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アクセサリーと二人の女の子  

学園交流祭。

月曜から始まるその日の前日。要するに日曜日だ。と言っても今回は魔界の中での本選に行くための切符を取り合う為の予選のようなものだ。


その予選に出場するメンバーは、その会場に前日には着いていなくちゃいけない。

場所は魔王学園の最寄り駅から二時間ほどで到着する街。アードゥノア。昼の列車で行くらしいが、今はその為の荷物を揃えている最中なのだ。


アランは日用品などを収納魔法の中に入れていかずに、わざわざ大きなバッグにつめていった。


「アラン様、どうしてわざわざ収納魔法をお使いになられないんですか?アラン様ほどのレベルであれば何でも上限なく入るのに。」


「あっ、確かに。私なんかはまだ収納魔法に一定量の上限があるのに、アランはないでしょう?」


「まぁ確かに上限はあんまり感じないけどさ、こうやって自分はまだ収納魔法を使えてないとアピールする良い手になるからさ。無駄に自分の力を見せつけるようにしても意味ないし。」


その返答に口には出していなかったレイナやルミナリエも「あぁ~」と相づちを打った。

ちなみにレイナとエリカは朝から不機嫌だ。当然理由はアランが学園交流祭の魔界代表戦で一日会えないからだ。一日くらいと普通は思うだろう。


だが決してその言葉を二人に言ってはいけない。


「さてアラン様、荷物も終わった所ですしデートに行きましょう?」


「え......」


エリカの誘いの言葉にアランを取り巻く空間が止まった気がした。


「師匠、抜け駆けはなしとの約束ですよ。まさか破るつもりで?」


「そうよ!いくら昔からの友達だとしてもそれは見過ごせないな~。」


ルミナリエとレイナにエリカは一つため息をついた。


「まったく、抜け駆けとは分かっていませんねルミナリエ。そんな事を言ってしまえばあなたも今日の昼を境に抜け駆けするじゃありませんか。」


リースとルミナリエは一足先に会場へと向かう。と言うことはレイナとエリカを除け者してアランを独り占めならぬ二人占め状態になる。それをエリカは言っているのだ。


「....ん、確かに。師匠の言うことは間違っていません。悔しいですがここは師匠に譲りましょう。」


「まっ、そうよね。じゃあレイナとエリカ、昼までにはちゃんとアランを連れ帰って来るのよ。いい?」


リースの問いに二人は首を縦に振る。


「あの.............俺の意見は.......?」


「「「「ない!(わよ!)(です!)(ですわ!)」」」」


揃った声がアランの耳に伝わる。


「アラン、何をどう言い訳したって無駄だよ。なにせ約束しちゃったもんね。これが終わったら何でもするからって。」


「そうよアラン。エリカはともかく、レイナは絶対に連れていってあげなさいよ。ヘイネの一件で寂しい思いをしたんだから。」


レイナとリースが言っている事は恐らくあれだ。

ヘイネとの一件の中でアランとレイナ、リースを交換した際、アランが言った言葉の事だろう。


「二人とも。最初に謝っておく。ごめん、もし帰って来たら何でもしてあげるから。」


この言葉をすっかり忘れていたアランは思い出して「あっ、そういえば.....」と心の中で呟いた。


「ではお日柄も良いことですし、時間も惜しいです。レイナ、準備は出来てる?」


「もっちろん!じゃあねリース、ルミナリエ。昼までには戻って来るから。さっ、アラン、行くよー」


リースとルミナリエはそんなレイナ達に手を振り、アランはレイナに腕を組まれながら外へ出ていった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





両手に花。

まさにその言葉がぴったりとはまる光景だろう。その中、俺はレイナとエリカを連れて歩いている。


「あらあら、アラン様。どうなされましたので?左には白い花。右には黒い花。まさしく両手に花と言うやつではないですか?」


エリカが覗き込むようにアランを見た。

まぁ、普通の男子なら喜ぶ内容だが...............


はっきり言って周りの視線が痛い。別に前にリースと行った時とかはただのカップルにしか見えなかったようだが、(見ていたレイナいわく)この状況は........


「な~に、妙な真顔をしてるの?もしかして緊張してる?」


レイナがアランの頬をつつく。


「緊張もなにも、二人ともくっ付き過ぎ。おかげで周りからの視線が痛いよ。」


「まぁまぁよろしいではありませんか。それより、今日はどこに行きます?確か前リースとデートした時はゲームセンターと本屋に行ったのですよね。」


「ああ、ゲームセンターはなかなか楽しかったな。」


「だったら別のとこ行こー。あっ、アラン。あれ買ってよ。あれ!」


アランに引っ付きながらレイナが指差した先は大きな看板があり、

「自分で自由なアクセサリーを作って大事な人にプレゼントしませんか?今なら付与効果も付けれるチャンス!」


と書いてあった。

アクセサリーを作る........か。俺の得意分野ではないが、エリカも見た所乗り気だしいいか。こうゆうのはその作品の美しさよりも気持ちが大事だと昔配下から教わったしな。


「あら、レイナにしてはセンスのある選択ですわね。で、その作るアクセサリーってアラン様が私とレイナ宛に作ってくださるのでしょう?」


エリカがにこやかに言いながら店内に入る。

「いらっしゃいませー」と言う声と共に店員がやって来る。そしてアランの両脇に二人の女性がいるのを見て何か察した様子で


「本日はもちろんアクセサリー制作ですよね!ささっ、男性の方、こちらへどうぞ。制作の準備はいつでも出来てますので。女性の方達はそちらの席でお待ちください。」


妙に積極的な店員にアランは店の奥の工芸室に案内される。


「はい...。じゃあ作ってくる、一応言っておくが変な期待はしないでくれよ二人とも。それとエリカ、神格化しない事!いいな?」


「分かってますわ。そんなに心配なさらずとも平気ですわよ。ねぇレイナ?」


「そうよ。エリカに限ってそんな事しないよ、さっ早く早く!」


「いやレイナ、お前は昔のエリカを知らないだけだ!あの時はーー」


今のエリカより酷かったエリカを知らないレイナは、説明しようとするアランの肩を掴んで工芸室に無理やり押し込んだ。


押し込まれたアランは「はぁ」とため息をついた。

今の方がよっぽどマシになったと言うことは昔の配下しか知らんのだろうな。あのデモクレスが俺とエリカの絡みを見てポカンとした所なんか初めて見た。


目の前には様々な色、形の綺麗な魔力石がある。


「はいはい、ではお客様。この中から二つお決めになってください。別にどんな風な形のアクセサリーを作るか決めて魔力石を選んでもらっても構いません。」


「そうか、ならレイナにはこれで....................エリカにはこれかな。」


俺はレイナ用に白みがかった透明な魔力石を、エリカ用に明るい黒魔力石を選んだ。

二人の髪の色とほぼ一緒だ。俺はどの色が二人に似合うのか分からない。女性に渡すアクセサリーなんて昔もやった事ない。今もだ。


「ならどのような形状のアクセサリーにするのかお決めになってください。デザイン案はこの紙にお書きになって、こちらの方で魔力石以外の部分を制作しておきますのでお客様は魔力石を削ってもらいます。」


店員は紙とペンを机に置いた。

魔力石以外の部分を制作してもらうのか。確かに現代の者には金属を違う形にしたりと、精密な操作は全員出来ないだろう。なら魔力石を削った方が難易度は下がるな。


「すいません、魔力石以外の部分も自分で制作したいのですが?」


聞いた店員は真顔になり、アランをまじまじと見た。

きっと魔力石以外の部分を自分で作る人は珍しいんだろう。


「はい.......分かりました。」


店員は工芸室よりも奥の扉を開けて違う店員と喋ったのか「え!マジで!?」と驚く違う店員の声が聞こえた。そしてひときわ体格が大きい髭を生やした人がその扉の中から出てきた。


「あんたか?魔力石だけじゃなくて金属の部分も作りたいっていう奴は?」


「はい、駄目だったら別に良いですが.........」


「いや良いんだ。ただ今まで金属の部分も作る奴はいなかったからちょっと顔を見たくてな。そうか、こんな若者が....か。よし、お前さん、この中から好きな物を選びな。」


そう言って体格が大きい人は様々な色の金属の塊を並べていった。

その中には結構高価な物もあった。


「店長、この魔力石は..........良いんですか?」


「ああ、良いんだ。自ら前に進もうとしている若者を後押ししてやるのが老いぼれの仕事だ。値段が高い低いなんてどうでもいい。それじゃ、俺は奥の倉庫で別の作品を仕上げているから出来上がったら一回見してくれや。」


そして店長は奥の扉へと抜けていった。


「それでは出来上がったら一声掛けてください。自分は店にいらっしゃったお客様の接客を扱ってますので。」


「分かりました。さて、どんな風に作ろうか。指輪にすると結婚だとかややこしくなるから、ブレスレット?いやいやそれじゃあリースのやつと被るしな.........」


そう悩むアランであった。



終わらなくていいよ夏休みくん

(._.)

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