第24話「デザイアメダルのルーツ」
Side 天野 猛
=出島・夜・病院=
臨時基地として借り上げているホテルを経由して元ブラックスカルのメンバーは天照学園で保護される形となった。
巳堂 白夜は黒崎 カイトともども病院に搬送されたが命の別状はないようだ。
それよりも聞いておきたいことはあった。
特に黒崎 カイトにだ。
医務室で黒崎 カイトに直接尋ねる。
「あの工場での話は本当なの」
「ああ、本当だ。何から聞きたい」
「順を追って聞こう。デザイアメダルのこと」
「デザイアメダルは元々はチェンジメダルを日本政府が悪用して作り上げた代物だ。だがデザイアメダルの存在自体はジェネシス時代にも存在したらしいが放棄が決定していた」
「そうなんだ」
「恐らくだが、その時から内通者がチェンジメダルの研究に目をつけていたと思う。俺は所詮部外者だから詳しい話は分からんがな」
との事だった。
「次はあのブラックスカルだけど――」
「アレも研究の副産物だった。アレも廃棄が決定したが回収されていたらしいな――そしてムクロに渡した」
「どうしてムクロに?」
「デザイアメダルにも人によって適正のような物があってな。ムクロはずば抜けて高かったんだろう。だから命の危険がある、あのメダルを渡したんだろう――だが誤算だった」
ある一点を除いては様々な人から聞いた通りの話だ。
問題はブラックスカルの事だ。
「もう分かっていると思うが、アレはムクロであってムクロではない。メダル自体が意思を持って独自に活動している」
「なんのために天照学園を――」
確か天照学園でテロを起こすと聞いていた。
「その辺はジーニアス司令に聞け」
そして丁度良くジーニアス司令が病室の扉から現れた。
「司令――」
「タイミング見計らってたんだ。ごめんね」
そう言ってジーニアス司令は「盗み聞きしていた事は謝るよ」と続けて謝罪してこう述べた。
「奴の目的は恐らく天照学園のテクノロジーその物だろう」
「天照学園その物?」
「ジェネシスの事件で多少は衰退したが、まだまだ超技術は沢山存在する。それを手中に収めるつもりなんだろう」
「だから狙われたと?」
「正直言えば、全ての超テクノロジーの廃棄、封印も考えた事があるらしい。だが逆そのテクノロジーが存在すると言う事は、超常的な存在――例えば宇宙人のような存在の襲来を危惧していたらしい。事実秘密にしているが既に学園島は宇宙人と一定の交流を持っているしね」
「え? ええ?」
突然宇宙人の存在を暴露されても実感が湧かなかった。
何かの冗談にも聞こえる。
猛は一旦それを頭の片隅に置いておき、他の質問をすることにした。
「話を変えるけど、巳堂 白夜の言っていた事なんだけど――」
「ああ、前々から探っていた天照学園の裏切り者だね。巳堂家だから警備部門の担当だね」
そう言えば以前ジェネシスの施設痕に潜入して脱出した時、デザイアメダルを持った警備部の人間に包囲された事がある。(第3話脱出参照)
どうしてあの時、警備部の人間が現れたのか納得がいった。
「大規模テロの内容は分かった。既に大量のデザイアメダルが警備部が保有しているルートから学園に流れ込んでいると考えていいだろう」
「じゃあ急いで警備部をどうにかしないと――」
「もう既に、手の空いているメンバーに対処させて強行突入させてある。理事会の巳堂 誠司も身柄を確保するために動いている――問題はブラックスカルの対処だけど――」
慌てた様子でアーカディアのスタッフが入って来た。
「大変です!! 出島中にデザイアメダルの怪人が!! 警察だろうが自衛隊だろうが無差別に襲撃しています!!」
「クソ、陽動のつもりか――」
黒崎 カイトが言う。
「僕は――」
「君達は急いで学園に戻りたまえ。この場は僕達がどうにかする」
何か言おうとした猛にジーニアス司令はそう命じる。
「でも――」
「後は任せたよ、猛君――」
「――ッ分かりました!!」
そう言って天野 猛は駆け出した。
☆
Side 黒崎 カイト
「行かせて良かったのか?」
と、カイトが尋ねる。
「ああ。次は彼達の時代だ。彼達に学園の運命を任せたいと思っている」
「まだ荷が重くないか?」
「時代は待ってはくれないんだよ」
「スパルタだな」
そう言ってカイトは立ち上がる。
「俺も手伝おう。手が多い方が良いだろう」
「まだ病み上がりだろうに」
「子供は扱き使うのなら大人の俺の心配はするな」
と返すカイトであった。




