第16話「姫路 凛の提案」
Side 天野 猛
アーカディアの施設内にて一夜を明かした猛と春歌。
さてどうしたもんかと翌日、ミーティングルームに集合した。
学校はアレだけの騒ぎが起きたので休校である。
手掛かりもなく、アテもなく街をパトロールするか、トレーニングでもしようかと思った矢先に――
「おーやってる?」
ピンク色のボブカットのヘアースタイル。
強気で元気そうな顔立ち。
中学生にもかかわらず揚羽 舞や城咲 春歌なみに出るとこが出たボディライン。
何かのコスプレか、それとも一種のパワードスーツか、白い帽子にコート、青い軍服に黒のミニスカの、SF宇宙戦艦の艦長さんだが昭和のスーパー戦隊の司令官みたいな服装をしていた。
「姫路先輩――突然何のようですか?」
警戒したように春歌が言う。
姫路 凛。
統括理事会の役員の娘であり、放置すると何しでかすか分からない爆弾のような危険人物でもある。
揚羽 舞や天村 志郎ですら手を焼いた。
「ええ~つれないな~春歌ちゃん。ちょっと話を持ってきただけなのに。発案が志郎なのが癪だけど」
「話とは?」
「それはね春歌ちゃん」
そう言ってA4サイズの紙を出した。
そこにはプロジェクト部活動。
ヒーローショー。
などと銘打たれている。
「ヒーローショーよ!!」
「「ヒーローショー?」」
凛の提案に二人の声がはもった。
「そうよ。アーカディアの装備を使ってのヒーローショー。あ、台本とかの段取りとかは準備してあるから」
「準備してあるからってそんな勝手な!? そんな事している暇は――」
春歌の言うように猛もそんな事をしている暇があるのかと思ってまう
だけど凛は「まあ、それが普通の反応よね」と言ってこう続ける。
「今この学園はデザイアメダルや政府の介入とかで色々と問題抱えてるのは分かってるわ」
「だったら――」
春歌は反論しようとするが――
「だけどね春歌ちゃん。学園島に住んでいる人達は数字じゃないのよ? 機械じゃないのよ? 春歌ちゃんと同じ人間なのよ? それぞれの生活があるのよ? ただ守るだけじゃダメなのよ」
「ただ守るだけじゃダメ……」
その言葉は猛も春歌も考えさせられる物だった。
「その結果が今のこの状況でしょ? まあ結果論とか確率の問題とか言われたらそれまでだけどさ……だから志郎の誘いに乗ったの」
「「……」」
そう言われて二人は悩む。
そして。
「決めた。誘いに乗るよ」
「た、猛さん本気ですか? 理由はどうあれ恥ずかしいかと」
猛の決断に春歌は顔を真っ赤にする。
「でもやってみたいと思う」
「はあ……」
猛と違い、春歌は乗り気ではないようだ。
「まあ深く考えないで。軽いローカルヒーローデビューみたいなもんよ」
「今更感がありますけどね」
猛は苦笑する。
「んじゃあ早速詰めた話をするわよ。ついて来て」
そう言って姫路 凛は二人を先導するのであった。




