37話 さよなら……とは言わせない
「先輩、やり過ぎたのは謝りますから、いい加減地球に帰りましょう?」
急に黙り込んでいじけてしまった先輩は、モザイクの空間があるところまで歩いたものの、そこで体操座りで座り込んでしまった。
頬を膨らませていじけていることをアピールしている。
ここにきて面倒な先輩が発揮される。
最後くらい綺麗に終わってもいいと思うが。
「本当に悪いと思ってる?」
いじけた先輩が聞いてきたが、そもそも悪いことをしたのはどっちだというツッコミを押し殺す。
「はい、流石にやりすぎたなと」
「じゃじゃ、私が勝手に入部届出したことなかったことにしてくれる?」
頬を膨らませた先輩は、これが目的だったのか、都合のいいことをしようとする。
だが、早く地球に帰りたい俺は、素直に先輩に従うことにした。
「はい、なかったことにしますから、帰りましょう」
「うん、わかった!」
「……」
先輩が勢いよく立ち上がって、機嫌よく返事をした。
「それじゃ、帰ろう後輩くん! さよなら、異――ふぐっ!」
「危ねぇ……」
スターリア王国の支配を取り消す裏の暗号コードを言いそうになる先輩の口を、右手で無理矢理抑えながら、俺はモザイクの空間に足を踏み入れた――。