表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この度、転生することになりまして  作者: 藍風月
閑話 プロローグの裏側で
5/18

プロローグの裏側で2(side玲の父)

(玲の父)


玲が死んでからの記憶はあまりない。葬式をした以外は、毎日妻と二人で泣き続けている。

心なしか、玲が生きていたころよりも、家が暗くなった気がする。


そんな毎日だけれども、疲れはするから眠る。




「父さん!母さん!」


あれ、玲の声がする。って、


「玲!!」


目の前には玲がいた。こんなに精巧な夢があるはずがない。じゃあ、玲が死んだほうが夢だったのか…?


「玲、会いたかった。突然別れるなんて信じられなかった。こうして、抱きしめあえるってことはあれは悪い夢だったんだよな。やっぱりそうだったよな。」


「ううん、僕は死んだんだ。そして、さっきまで、神様と話をしてたんだ。そこでね、いろいろあって、二つ僕の願いを聞いてくれることになったの。そのうちの一つとして、家族と話したいってお願いしたの。そしたら、父さんたちの夢の中で1時間だけっていう約束で、認めてくれたの。だから、1時間だけだけど、別れを言いに来たの。」


玲の話は信じられなかった。いや、信じたくなかった。けれども、1時間という限られた時間。玲の記憶に私たちとの最後の時間が幸せだったと残ってほしいから泣き叫びたいのを必死で我慢した。納得がいってなさそうだった妻も説得した。


玲の体が弱かった理由を聞いたときは思わず、怒り狂いそうになったがこらえたぞ。



そして、いつの間にか、1時間が経ってしまった。

玲の別れの言葉を聞いて、俺は、我慢できなくなってしまい、玲と妻を、強く強く抱きしめた。


そして、激しい光とともに、俺の目が覚めた。



「「今のは、夢だったの」か?」


思わず漏れたつぶやきが重なったのを聞いて、俺たちは笑い出してしまった。


「玲が未来に向かって歩き出していることを知った。ならば、親である、俺らがここで立ち止まっているなんてできないよな。」




こうして、俺たち夫婦は、悲しみは消えぬものの、未来へと再び歩み出した。


もし、また、玲と会えた時に誇れる人生を歩めるように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ