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② ストライキを極端にやらなくなった日本人労働者/ジョブ型雇用の罠

筆者:さて僕が考える収入が上がる方法の1つ目としましては“ストライキを行うこと”です。


 一つ前の項目で、同じような仕事の相場などの需給バランスでもって給与が決定していることを解説させて頂きました。

 逆をいうなれば、労働者側が納得しなければこの関係は崩壊することになります。

 ようは、企業側に対して“今の給与に納得してないぞ!”と言うことを伝えるのです。



質問者:そう言えば最近その単語を聞かなくなってしまいました。

 確かに実行することができれば給与を上げてもらえるでしょうけど……どうして最近は聞かなくなってしまっているのでしょうか……。



筆者:正確に言うならば“日本で聞かなくなった”だけなんですね。


 ILOのデータベース によれば、世界56カ国2010年以降に発生した争議行為の世界合計は4万4,000件、


 それに対して日本は少ないです。厚生労働省の「労働争議統計調査」はストライキやロックアウト、サボタージュなどを「争議行為を伴う争議」として分類しています。その数は2021年度で55件で、参加人数は7858人になっています。


 全世界な傾向で見てもストライキは減少傾向のようですが、日本は顕著です。

1974年には最大9681件だったストライキ数は1980年代半ばから減少し、1991年には1000件を割り込み935件まで減少しました。2009年にはついに2桁の92件となり、減少は今もなお続いている状態です。

 労働審判などで解決が図られる「争議行為が伴わない争議」も同じく減少傾向のようです。


 ドイツなどは依然として4桁のストライキはあるようですからね。日本の2桁の労働争議の数は顕著に少ないです。

 

 アメリカでも数は日本と近いようですが、アメリカは給料が上がっていますからね。

 現在は物価高に賃金上昇が追い付かなくなっているのでこれまで労働組合が存在していなかったアマゾンやグーグルにおいても労働組合が結成されて活動しているようですから、日本よりも活発的に動き始めていると言えます。



質問者:全世界でストライキが減っているにしても日本は賃金が上がっていませんからね……。

 ストライキをやらない理由が無い気もしますが――どうしてストライキをやらなくなってしまったのでしょうか?



筆者:前回の項目でお伝えしましたが、バブル経済の後の労働組合と企業側との交渉で「終身雇用」と引き換えに給与の上昇を失いました。


 しかし、労働組合もその代償を支払うことになります。労働組合組織率が壊滅的な低さになってしまいました。

 2022年6月30日時点で16.5%と1年前に比べて0.4ポイント低下、過去最低を更新したようです。

 雇用者数は女性の社会進出などもあって6000万人を超えたのですが、組合加入者は1000万人を割り込む999万2000人だった模様です。

 

 合法的なストライキを起こすためには労働組合が必須ですからね。

本来はストライキを行っている無給期間の補填のために組合会費があるはずですが、こうした既得権益維持のためのストライキは未然に防がれています。

 こうした、裏取引がある以上、社員は組合費をどぶに捨てるようなもので、労働組合に加入する意義が無くなるのは当然と言えます。



質問者:なるほど……。



筆者:また歴史的な動きも影響しました。1970年に安保闘争で日本人は国会前でデモをするほど動いたのですが、結果としては破壊活動を行った人々は逮捕されて強行的に採決されてしまいました。

 

 このことから、“動いても無駄”と言う価値観が広がったことも大きな影響があると思います。



質問者:なるほど70年代にそう言う背景があったのですね。



筆者:ただ、給料の上昇の代わりに勝ち得たはずの「終身雇用」も現在は怪しくなってきています。


 企業は派遣労働が自由化されてから、人件費を固定費から変動費に変えることで効率を上げ、派遣や非正規の労働者を「雇用調整弁」として使えるようになりそもそも正社員で雇わなくなりました。


 また、正社員として頑張って勤め上げても退職金の平均額は20年で1000万円減少したというデータが厚生労働省は「就労条件総合調査」で明らかになっています。



質問者:なるほど……守ったはずの「終身雇用」のメリットはほとんどなくなりつつあるのですね……。



筆者:しかも、2021年にサントリー社長が「45歳定年制」と言う発言で炎上したように、企業側としたら中年の人達には早期に辞めて欲しいと内心思っているわけです。


 そこで定年にするまでも無く賃金を抑える作戦として出てきた考え方が「ジョブ型雇用」です。


 ただ、これは非正規雇用に近い状況になる可能性もあるので会社側としては“賃金カットの手段の一つ”として活用しようとしています。



質問者:ジョブ型雇用と言うのは終身雇用の対極的な存在としては聞いたことがあるのですが、日本ではあまり進んでいませんよね? 



筆者:ジョブ型雇用は進まない方が良いと思いますよ。


 ジョブ型雇用の前提としてある考え方として、「同一労働同一賃金」というのは低い方にあわされがちです。

 日本郵政では非正規雇用と正規雇用との有給の取り扱いを平等にするために、なぜか非正規雇用の低い方に合わせて正規雇用の有給休暇の数が減らされました。


 勿論、全ての会社がこのような動きをするわけではありませんが“法律に則った行動”として正当化されてしまうということは大いに問題です。


 これは“差別の禁止“を規定しているだけで”均等にしなければいけない“わけでは無いからこういう本末転倒なことを許しているわけなのです。


 当初、同一労働同一賃金は「非正規雇用を正規雇用並みの水準に上がるのではないか?」と皆さん歓迎したと思うのですが、現実として起きていることを見ると「正規雇用を非正規雇用まで落とす戦術」なのです。



質問者:正規雇用の待遇が下がるだなんて――これでは“平等“になっても社員の誰も嬉しく無いですね……。



筆者:非正規雇用の方々の一部が「正規雇用ざまぁ」と思うかもしれませんが、

 自分達(非正規雇用)の待遇は何も改善していませんからね。


 また、ジョブ型雇用で従業員に求められるのは「定められた範囲の業務を滞りなくきちんと行うこと」です。端的に言えば、その仕事さえできていればよく、高い成果を出しても給与に反映されるわけではありません。


 ジョブ型雇用においては、「昇進」と「採用」は本質的には同じになっています。

 つまり、今より上のポストに移りたいならば、そのポストが空くのを待って、空いた際には自分から手を上げなければなりません。


 日本では「手が空いていたら別の社員の業務を手伝う」という文化も根付いており、職務内容が変動的になっているケースもあります。


 この様にジョブ型雇用は日本文化にも合っていません。従って、ジョブ型雇用が社員の収入増の要因になるとはとても思えないのです。


 むしろジョブ型雇用を推進している会社は就職しない方が良いですし、今所属している会社が始めようとしているのなら、上記の理由から反対又は転職した方が良いでしょう。


 ジョブ型雇用が日本全国に拡大してしまいますと収入の不安定化に繋がりかねませんからますます少子化にも繋がるでしょうね。



質問者:なるほど、だからストライキをして給料を上げて下さいという話になるわけなんですね……。



筆者:ただ、そもそも労働組合が無い中小零細には何の役にも立たない方法です。


 また、権利を主張するための暴力革命は何も解決しないので注意が必要です。

常に論理的で理知的に相手を納得させなくてはいけないと思います。


 次に、労使交渉やリスキリングによって給与を上げる方法について考えていこうと思います。

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