第29話「後日譚」
Side 天野 猛
ブラックスカルの騒ぎは収束。
あの後、猛は丸一日寝てもダルさが感じる程の疲労が残っていた。
ブラックスカルとのダメージもあったが、殆どはバニシングフォームの後遺症である。
春歌には泣かれてしまった。
そして猛達は学園島を救ったヒーローとして有名になってしまった。
それでもあれこれと批判する輩はいるが、それを含めて平和と言う事なのだろう。
学園の警備部の上層部――巳堂派の人間はほぼ全員が辞職。
理事会のメンバーだった巳堂 誠司も捕縛される事になった。
騒動の前に離反して保護された巳堂 白夜たち、旧ブラックスカルのメンバーは保護と言う形になった。
肝心のムクロは――とっくの昔にデザイアメダルの負荷に耐え切れず死亡していたようだ。
その事実に猛を含めて皆複雑な気持ちになった。
一番悲惨だったのは政府の政治家、官僚、自衛隊や警察かもしれない。
ブラックスカルの残したデーターがあの騒動のドサクサに紛れてブラックスカルの手で公開されていて、もはや日本政府は天照学園どころではなく、火消しに奔走している有様だった。
辞職などは良い方で、中には自殺する人間も出る始末で正直猛は後味が悪い物を感じた。
全てが全て、誰もが納得できる結末はそうそう無いか、難しいと言う事なのだろう。
☆
その後、猛達はヒーローショーを行いながらもアーカディアのメンバーとして働いている。
と言うのも警備部から巳堂一派を一掃したせいで人手不足になり、子供の手も借りたいと言う状態になってしまった。
またアーカディアの想像以上にデザイアメダルが学園中にばら撒かれていて子供の手も借りたいと言うのが事情なようだ。
それにまだジェネシスの裏切り者の件はまだ決着がついていない。
遠からずウチにまた動き出す可能性はある――が、ブラックスカルが極秘情報を暴露し、パトロンを失った状態なのでしばらくは動けないだろうと言う見方が強い。
黒崎 カイトはその裏切り者を追うため、旅に出た。
そして――
☆
=天照学園・ショッピングモール=
猛達はショッピングモールでヒーローショーをやっていた。
観客の数は超満員だった。
最近は彼方此方で引っ張りだこで学園外からもオファーが掛かっているらしい。
だが学業やアーカディアとの活動の兼ね合いで難しいのだ。
ショーは順調に進んでいく中、エマージェイシーコールが鳴り響く。
スーツの出力も元通りになる。
デザイアメダルの怪人が現れたのだ。
ショーは中断。
本物の戦いが始まる。
避難作業が行われ、同時に迎撃に出るメンバーが選出する。
今回は猛と春歌の二人が選ばれた。
観客達も快く送り出してくれる。
「行くよ春歌ちゃん」
「はい、猛さん!!」
そして二人は現場に駆け出した。
戦いその物は悲しい。
だが恐怖はない。
志を共にする皆がいるから――
ブラックスカル編 END




