プロローグの裏側で3(side友達の・・・)
ボクの名前は、クロスケ。真っ黒い小鳥なのです。
生まれてすぐに、お母さんとはぐれて、人の少年に拾われたの。お母さんと会えないのは悲しいけど、今はとっても楽しいよ。少年はね、ボクに名前とごはんをくれて、それから、ずっと友達だって言ってくれたの。一族の中で一人だけ黒い体だったボクは友達がいなかったの。だから、少年が唯一の友達なの。それにね、なんでかわからないけど、少年はボクの言ってることが分かるみたいなんだ!不思議だよね~。
少年は体が弱くって、病院?っていうところから出たことがないんだって。そこのお庭でボクが死にそうなのを拾ってくれたみたいなの。お友達がいなかったって言ってた。一緒だね。でも、これからは一緒に過ごせるよ。
三年後………………………
少年に拾われてからあっという間に三年もたったよ。少年の友達はまだ、僕だけなんだ…。
実は、ボクの体がよくなってから、一度、少年が「自然にお帰り…。」って言ってきたの。ずっと友達だって言ってたのに裏切られたって思っちゃった。でも、少年の目は真っ赤だったんだよ。だから、病院のお庭に暮らすことにしたの。今のボクの定位置は少年のベットが見えるお庭の木の上だよ。少年の周りに誰もいないときだけだけど、ボクと少年はずっとお話してるの。それにね、しばらくして分かったんだけど、少年が無理を言って、ボクが元気になるまでっていう約束で病室に入れてくれたらしいんだ。少年は優しいよね。
最近は少年の体調がよくって、もしかしたらいつかは健康になれるんじゃないかって、少年の母君が言ってたよ。よかったね、少年。
今日は、お庭で少年と遊ぶの。遊んでる少年の笑顔はとっても素敵なの。
あれ、少年が倒れてる……?いつも一緒にいるお姉さんのお顔が真っ青だよ。
ねえ、少年そんなに真っ赤にお洋服を汚したら、母君に怒られちゃうよ。
少年はその日から、目覚めない。ずっと布団の中で横たわってる。少年の母君と父君がずっと泣いてる。
ねえ、寂しいよ少年。なんで僕の名前を呼んでくれないの。お友達だって少年言ったじゃん。
あれ、少年が連れてかれちゃう。おっきな箱に入れられて、真っ黒い車に乗せられちゃった。
待ってよ。ボクを置いてかないで。
ボクは必死で追いかけるよ。でもね、結局、車の速さにはかなわないんだ。
「キキィーーーーーーーーーーッ。パンッ。」
あれ、痛い……………………。ねえ、もし、少年の母君と父君が言うようにこの世界に神様がいるなら、ボクを少年のところまでつれてってくれるよね…………………。