第14話「黒いドクロ」
Side 天野 猛
=(*第13話)戦闘終結後・アーカディア本部、ブリーフィングルーム=
言葉通り、歯車 キョウマはジーニアス司令を通して話を語ったようだ。
その話の内容を整理しおえたのかブリーフィングルームでジーニアス司令が集まった面々に話をはじめた。
「当初はデザイアメダルを使ってマッチポンプを行い、日本政府が学園島に介入する口実を作る計画だった」
続いてこう述べる。
「そして日本政府はマッチポンプを自ら処理し、さも自分達が事件を解決したかのように振る舞い、学園の何もかもを全て頂く――そう言う計画だったんだろう」
司令は「だが思わぬ誤算が起きた」と話を続ける。
「現在計画は日本政府でも学園島の裏切り者の手でもなく、ブラックスカルと呼ばれるカラーギャングの手で計画が暴走状態になっているらしい」
との事だった。
歯車 キョウマが言うには「ある時を境に急激に勢力を拡大し、自衛隊や警察の特殊部隊すら返り討ちにする程に手が付けられなくなっている」そうだ。
たかがカラーギャングがである。
それだけの存在になったのは当然デザイアメダルの力があったと考えるべきだろう。
☆
会議後、ミーティングルームにて。
「ブラックスカル――」
「ここに来てカラーギャングですか……猛さんはどう思いますか?」
猛と春歌は先のジーニアス司令の、歯車 キョウマが語った事を思い出す。
「正直想定外の状況だけど、下手には動けないよね」
「そうなんですけど――」
春歌は不満そうではある。
「気持ちは分かるけど下手に動けば何がどうなるやらだよ?」
もちろん元はカラーギャングなので根城は見当はついている。
だがブラックスカルへ殴り込みに行くのは原則禁止となっていた。
なにしろ事態が想像だにしない方向に進んでいて、強引にブラックスカルをどうにかしようとすれば、奴らは何をしでかすか分からない状態なのだから。
「かと言って直人君の殺害に関与した連中と手を組むような真似を納得できますか?」
「納得できないよ」
猛は暗い雰囲気で否定した。
続けて「だけどね」と悲しみを込めて言う。
「確かに直人は殺された。だけどデザイアメダルはキッカケでしかないんだ――」
「猛さん――」
「ごめん。ちょっと席を外すよ」
そう言って猛はミーティングルームから退席する。
☆
気が付けば加島 直人の墓参りに来ていた。
もうすっかり夜だ。
「……何が正解で何が正しいんだろうね」
ポツンと猛はそう言って夜空を見上げる。
「泣いているのか?」
先客として 髪の毛が逆立っている黒髪の青年がいた。
漆黒のコートを羽織っていて背もあり、顔立ちも整っている。
二枚目な雰囲気が漂っている。
特撮物ならメインヒーロー役でオーディション通りそうだ。
「誰?」
「黒崎 カイト。お前の父親――天野 星斗の知人だ」
「知人? 便利な言葉だね」
「そう言うな――ちょっと様子見をするつもりだったが気が変わった」
「え?」
「ちょっと付き合え。場所を変えるぞ」
黒崎 カイトの事について不審に思いながらも猛は後をついていく。




