表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/30

第22話 私、知らない存在がリリアルに増える

誤字訂正・ブクマ・評価・感想をありがとうございます!

第22話 私、知らない存在がリリアルに増える


 知らない間に、リリアルの住人が増えていてお姉ちゃんは驚きました。土夫(ドワフ)って歩人(ホビト)と似たような……似ちゃいなんだけれど、珍しい存在がリリアルに現れました。


 ヌーベの山賊狩りでパクった鍛冶の道具があったんだけど、鍛冶職人がいないから欲しいって話は前からしていたんだよね。今は市販の武具を購入しているんだけれど、将来的には自前で専用の武具を揃えて、それに整備もできるようにしたいってこともある。


 幸い、鍛冶に必要な水車も設置できる水路がリリアル学院には備わっているし、妹ちゃんの考える『リリアル』の街には、酒場と宿、鍛冶屋は必須だからね。前者はニース商会で手当てできなくもないし、するつもりなんだけれど、鍛冶屋は専門外だからね。武具に関しては、細かい分業がなされている分野でもあるし、その枠の中にいる専門家を連れてくるのが間違いはない。


 最終的に、リリアル出身の鍛冶師を育成するにしても、最初は外から通じた人材を連れてこないとねって話だね。




 一応、今の責任者は陰険宮中伯様なので、書面で許可を取り王都の冒険者ギルドの推奨武具屋(いつもの店)を仲介者にして呼び寄せたらしい。


 妹ちゃんには一期生の魔術師の中に、懸案の子がいる。捻くれ癖毛と呼ばれている……まあ、私が内心呼んでいるんだけれど、魔力量が多いのに売れ残っていたいわく付き物件少年だね。


 魔力量が多い反面、使いこなすだけの器用さが不足しているので、上手く制御できないからちっとも成果が出ないんだよ彼は。折角魔力量の多いグループに入れて、魔力量の多い子の手本を見せているんだけれど、あれだね、精神的に不安定な性格だから、魔力量が安定しないんだと思う。


 え、私? ビシッと安定しているよ☆ 嘘じゃないよホントだよ!!


 だいたいだね、貴族の子女が最初に教育されるのはその辺の精神的安定だからね。まあ、私はその辺り、結構子供の頃から器用だったから、なんなくクリアしたんだけれど、妹ちゃんはヘタッピだから、三歳も年上の私と自分を比べて落ち込んだりしてメンドクさい子になったわけ。


 それで、祖母と両親で話をして、私は父と、妹ちゃんは祖母とで育成する役割分担をしたんだよ。母は子爵家の直系じゃないし、母親として二人に隔たりなく接する役割を担う事になった。


 祖母は父を介して私にも色々言って来たけれど、性格のキツイ実母と私の間に入ってバランスよく構ってくれたと思うよ実際。妹ちゃんは祖母が面倒みる事になって、私と比較しなくなったことで安定して自分自身を鑑みることができるようになったんだよね。


 でも、彼女は自分で自分の役割りを規定する性格だったから、いつの間にか『商人の嫁』『駄目旦那をコントロールして子爵家に貢献する』という謎の役割設定が為されていて、とっても勉強していた。


 おかげで、ちゃらんぽらんな私への風当たりが強くなったのは言うまでもない。ちゃんと目標設定の範囲でこなしていたよ! ハードル上げないようにしていただけだから。




 その土夫のおじいちゃんは、引退した魔銀の加工ができる数少ない存在なのだそうです。今後、魔術師組は魔力を用いる戦い方をするのに『魔銀』の装備を使いたいんだけれど、目の前のお爺ちゃん土夫が引退すると、王国の中に頼める人が市井からいなくなるらしい。


 騎士団や王宮の魔導士の中には扱える者もいるらしいけれど、リリアルに供給するとは思えないのだそうです。今の装備も、魔銀製に関してはこの方の作なんだってさ。


「始めまして、妹ちゃんの姉のアイネです」

「む、よろしく」


 名前教えてくんないのかよ! と思いつつ腕が確かならどうでもいいかとも思う。それに、私の専用武具とか作ってくれないかなぁ妹ちゃんとも思う。魔銀の槍とか最近装備して、猪狩りの効率もアップしているみたいなんだけれど、魔術師組全員に渡るほどまだ用意できていないんだよね確か。


 このお爺ちゃんは、工房主としては引退したんだけれど、それは注文を受けて仕事を割り振って弟子たちを育てる仕事を引退しただけであって、職人としてはリリアルを最後の居場所にしたいという事らしい。


 長生きな土夫のことだから、私や妹ちゃんがお婆ちゃんになる頃まで元気で鍛冶師をしているかもしれないね。


 懸案の捻くれ癖毛については、妹ちゃんが「鍛冶師として修業する事で魔力操作の練度をあげる」という、土夫の爺ちゃんに完全丸投げスタイルを決断。


 弟子の中で、魔力量が必要な魔銀鍛冶を育てることができなかった老土夫は、この魔力量だけは多いめんどくさいガキンチョを「最後の弟子」として育てる事にしたみたいだね。確かに、土夫の弟子がいなければ、人間の中に魔力量の多い鍛冶師志望の子供とかいるわけがない。


 捻くれモンだって、貴族の養子の話はあったはずなんだよね。お抱え魔術師として育てる事を考えなかったとは思えない。性格的に難有で、見切られたから孤児院に残っていたわけだし。


 それと、土夫の爺ちゃんには最後に完成させたい作品があるそうです。


 魔銀の糸を撚った細い縄? 糸で織りあげた布。魔導鎧を超える性能を持つ鎧を作る事なんだってさ。魔導鎧というのは、魔導具の鎧の事だね。フルプレートを越える防御力と耐久性、身体強化を行ったと同じ程度の機動性を長時間持続する事が可能な王国の戦略兵器。但し、運用が難しい。


 リリアルなら、それが実現可能だと思ったのだろうけれど、爺ちゃん見る目あるね! 妹ちゃんは決してあきらめない子だから、魔術師の子達を守る装備を完成させる為なら、どんどん出資すると思うよ。


 それ、私も欲しいなぁー スポンサーになったら、作ってもらえるよね☆


 魔銀に魔力を通し、鋼より強度を持つ『布』の鎧。魔力量の多い私にはとっても良い装備になると思う。コルセットやパニエにするのもいいよね。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 最近王都で噂になっているお話。騎士団の魔力持ちの騎士の斥候部隊がゴブリンの集落を偵察しに行って全滅したというお話です。えーと、最近、妹ちゃんたちは、冒険者ギルドでそんな集落の討伐依頼を受けていた気がするんだけど。どうなんだろうね。


 私はリリアルにいつもの様子伺いと、使用人の子達に仕事を教える……振りをしつつ、情報集を行っているわけです。え、仕事に雑談は付き物だよね。


「今日、みんなはゴブリンの『村塞』討伐に出かけています」


――― 何それ、聞いてないんですけど!!


「えーと、じゃあ、例の騎士団の斥候が全滅しちゃったって噂の?」

「はい。ですけど大丈夫だと思います。ベテランの冒険者の方も同行していますし、先生が村塞の中からゴブリンを追い出して、表で待ち構えて皆で討伐する作戦だそうですから」


 なるほどね。代官の村の時と真逆の演出だね妹ちゃん☆ お姉ちゃんにはまるッとお見通しだよ!!


 危険な要塞の中は、妹ちゃんやめいちゃん達ベテランで討伐をして、外で子供たちは飛び出してくるゴブリンを各個撃破するって寸法だね。そこに、ベテラン冒険者をサポートにつけて、万が一の時はフォローさせるという役割分担を考えるだろうね。


 だって、ベテラン冒険者って言っても、魔力量は微量だろうし、妹ちゃんみたいに柵を飛び越えて中に一人で入って斬り込むとか無理だから。それに、怪我でもされたら予定外の出費になったりするじゃない? そんなことするわけないよね、しっかり者の妹ちゃんがさ。無駄遣いは厳しく制限されているのだよ。




 その日の夕方、意気揚々と帰って来たらしいんだけど、私は既に王都に戻っていたので、そのあとお婆様からまた聞きする事になった。だって、妹ちゃんは照れ屋さんだから、教えてくれないんだよね。


 妹ちゃん達が討伐したゴブリンの中に、魔剣士の『ゴブリンジェネラル』がいたらしい。人語を話し、魔術師とか騎士とか魔剣士の脳を食べてレベルアップしていたらしい。人脳頼みで生き延びますって感じだよね。


 妹ちゃんは戦いながらいろいろ聞き出そうとしたみたいだけれど、肝心なところは流石にゴブリンには語れなかったみたいだね。


 ついでに言うと、今回のことがあって上位種の頭部は討伐証明と『脳喰い』による能力向上を回避するために、回収する事になったそうです。え、なぜそれを知っているかというと……リリアルの門のところに掲げ垂れてあったからだね。


 それと、誰かの遺品かそれとも黒幕により貸与されたのかはわからないけど、魔銀の両手剣がゴブリンジェネラルの装備品だったんだってさ。なにそれ贅沢だよね。勿論、リリアルで回収して、そのうち誰かが装備するんだろうけれど、今のところみんなちっこいから、大人になった男の子たちの誰かが使うんだろうね。


 両手剣って、重いし使いどころが難しいよね。全体が金属だから長柄より有利かっていうと微妙。振り回す操法が基本だから、ハルバードみたいに引っ掛けたり、刺したりって細かい動かし方も難しいしね。結局、長い鉄の板をどう叩きつけるか、若しくは両手で相手に突き立てるかみたいな感じなのかな。


 リリアルの魔術師に使う余地が無いなと私は思うけどね。基本、気配を消して不意打ちや弱点付く戦い方でしょ? 噛み合わないと思う。


 そういう、正面からゴリゴリ魔力任せで押していくの……私が割と好きだな。あ、じゃあ、お姉ちゃんが買い取ってあげようか……と思ったけど、ニースの爺様が高額で買い取りそうだね。


 あれって、持ち運ぶのも大変だもんね。いらないかな。


 そういえば、最近、リリアルでは魔銀製武器の新調を進めているみたいだね。実際に、野良のゴブリンじゃなく集団のゴブリンと戦ってみて、戦い方に合う装備を個人で考えるようになったみたい。


『ブージ』とかって不思議なナイフ? 片手剣というか短い槍というかそんな装備を選んだ子もいたみたいだし、メイス? メイスもいいよね。メイス、あれはいいものだぁ……だって、力一杯魔力を込めて殴ればいいだけの簡単な装備だからね。剣は、変な使い方するとポッキリ折れたりするし。メイスか、私、メイス向きかもしれない。



【作者からのお願い】

「更新がんばれ!」「続きも読む!」と思ってくださったら、下記にある広告下の【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります。


よろしくお願いいたします!


【本作の元になるお話】


『妖精騎士の物語 』 少女は世界を変える : https://ncode.syosetu.com/n6905fx/

下部のリンクから移動する事も出来ます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本作の元になっている長編。
『妖精騎士の物語 』 少女は世界を変える

『妖精騎士の物語 』第四部の裏でアイネがプロデュースする修道女達の成り上がり。
没落令嬢どんとこい!~修道院に送られた四人の令嬢の物語~『聖エゼル奇譚』
下の『妖精騎士の物語読者アンケート』をぽちっと押してご参加ください。
☆『妖精騎士の物語』読者アンケート☆
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ