表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我ら、魔王討伐部!~異世界には行かずに普通の学校生活を送りたい~  作者: UCベクトル
序章 我ら、魔王討伐部!
40/60

35話 誰も知らない出来事

 俺自身の脳内でロキから背中を押された瞬間、現実の世界が明快に見え、後ろでは先輩が大泣きしている姿があった。


「あ、あの先輩、終わりましたね」


 俺と先輩はクロノさんから降りて、まるで何事もなかったようにスターリアの国民たちで賑やかな景色を眺めた。


「うわああああああああああよかったよおおおおおおおおお! 後輩くうううううううううううん!」


 上半身裸の俺を抱きしめながら、涙を流して泣き叫ぶ先輩と言う中々酷い絵面に、俺たちの目の前を通り過ぎる国民たちがじろじろと見てくる。

 小さな男の子を連れた女性が、その子の目を手で覆い隠しながら通り過ぎていく。


「あの、先輩、離れてください」


 俺は先輩に離れてもらった。


 俺の脳内から出てくると、辺りはすっかり夜になっていた。


 あっちの世界が何時かは知らないが、小郡おごおりさんは流石にもう寮に戻っただろう。

 明日、学校で謝るとしよう。

 でも、那珂川なかがわフウラは第5倉庫の掃除箱の前で先輩を心配して待っていそうだ。

 だから、早く戻らないと、変な思い込みをされそうで怖い。

 また、「ぶっ〇す!」なんて言ってくるんじゃないだろうか。


「ねぇ、これって報酬とかないんだよね?」


 隣にいる先輩が、いやらしい部分を聞いた。


 700万稼いだばかりなのに、まだ欲しいのか。


「俺たちは世界を変えたんだから、そもそも世界を救ったことすらみんな知りませんよ」


「じゃ、帰ろっか」


 俺が報酬の有無を言うと、真顔になって帰宅を促す。


「……先輩、流石に俺でも引きますよ」


「いやいや、冗談だって、それより助けに来てくれてありがとね。すごく助かったよ」


 たまに出す純粋な笑みを綻ばせる。


 そんな先輩の顔を見ていると、なんだか恥ずかしくなってきて、顔を逸らした。


「あれぇ、もしかして照れちゃってるぅ~?」


 ニシシと笑う先輩の目は真っ赤に腫れ上がっている。


「あの、先輩――」


 異世界を守りたい先輩は、地球に転生した元勇者だった。

 そのことについて聞きたかった。


「なに?」


 純真無垢な表情で俺を見る。

 先輩は、俺が彼女の過去を知っていることは知らないだろう。


 きっと、苦しいこともあったと思う。

 それに、殺されて地球に転生したようだし、なにより、因縁の魔王を倒したのだ。


「あ、いや、なんでもないです」


 彼女のことを考えた俺は、過去について聞くのはもうちょっと後でいいかと聞くのをやめた。


「そう?」


「はい。それより地球に帰りましょう――」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ