーーー!」」

 

 結局このパターンだった。









 川沿いを意識しながらリシアと木々の中を直走る。

 竜は完全にこちらに目を付けてる様だった。

 やはりあれは竜の住処だったのだろう。竜は時折り咆哮を上げながらこちらへと向かって来ている。

 大変ご立腹の様子だ。そりゃ住居侵入の上我が物顔で暖まっていたら怒るだろうが。


 そう雨に体を濡らしながら何となく考えたりするが。


「ここ、これって結構ヤバくない!?」


「ヤバい何てもんじゃないわよ! 縄張り荒らした侵入者ぐらいに思ってたら明日の今頃には良くて土の肥やしよ!」


 竜って快便なんだな。って言ってる傍からもうすぐ後ろに来てる!


「リシア危ない!」


「きゃわ!」


 竜が周囲の木々に構わず突っ込んで来るのを見て、僕はリシア飛び付くとそれを回避した。

 凄まじい重量の物が打つかった音と木々を薙ぎ出す音が響く。

 舞い落ちる草木に姿が隠れ、舞い上がる土が濡れた体に被る。

 茂みを這いずりながらできるだけ竜と距離を置くが、そんなの関係無い様に竜は直ぐにこちらを見つけると首を伸ばす。

 そして牙の並んだ大きな口を開けて目の前へと──


 あ、ヤバ。


 終わった。死。そう思った瞬間。

 ──パンッ! と、空気を穿つ発砲音が響いた。

 リシアが猟銃で撃ったのだ。

 口の中を撃たれ、堪らず叫びながら身を翻す竜。

 とにかく今しかない!


 僕は立ち上がると剣を引き抜き竜へと構えた。


「リシア、逃げろ」


「は、はぁ? 何言って」


「いいから早く!」


 僕は振り返らず語気を強くして言った。


「嫌よ! 舐めないで! 私だって銃持ってるの! 二人の方が生存率はぐっと上がるでしょう? 二人で帰るのよ!」


 それに負けじとリシアは立ち上がり言い返してきた。


「そうだね。悪かった」


 ここで折れないのは仲間として失礼だと思い、僕は謝った。

 どうせ竜を引き連れたままクレナ達と合流なんかできやしない。

 僕らでどうにかするしかない。


 竜は僕の様子を見ると動きを止めて、上げた首から僕らを見下ろしていた。

 今思い出したが、ずっと前ロビアの方で山脈の亜種竜に関する討伐依頼を見た気がする。

 きっとこいつの事なのだろう。

 であれば、人と戦うのは初めてじゃない筈。この剣や銃も、どういった物なのか分かっている。

 そしてその場合、こいつはどうするのだろう。

 口にくれてやった鉄砲玉と言い、いい加減おやつや遊び相手から敵として見られた場合、こいつはどう動く。


 多少無理の利く体だ。僕に噛みつこうものなら口の中にズタズタにしてやる。


 そう思って剣を持つ右手が力む。そして動きの止まっていた竜の体が一瞬ブレたかと思うと、横から木々を巻き込む衝撃が襲った。


「ぐっ!」


「きゃぁ!」


 僕らは全身を打つそれに為す術も無く転がった。

 僕は視認した先程のそれを理解する。

 簡単な事だ。竜は尻尾を使ってきたのだ。

 飛び道具や武器を持つ相手には急所から一番遠い部位を使う。実に合理的で当たり前の事だった。


「リシア!」


「だ、大丈夫!」


 幹の下敷きになってないか心配で呼ぶとすぐに返事があった。

 無事みたいで安心する。

 立ち上がり周囲を確認すると、僕らと竜との間で弧を描く様な範囲で木々が折れていた。木々が開いて川が見える。

 一つ良い事があるとすれば、結果的に竜と少し距離ができた所か。

 だがまだこの距離じゃきっと尻尾の射程内。

 木々が邪魔しない分今度は直接潰しに来そうだ。

 そうなると……

 僕は竜の尻尾が持ち上げられるのを見てすぐにそれを実行した。


「よし! やっぱ逃げよう!」


「え、えぇ!? さっきはちょっと見直したのに」


 僕はリシアの手を取るや脱兎よろしく走り出した。剣は左手に持ち替え右手でリシアの手を引いた。

 すぐ後ろで尻尾が打ち付けられたのだろう。地を叩く凄まじい音と衝撃が響いた。


 いや、あれは無理。今だって二人揃って挽肉ミンチになる寸前だった。


 僕は振り返って竜の様子を見た。竜は伸ばしていた尻尾を戻すと余裕たっぷりにゆっくりと四肢を使って歩き出した。


 ま、と言って見逃してくれる相手でもないだろう。

 住処を荒らした以上確実に前回より執念深い筈。


 だが取り敢えずはこれで良い。こちらが全力で走っていれば尻尾は使ってこない筈。

 首を伸ばそうものなら銃と剣で牽制して急場を凌ぎ、隙を見てどこかに隠れよう。

 そう考えながら川と木々の間を走っていた時、草木揺るがす物音に振り返ると竜が翼を広げて飛び立つ所だった。

 一拍遅れてやって来た風に髪を靡かせる。


 飽きて帰ってくれるのか? そう思ったのも束の間、竜は翼を羽ばたかせながらこちらへと向かって来た。

 僕はそれに顔が引き攣る思いだった。

 低空を飛びながらたらんと下げた尻尾。

 あれで攻撃されるのは安易に想像付く。

 だが、その前に。


「うわっ」


「わあっ」


 僕らは後ろからの風圧にその場を転がった。

 それに竜は好機とばかりに滑空し接近してくる。四肢を突いて首を伸ばし、転がったままの僕らへ噛みつこうと口を開いて目の前に──来た時、リシアが銃口を向けた。

 それはきっと射角も狙いもあったものじゃない、寝っ転がって適当に向けただけのお粗末なもの。

 装填そうてんすらされてないかもしれない。

 だが竜になまじ知性のある分効果はあった。

 竜は目の前まで来て目を閉じ顔を逸らしたのだ。

 恐らく反射的なもの。


 この時、今しかないと思った。

 いや、いっそ思考ではなく、感覚的な物だ。

 とにかくやる事が分かっていれば案外足は動いた。

 僕は竜へ駆け寄ると顔を逸らして晒けた左眼目掛けて剣を振り下ろした。


 ──硬った……!


 硬質なその皮膚に驚くと同時、竜が叫びながら身を翻した。

 目の前のその巨体に圧倒される。

 このままじゃ潰されると思い、慌ててリシアを起こすと竜から距離を置いた。

 

 このまま川に飛び込もうかとも思う。水流と深さはまあまあある様に見える。一か八か流れに身を任せるか、変わらず木々の中を走るか。

 この先平地で木々も細く隠れられそうな場所は無い。

 どちらを行こうが賭けだ。

 いや、もう一つの選択として竜を倒してしまう手もあるが。


 と、竜は距離を取った僕らを追い掛ける事もなく、左眼に付いた切り傷から血を垂らしながら僕らをじっと見た。

 そして風の音が聞こえる程竜は目一杯鼻から空気を吸い始めた。


 あ。やばい。これはやばい。

 何か分からないが今までの比じゃない何かがくる。

 そう僕の感が全力の警報と共にそう告げていた。


「わぁっ!」


 僕はリシアを抱いてそのまま川へと飛び込んだ。

 全身を冷たい水が包み込む。

 直後、視界が赤く染まった。凄まじい光量に瞼越しにも伝わったのだ。

 水の中からも聞こえる轟音。

 水流に身を任せながら水面へと浮上し始めた時、熱を感じてまた身を沈ませた。

 水面付近の水が熱い。あまりの好奇心に目を開けると、曇った視界に映る水面は真っ赤であった。

 炎だ。凄まじい量。視界を埋め尽くす程の炎が地上を支配している。

 その熱に水面は常に蒸発して気泡が流れていた。

 今分かるのはそこまでだ。

 抱き寄せたままのリシアを共らって水流に沿って泳ぐ。

 とっくに息はキツい。急に川に飛び込み水面に上がる事も許されない。

 リシアには随分無理をさせてしまった。

 次第に赤色の無い水面が見えた頃、僕らは顔を出した。


「うぶっ……! ぁ、ぶっ!」


 水面に上がっても手をジタバタさせて余裕の無いリシア。

 溺れていた。

 不味い。川は海と違って真水。体の上部2%しか水面に上がらない。

 僕はリシアの服の後ろ襟を掴むと引き寄せ顎を持ち上げた。


「ぷはっ! はぁぁふぅ〜っ! はぁ、はぁ……。げほっ、げほっ! ぺっ!」


 息を吸い落ち着きを取り戻したリシア。こうなれば簡単だ。

 浅瀬の方へとリシアを連れて泳ぐ。

 大体の事は平均的に熟す僕だ。水泳も例に漏れずできる方だった。

 この体なら溺れ死ぬ事もなさそうだと冷静さを手助けする要因にもなっている。


 リシアを頭が出るくらいの浅瀬へと連れて、二人して上流の方を見た。

 そして絶句する。

 一面燃えていた。僕らが居たであろう場所、そして周囲の木々も巻き込み全てが火炎に包まれていた。

 宛ら地獄が顕現した様だった。


 こ、これが竜。Bランク相当の魔物。

 そうだ。こいつは街の一部を半壊させた悪魔や、その街を氷漬けにしてしまったリリスと同等の存在。

 同じような芸当ができて然るべきなのだ。


 竜はいい加減これで満足したのか、上流の方向へと飛び去っていく姿が見えた。すっきりしたのだろう。

 それを見送って張りっぱなしだった緊張の糸も徐々に緩んだ。


 上流の方から一塊りの火が流れてくる。僕は最初木に燃え移った物が流れてきたのだろうと思ったがそれは違った。

 リシアがパシャパシャと水を立ててそれを鎮火する。

 まるで水に浮かぶ砂が溶けゆく様に、その『火』そのものは水に沈みながら消えてなくなった。


「な、なんで水が燃えてるんだ」


「魔法で作られた火は消えにくいのよ」


 またその理論か。

 火は酸化する化学反応の一種だったが、これはその状態そのものを作り出してるのだろう。

 故に水の中で燃えると言う意味不明な事も起こっていた。


 であれば上流を燃やしている火もいずれ流れてくる。

 僕らは地上へと上がり、お互い四つん這いになって息をした。

 ちょうど雨も止み始めていた。


「と、とりあえず、無事でよかった」


「え、ええ」


 一先ずは無事を喜び合う。


「怪我は?」


 ふりふりと首を横に振るリシア。

 リシアの銃剣もそうだが、ずっと剣を持ったまま泳いでいた。

 リシアに当たらなくてよかった。


「それより、早く行きましょ。追ってこないとも限らないし」


「そうだね」


 そこで僕は狼煙を目指す当初の目的を思い出し、空を仰ぎ見た。

 未だ狼煙は健在。

 僕らはびしょ濡れの体のまま、狼煙を目指して歩き出した。

 あれは元々『そちらに行く』から『すぐに逃げろ』に転じた物なので、僕らが目指す要素はないのだが、今はここから一刻も早く離れたかった。

 それに山火事の煙でよければで既にこちらにも狼煙は上がっている。


 草木を踏み進めると木々が開け、所々水溜りのある土壌へと出た。

 林道に出たのだ。その後はその道を進む。

 その頃には雨も止んでいた。


 そして林道の先から一台の馬車が顔を出した。

 屋上に乗った誰かが手を振る。

 間違いなくクレナ達の馬車だろう。舞い上がる気持ちにリシアと顔を見合わせる。


 ここで走って駆け寄る程互いに体力は無く、僕らはゆっくりと歩きながら合流するのを待った。

 空を見上げると雲が割れ陽の光が差し込み地上を照していた。

 雨で浄化された後の僕らを暖かい光が包む。

 次第に水溜りへと青空が反射して綺麗だった。


 馬車が目の前まで来て歩みを止める。

 御者はリリスだった。僕はその姿を見て漸く戻って来れたんだと実感する。つい目にうるりと来てしまう程だ。

 そんな僕に雨合羽姿のリリスは御者台の上から微笑む。

 それだけで報われる様だ。今までの苦労を全て分かってる様な瞳だった。


 と、屋根から同じく雨合羽姿のクレナが飛び降りる。


「また派手にやったな。……無事で良かった」


 そう最初は僕に言って、二言目はリシアの方へ向けて言ったクレナ。

 それにリシアは素直に嬉しそうに微笑んでいた。

 と、馬車の方から人の降りる音が聞こえると、こちらに駆け寄ってくる少女が居た。

 無論、マリンだ。


「アズサさん! リシアさん……!」


 感極まった様に僕らを呼び、潤んだ瞳を向けるマリン。


「マリン、びしょ濡れじゃないか」


「だ、だって、マリンも探したかったから」


 クレナの言葉にばつの悪そうに応えるマリン。

 今のマリンはいつものローブ姿だが、肩から上だけが異常に濡れていた。

 自慢の金髪もしっとりと水気を帯びている。

 大方窓から乗り出して探していたのだろう。


「ありがとう、マリン。頑張ってくれたんだね」


「え、へへっ」


 僕の言葉に嬉しさを隠しきれない様に頬を緩ませるマリン。

 にやりと笑う感じがマリンらしくて可愛い。


「皆んなも、ありがとうね。探しに来てくれて」


 僕は皆んなを見渡してお礼を言った。それぞれ微笑みと頷きで返してくれる。

 こんな仲間を持った事を心底幸福に感じる。


「先程竜がそちらに向かった時は肝を冷やしましたよ」


 と、御者台から降りたリリスが言う。


「諌めるのが大変だったよ」


 それにクレナが馬の口取りをしながら肩を竦めていた。

 その時だ。僕が馬専用の雨合羽を着て今の今まで気付かなかったそれに気付いたのは。


「ねぇ、何で馬が違うの?」


 つまりはそういう事だった。クレナの口取りする馬の片方は少し小ぶりで、だが体格はしっかりとした子で明らかにうば丸達の種類とは違かった。


「あー、まぁ。いろいろあってな。行きながら話そう」


 そうクレナは流す。

 流石の僕も何かしらは察した。


「お帰りなさい」


 と、僕の前へと来たリリスがそう言って優しく微笑んだ。

 いろいろ訊きたい事もある。だが。


「ただいま」


 だが今は、ただ帰還を喜ぶ事だけにした。



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