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また来世で会いましょう  作者: あおいあお
第三章 竜凱山脈編
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プロローグ:お伽噺



 昔々、まだ人と魔が隔たれていた時代の話。


 悪とされる者達が、人々の住む世界へいたずらをしていました。


 その者たちは城を築き、国を掲げ、王が誕生しました。


 魔を統べる王。

 魔王の誕生です。


 魔王は強大な力で悪を従え、いっそうといたずらを広めて行きました。


 これは、そんな時代の、ある日のこと。


 ありふれた時代の、あるありふれた村の、ありふれた村娘。


 その少女が、菜の花を取りに山へと向かった帰りでした。


 自身の育った村が、燃えていたのです。


 魔王のいたずらが、ここまで来たのです。


 ああ、村が。

 ああ、母が。

 ああ、皆が。


 その時、少女は深く深く傷付き、悲しみ、思いました。



 ──魔王を倒そうと……







 小刻みな揺れと目蓋を微かに照らす光りに僕は目蓋を開ける。

 夜明け前の光明はうたた寝から起きるにはちょうどよくて、まるで僕の目覚めをその日が祝福してる様だった。

 そんな恥ずかしい事思える頃には意識も覚醒し、僕は手から落ちそうになっていた絵本を持ち直した。

 当然ここが馬車の中である事も思い出し、背に預けていた体を起こす。


「おはようございます」


 と、一番にリリスが挨拶してくれる。

 対面の奥側に座るリリス。その正面──僕の隣にはマリンが座っている。


「おはよう。リリス」


 僕もリリスへ笑顔で返す。

 マリンがまだ寝てるので、少し控えめに。


「もうすぐ着きますよ」


 と、リリスは御者越しに外を眺めて言った。

 その時後ろの窓から陽光が差して馬車内を照らす。

 黎明の寒気さ感じていた中、その明かりに手元の絵本を見下ろした。


 これはこちらの世界で親しまれる、児童書の一つである。

 子供向けなので言葉の表現に多少の曖昧さはあるが、それも含めて勉強だ。

 僕は明るくなり始めた馬車の中、途中まで読んだその絵本を広げた。


 いずれ魔王が王女を拐い、激昂した王が英雄を募る。

 そして真の勇者のみが抜くとされる聖剣を少女が抜き、彼女の冒険譚が始まった。

 それから少女は旅の過程で仲間を見つけ、強力な武器を集めてやがて魔王を倒す。


 そんな、どこにでもあるような。ありふれた。



 ──お伽話だ……



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