表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/60

活動記録1日目 その2

「――たのもおおおおお! 宗像(むなかた)アリマはいるかねえええええ!」


 真面目で重い雰囲気をぶち壊す勢いで教室中に響き渡ったのは、これも言わずもがな朝倉(あさくら)ノエルという俺の部活の先輩である。

 先輩だなんて言いたくはないけど。


 この教室にそんな名前は俺しかいないため、教科書ににらめっこしていた真面目な生徒たちも流石に俺の方に振り向かずを得ない。


「あのー教室間違ってますよ。2年生は1つ上の階ですよ」


 俺はそこら中筋肉痛な身体を無理矢理動かして立ち上がり、教室の前で空気を読まずに教室を間違えている先輩に教えてあげた。


 しかし、それが間違えだった。

 いや、時間の問題であったが。


「おうおう、今日も元気にしているね、アリマくん! アリマくんの元気は先輩の元気ってね!」


 勉強している人もいるっていうのに、そんなのお構いなしにずかずか俺たちの教室に侵入してくる先輩は、空気を読むことなく陽気なことを言って、自分が場違いであることすら自覚していない。


「ちょ、先輩、入ってこないでください。ごめん、小郡(おごおり)さんも一緒にいいかな?」


「あ、はい!」


 俺は話の途中のすっかり緊張を解いている小郡(おごおり)シオンを連れて廊下に先輩を追い出す。


「あんた何考えてるんですか。みんな勉強してるでしょ」


「いやーだってだって、せっかくの昼休みだっていうのにさ、あんなズーンってした空気だったら、皆がその空気に飲み込まれちゃうじゃん」


 教室の扉を閉めて教室の中に聞こえない小声で先輩に指摘するも、全く反省した様子鳴く彼女が叫んだ理由を吐いた。


 人の邪魔をするほどクズ野郎だったっけか、と先輩への信頼が無くなりつつも、小郡(おごおり)さんとの会話の途中であったため、先輩との関わりをどうにか断とうと思索する。


「用があるならさっさと言って帰ってください。俺、小郡(おごおり)さんとの会話の途中だったんですけど」


「まぁまぁ、そんな酷いこと言わずにさー。ほら、小郡(おごおり)さんも一緒でいいからさ」


「……はぁ」


 なぜかこちらが宥められる結果になってしまった。

 今日からこんな日常が続くとなると、少々考えものだと溜息が零れてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ