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いざ、アードゥノアへ  

いざ行かん

「ホーネス、あと何分でアードゥノアに着く予定だ?」


チャッカスは隣の座席にいるホーネスに話しかけるが、ホーネスはため息をついた。


「はぁ。委員長、まだ30分も経ってないじゃないですか。あと1時間30分はかかりますよ。」


「そ、そうか。ふむ。俺とした事が明日の試合を待ちきれないようだ。こちらの負ける原因はないと言うのに。」


チャッカスは真面目に自分を分析する。

その光景に斜め後ろに座っているアランは隣のリースに小声で


「委員長って言動とか態度はデカイのに、意外と考えてるんだね。」


「そうね。確かに周りからのイメージはわがまま王子だけど、会って話してみれば案外違う部分もあるのよ。私も最初<魔王学園戦撃委員会(イェーデルホルムズ)>のメンバーに選ばれて挨拶した時もみんなが言うほどの人柄じゃなかったし。」


「偏見って凄いなー。」


「それを言うならアランだってそうではありませんか?」


目の前の座席にいるルミナリエがちょっと誇らしげに言う。

リースも頷き


「そうよ、アランだって<DD>って言う学園の偏見があるんだからお互い様じゃない。蓋を開けてみればめちゃくちゃ強いだなんて周りもびっくりよ。」


「うーん。それについては本格的に今後どうするか考えているんだが...........」


「どうする.......とは?」


「いやな、このままいけばいつかはバレると思ってな。ただの学生なのに釣り合わない強さを保持してると知れば調査はするだろう。」


「でも調査されてもアラン程の方ならそれくらい隠せるんじゃ?」


うーん。そんなに俺の事を評価してくれてるのは嬉しいけど、俺って戦いに関しては自信があるが、諜報系に関しては不得意なんだよな。


実際、諜報系は全て諜報系の魔団に任していた。

今では魔王軍は動かせないのでデルス達に任している。


「ルミナリエ、俺はそれほど諜報活動は得意じゃないんだ。確かにある程度の探りなら回避出来るかも知れないけれど、魔王軍の者だったら無理無理。」


アランは両手を上げて首を振る。


「アランと共に戦った人達ですものね。全てが桁違い。」


「そうそう。だからどうしようって話。」


「やはり魔王だと明かしてしまうのは嫌なのですか?」


「嫌と言えば嫌だね。俺は魔王なんて称号が嫌で、普通な暮らしがしたくてわざと明かさないんだから。だから俺は今の環境が好きなんだ。」


アランの口角が少し上がった。

それに続いてリースとルミナリエも「うん」「はい」と同じく口角を上げる。


「でもアランの言う通りいつかはバレるかも知れないわね。一年生とは思えない力。誰だってその正体が気になるわよ。」


「そうだよな~。かといって手を抜いて試合とかで負けるとリース達は嫌だろ?」


「「もちろん」」


自分の尊敬する(好きな?)人の敗北する姿を見たくないと言うのは分からなくはないが、そうなると難しい。


どう考えても良い案が思い付きそうにもない状況にリースは「まっ、」と言葉を続ける。


「その話はみんなのいる時にでもしましょう。それより今はすぐそこまで迫ってる学園交流祭に焦点を向けなくちゃ。」


「リースの言う通りですね。それでアラン、学園交流祭ではどのように行動すれば?」


「そうだな.........。あくまで今回は本選の為の予選だ。先輩方の実力を伏せる為にも俺達を使うことは必須だろう。予選とはいえ、偵察してくるのは確定だ。」


「だとしたら試合で使う魔法や[魔技]も注意して使わないとね。」


「でもそこまで気を使う場面はないよ。いざとなったら試合中で無我夢中でしたとでも言えばなんとかなるだろう。」


さすがにそう言われれば、深く追求することも出来ない。無我夢中なのだから。

それよりも問題なのは...........


「学園交流祭を廃止にしたい連中が果たして予選でも仕掛けてくるのだろうか?って言う点だな。」


「アラン、それって...........」


深刻な表情をしたリースが見つめる。

それもそうだ、同じ<魔王学園戦撃委員会(イェーデルホルムズ)>のメンバーが学園交流祭を廃止したいだなんて予想もつかない。


アランは静かに頷く。


「実際、俺に一緒に参加しないかと招待もされた。無論、何も計画性もない事だと注意しておいたがやるつもりだろうな。」


「え?アランは直接対面して誘われたんですか?」


驚きを隠せずにルミナリエは聞き返す。それに俺は「ああ」と言い


「直接テセス先輩に言われたよ。でも気になるんだよ、最後にテセス先輩はいずれ俺の方から頼み込む事になるだろうって言った。」


「頼み込む?謎ですね。一体どうやってアランを駆り立てようとするのか。」


「そうよ、何をどうしてもアランはそんな野蛮な事しないわ。でも気を付けてねアラン。向こうが何をしてくるか分からない以上、こちらも動きようがないわよ。」


「うん、わかってる。俺の平和な環境を破壊しようとするのならば、容赦はしない。」


そう決意を固めるアランだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




魔界の中でも唯一、試合場がいくつもある都市アードゥノア。毎回本選に出場する枠を決める時にはこの都市アードゥノアが使われる。


理由はこの都市が試合をするにおいて、最も環境が良いからだ。

出場者全員が寝泊まり、練習出来るスペースが多くあること。試合場が他の都市と比べてもたくさんある。要するに、試合を行うには最適なのだ。


これは余談だが、都市アードゥノアのホテルは最新鋭の魔法技術が使用されており、七階建ての大きな施設で一際目立つ。内装もしっかりと作られており、まるで近未来だと言われているらしい。


そのホテルに<魔王学園戦撃委員会(イェーデルホルムズ)>はチェックインをしている。

細かい説明等はユウノ先輩がしてくれるので、実質暇だ。


「へぇ~、アラン君ってそこに住んでいたんだ。僕と結構近いね、僕はその裏側の路地の雑貨屋の隣なんだよ。」


「あっ、ホーネス先輩ってあの雑貨屋の隣だったんですか。」


「そうそう。でもアラン君と近かったなんて驚きだよ。あれ?ルミナリエさんってよくアラン君の家の周りで見かけてる気がするけど、もしかして兄弟なのかい?」


「はい、自分が姉でアランが弟です。自分は今まで病弱だったので教育もまともに受けていなくて。最近調子も良くなってきたので学園へと。」


ルミナリエが丁寧に説明する。その説明にホーネスは哀れむような目で心配する。


「そうだったのか。それはお気の毒に。これから先困った事があれば言ってね、僕はこれでも色々な商店とはコネがあるから。」


「ありがとうございます、その時は頼りにしますよ。」


「もちろん!」


そうホーネス先輩と談笑している時、ホテルの入り口からぞろぞろと一つのグループが入ってきた。


グレーを基調とし、襟にはその学園の校章と思わしきバッチが付いている。

違う学園の<魔王学園戦撃委員会(イェーデルホルムズ)>のような組織か。


俺達は自分の部屋の鍵ユウノ先輩からもらい、各自の部屋へ行こうとした。その時、先ほど入って来たグループの中から「ふっ」と鼻で笑う声が聴こえた。


明らかにこちらに向けてやっているとしか思えない。


「そうやって逃げるのだな。そうだよな、昨年では俺達に負けてあえなく三位になってしまったんだものな。そりゃ面と向かうことも無理だわな。」


挑発してくる奴に心当たりでもあるのかチャッカスがそのグループの目の前に顔を出す。


「一体何用だ?先ほどから変な挑発が聴こえるが。」


「その態度がムカつくんだよ、前から前から.........」


グループの中から薄い金色の髪をオールバックにした青年が現れた。

その青年とチャッカスは旧知の仲なのか青年の方は遠慮せず眼光を強める。


「それで、エミル。何の用だと言ってるんだ。ただの挑発なら俺らは忙しいんだ、構うな。」


その言葉にさらにエミルと言われた青年は怒りを露にする。


「へぇ良いよね次期当主様は。将来は約束されているようなものだし、至れり尽くせりじゃん。それに比べて俺には何もない。」


「悲劇のヒロインぶりを披露したいなら別の場所でやれ。」


「だからその上から見下ろすような態度がムカつくんだよ。ふっ、でもいい。チャッカス、今回の学園交流祭。我ら魔学学園が最獣学園に勝利する所を見ているがいい!」


エミルは高らかに宣言した。そのまま気分良くホテル内に行こうとしたエミルに、魔学学園の一人が声を掛ける。


「エミル会長、まだ何番号室なのか分からないですよ!」


「あっ.............。そうだな....」


引き止められたエミルはとぼとぼとカウンターに向かった。



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