34話 乗っ取られる身体
クソ魔王が消失したのを見て、クロノさんが立ち止まる。
『終わりましたね……』
『あぁ、終わったな! がははははははは!』
『え、本当に終わったの?』
現実世界で思い耽っている厄介者たちは、クソ魔王がいなくなった崩壊したスターリア王国を眺めていた。
「――じゃあ、つぎはボクのばん!」
「え、待て、ネ――」
ロキが俺の身体を乗っ取るのを見て、ずっとうずうずしていたネヴィが俺の止める言葉も聞かずに意識の外に行ってしまった。
「――なに? もう戻って来たのか? 早すぎるぞ」
「ロキ……!」
ネヴィが意識買いに行くと同時に、上半身裸のロキが意識の中に現れた。
「おい、どういうつもりだ、ロキ!」
早すぎると嘆いているロキに、俺の今の状態について苛立ちと共に言及した。
「がっはっはっはっはっは! どうだ、俺の力! すごいだろ!」
自慢げにムキムキな胸を張るロキ。
そういうことじゃない。
クソ魔王を倒すのがどうしてロキなんだろうか。
あの流れ的に俺が倒す雰囲気だっただろ。
全部ロキに取られてしまった。
自分で言うのもなんだが、主人公格の俺が、ボスを倒したときは自分の意識の中にいました、じゃ収拾がつかないだろ。
『それじゃ、《パラレルパラソル》! クソまおーがいないせかいになぁれ! はんいはボクとアリマとアサクラとハイネとくろのいがい!』
俺の身体を乗っ取ったネヴィが、俺の声でスキルを繰り出す。
ネヴィの話し方なので、どうも気持ち悪い。
『その喋り方に、スキル名、まさかネヴィ様!?』
クロノさんが嬉しそうに言った。
『え、後輩くん、普通に気持ち悪いよ』
先輩が俺の顔を見て引いている。
俺が言っているわけでもないのに、そんな顔されたら見ているこっちが恥ずかしくなる。
「おい、ロキ、いったい何だよこれ」
「ああ、《時の魔王》ネヴィの最大級のスキル《パラレルパラソル》はネヴィが思った通りになるスキルで、ネヴィの一声で世界が変わってしまう驚異のスキルだな」
ロキが、ネヴィの言い放ったスキルについて説明するが、俺はスキルの詳細が知りたくて言ったんじゃなく、俺のふざけたアビリティの方を聞いたのに。
しかし、意識内に映し出される現実世界を見ると、今までクソ魔王によって破壊された街などが修復と言うより、時が反対方向に進んでいる感じで戻っていく。
「ほら、そろそろ時間切れだ。じゃ、またな」
「え――」
ロキがそう言いながら、意識体の俺の背を押した。




