活動記録1日目 その8
放課後。
昼休みに第5倉庫に来るように呼び出しをくらっていた俺と小郡さんは、第5倉庫の前で立ち止まっていた。
「入らないのですか?」
教室から一緒にここまで小郡さんが、入室しないのかを尋ねるぐらい俺はここに入ることを躊躇っていた。
何が起こるか分からないパンドラの箱のような気がして、俺をこの場に留めている。
小郡さんには申し訳ないと感じるし、わざわざ俺のために歓迎会をしてくれる先輩にも申し訳なく思っているが、主催者が先輩なだけあって嫌な予感がするのもまた事実だった。
「私が開けましょうか?」
「いえ、大丈夫です。自分で開けます」
流石にこの場所にいつまでもいるわけにもいかず、勇気を出して第5倉庫の扉に手をかけた。
どうかお願いだから、何も起きないでくれ。
「……あれ?」
第5倉庫のスライド式の扉を引こうとしたが、びくともしなかった。
「まだいないのでしょうか?」
「たぶん」
「じゃあ、もう暫くここで待っていましょう」
少し恥ずかしかった。
先輩しか鍵を持っていないため、第5倉庫が閉まっているということは誰も中にいないということでもあり、そんな扉の前で俺は開けるか開けないかを葛藤していたのだ。
「アリマさん、本当に私が歓迎会に参加してもよかったのでしょうか?」
壁に寄り掛かった小郡さんは、顔に不安を孕ませながら尋ねてきた。
彼女がそんな不安を持つ必要がないぐらい答えが口から出てきた。
「当たり前じゃないですか。むしろ、小郡さんがいてくれて、すごく嬉しいです」
「やめてくださいよ、アリマさん。そんなこと言われたら嬉し恥ずかしいです」
小郡さんが昼休み一緒にいてくれて本当に良かったと思っている。
もしいなかったら俺は先輩と2人で歓迎会をしていたかもしれないと考えたら、空しい歓迎会になっていたに違いない。
そんなしょうもない話をしながら先輩が来るのを待っていた。