第11話「導き」
Side 天野 猛
デザイアメダルによって担任教師が変貌する。
見た目からして動物のゾウのメダルだろう。
猛と春歌はすぐさま変身する。
『春歌ちゃんはその子を守って!』
「分かりました! 気をつけて!」
春歌に場に居合わせた図書委員の女の子を守るように言う猛。
猛はゾウの怪人と激突。
(見た目通りの硬さとパワーだ!)
『おらどうした!? それでもヒーローか!?』
技術的な面では勝ってるが性能的な部分で力負けするレヴァイザー。
吹き飛ばされて校舎の壁に埋め込まれるようにダウンする。
マトモにやり合っては勝てないと猛は思った。
『死ねやぁ!!』
そんな事を考えている猛にヤクザキックが飛んでくる。
『なっ!?』
猛がライトニングフォームになって相手の蹴りを受け止めた。
逆にプロレス技のドラゴンスクリューの要領で相手の足を持ちながら体ごと回転。
地面に倒した。
そして黄色いピコピコハンマーのような鈍器を取り出し、1回、2回と叩きつける。
『ガッ――アッ――』
何とか立ち上がるがグロッキーなゾウの怪人。
『これでトドメだ』
猛は迷うことなくトドメ。
ピコピコハンマーに雷のエネルギーが収束し、叩きつけられるライトニングクラッシュが相手の胴体に叩きつけられ――爆発。
☆
人間体に戻り、横たわる担任教師。
「どうして……どうしてこんな事に……俺は……」
「僕は教師のことは分からないけど、先生は教師になるべきではなかったんだと思います」
「人間、そんな簡単に生き方変えられるか――今の地位に辿り着くまでだって、どれだけの努力と苦労重ねたと思ってるんだ……」
「先生は、努力するために苦労したんですか? 苦労するために努力したんですか?」
「それは――」
猛は静かに優しく諭す様に言う。
「僕にはまだ社会の苦労なんてこれっぽっちも分かりません。でも先生のなりたい大人ってなんなんですか?」
シクシクと泣き始める教師。
「分からなくなった。ただ言われるがままに生きて、そして楽して、辛い事を後回しにして。そんな人生を歩んでいた。そのツケなんだろう」
続けて教師はこう言った。
「俺みたいに、ただ流されて生きていくような大人になるんじゃねえぞ……」
「はい」
それが決着だった。
☆
戦いが終わり、校舎はアーカディアの手で緊急閉鎖となった。
学園から離れた公園で図書委員の女の子と改めて3人で会話することになった。
「正直恐いけど――デザイアメダルを配っているグループがいるの」
「デザイアメダルを配っているグループ?」
春歌が尋ねた。
「うん。加島君やイジメていた連中が居なくなってから学園内のパワーバランスが変化して、そしてデザイアメダルなんて物のせいでおかしくなってるの」
「そんな事になっていたのか――」
と、猛が言う。
「このメダルもそいつらから渡されて――何かアプリと連動して賭博のために使うとかどうとか言ってた」
「賭博って……」
「相当根が深いみたいだね」
春歌は悲しむように言い、猛は問題に深刻さを覚える。
「私ね――正直二人の事をバカにしていたけど、けど、本当にダサいのは私みたいなのだったんだよね?」
「「え?」」
突然泣きながら図書委員の女の子がそんな事を言い始めた。
「私は無関係、私は違うと思ってた。けど私は――臆病者で恐かった。たぶん戦う力を渡されても立ち向かう勇気すらなかったと思う。上手く言えないけど、私は――」
懺悔するように言葉を述べる。
「それで許されると本気で思ってるの?」
そんな少女の前に新たな脅威が忍び寄る。




