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ヒーローロード・リメイク  作者: MrR
ブラックスカル編
14/40

第13話「変身ヒーローVSロボット怪人」

 Side 天野 猛


 翌日。


 指定された場所は学園島内部にある廃工場だった。


 一人ぼっちで心細くはあるが。


 場所に辿り着くと眼前に大きなコンテナがあった。


『待ってたよ、うん』


 コンテナから声がした。


「そっちこそ、一人なの?」


『僕はただね、最強のロボットを作りたいだけなんだよ。うん』


「え?」


 想像とは違う告白に猛は思わず虚をつかれた。


『デザイアメダルをばら撒くのに協力している今でもそれは変わらないよ。うん』


「だった余計に分からない」


『だよね。ジェネシスはその点では都合が良かったけどある時思ってしまったんだ。もっと強い、もっと自由に強力なロボットを作りたいって』


「え」


『意外かも知れないけど学園の上の方は賛同してくれたよ、うん』


「なおさら分からないんだけど」


『そうだよね。分からないよね。うん――強いロボットを作り続けて思ったんだ。こいつらは実際どれぐらい強いんだろうって』


「まさか――」


『そうだよ。自分のロボットがどれぐらい強いのか――いわゆる愉快犯とか快楽主義者って奴になってみたんだよ、うん』


「それでどうして僕を付け狙うの?」


『強い奴がいるから挑みたい。そう言う理由じゃ納得できないかな? まあ、もちろん悪の幹部みたいな真似をするのも楽しかったと言えばウソじゃないよ、うん』


「そんな事のために――」


『君の怒りはもっともだ。正直自分でも変人じゃないかと思うよ、うん。だけどこれが僕の生き様さ――』


 そしてコンテナが開かれた。

 中から現れたのは一体のロボットだった。

 サイズは大人ぐらいの背丈。

 白銀のマッシブなボディでホッケーマスクに似た顔面が特徴だ。


『僕の総力を結集して作った戦闘ロボさ』



 Side ジーニアス


 アーカディアの司令室。

 

 そこには猛と戦闘ロボの戦いが映し出されていた。


 それよりも司令はある事を考えていた。


「まさか彼が敵として立ちはだかるとはね……」


 ジーニアス司令はある人物に心当たりをつけていた。


 と言うかロボット狂で、あんな独特な喋り方をする人物など二人もいない。


 歯車 キョウマ。


 歯車博士とかドクター、プロフェッサーキョウマとか言われていた。


 最高の環境や条件に与えられたにも関わらず、狂ってしまった科学者だ。



『これはレヴァイザーと僕との戦いの筈なんだけど、どうして君がここにいるのかな? 天村君』


 戦いに割って入るように天村 志郎がやって来た。

 インぺリアスを身に纏っている。

 

『そりゃそうですよ。ジェネシスの同期で――私と同類の人間がこうして道を外してしまったんですから』


『同類なんかじゃないよ、うん。僕は君よりも欲望に史実だった。ただそれだけの話さ』


 志郎の訴えに何時もの調子で返す。


「相手のこと? ご存じなんですか?」


 猛は志郎に尋ねる。


「ええ。歯車 キョウマ、悪のロボット好きで色々と気が合いました。ジェネシス時代は僕と同じくジェネシスの職員の中でも特別権限を持っていてほぼ好き放題に次から次へと強いロボットを作り出していたんです」


『説明ありがとう天村君。うん、大体僕の事はそんな感じだよ』


「それはそうと、どうしてレヴァイザーに興味を?」


『あ、裏切ったことについては聞かないんだ』


『大方、自分の力を試したかったとかそんな感じでしょう。アナタは欲望に忠実でしたから』


『まあそんな感じだね、うん。悪の科学者として、悪のロボット博士として正義の組織に挑みたかった。ただそれだけなんだよ』


『本当にアナタらしい――』


『で? どうするの? 二対一でもいいけど?』


『猛君は?』


『……一人でやらせてくれる?』


『分かりました。では私は見届け人を――』


 そして戦いは再開された。



 次々とフォームチェンジを行い、猛は相手の戦闘ロボと戦う。

 最強ロボを謳うだけあって昨日戦ったロボとは桁違いの強さだ。

 

『こう言うのもなんだけど、どうしてタイマン』


『なんとなく、僕もアナタと同類なんだと思います。それに、言う程悪い人だとは思えませんから』


『日本人って話が合って盛り上がると、コロンと相手の気を許してしまうから気を付けた方がいいらしいよ。例え相手が極悪人であってもね。うん』


『みたいですね――』


 などと言葉をやり取りしながら戦う両者。

 

『正直僕は悪のロボットを使って世界征服なんて大層な事を考えちゃいない。自分のロボットが素晴らしいんだって証明できればそれでいいんだよね。そこに正義も悪もないだけさ』


『悪のロボット博士の役割を選択したと言うのなら、僕は正義のヒーローとしての役割を選択する!! それがあの日、友人一人救えなかったヒーローとしての務めだ!!』


『そうか。だから君に惹かれたのかもしれないね。うん』


『え?』


『君は普通の14歳少年じゃない。レヴァイザーに相応しい立派な14歳の少年だと言う事さ。うん』


『本当に変わった人ですね』


『自分でもそう思うよ。うん。さて、そろそろ決着をつけよう』


『はい』


 両者向き合う二人。

 今のところ、猛が不利だ。

 

 相手にはダメージが通っているがロボットである。

 精神的な消耗も皆無でどれ程のダメージが通っているのか分からない。

 

 対して猛は精神的にも肉体的にもかなりダメージがあった。

 

 それでも猛は勝負を捨てていなかった。


 むしろ楽しんでいる節すらある。



 猛は思い出す。


 家の都合である特殊な力を学んでいたことを。


 それはいわゆる気と呼ばれる力。


 学園島の実力者なら使える者は多いと言われている。


 それを長らくの間、封印していた。


 加島 直人の事件がキッカケの一つだったけれども、むやみやたらに使っても良い力でもないからだ。


 だけど、もうそうは言ってられない。


 前回の戦いでその一端を解放し、


 そして今回は思いっきり解放しようとした。

 


 レヴァイザー胴体の球体、出っ張り部分が上下に開閉。 

 同時に勢いよく緑色の粒子に包まれる。


『また緑色の粒子を身に纏って――先日とはエネルギー総量が違う!?』


『前回は久しぶりに開放だったからね!!』


 それだけではない。


 気とレヴァイザーの力を上手く掛け合わせれるか自信が無かったからだ。

 だが成功した。


『宣言通り、決着といくぞ!!』


『っ!?』


 両者がぶつかり合う。

 猛に一瞬遅れてキョウマのロボット戦士が動いた。



 決着はついた。

 猛の拳がキョウマのロボット戦士の胴体を貫き、爆散したのだ。

 

『ヤレヤレ、まさか敗北するとは』


 と、ここで浮遊ドローンが飛んできた。

 歯車 キョウマの声だ。


『だがそれぐれいでなくてはブラックスカルやその取り巻き達に勝てはしないだろう』


『取り巻きたち? それにブラックスカルって?』


『まあ詳しい事はジーニアス司令を通して話すよ――』


 との事らしい。

 

 同時に決闘の終わりを意味していた。

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