一位と<DD>
最近小説ばっか読んでる気が......
<魔王学園戦撃委員会>
と小さな看板が書かれた部屋にリースはいた。四角いテーブルに窓の方に座り偉そうにしてるのは一位のチャッカス・ボーン、紺色の髪を程よく立たせまるで王のような風格をしている。。この学園の一位の存在だ。
彼は現代では有名な家系出身で、そのわがままと実力は折り紙付きだ。
今話してる議題は勿論、学園交流祭の欠員補充と補欠を決める為だ。以前、五位のシギナンが魔力暴走にて学園交流祭に出られなくなった。
「で、どうします?チャッカス。」
そう声を掛けるのは二位のユウノ・チェレス。桃色の髪の少女だ。
チャッカスは顔を崩さない。
「うーむ。シギナンの野郎、魔力暴走なんぞ弱者のやる行為だぞ。まったく.................しかし、過ぎた事を言っても仕方ないか。シギナンの代役は最高学年の中から優秀な生徒を選ぶか。」
「委員長、それについて良い提案があります。」
ばっと手を挙げたのは四位のホーネス・イカレス。薄い黄緑色の髪をした少年だ。
チャッカスは「なんだ」と聞き返す。
「今の一年生は強者が多くいるクラスがあるとリースさんから聞きました。そこで、欠員補充と一年の補欠はそのクラスから出せばよろしいのでは?」
「ふむ。おい、ホーネス。貴様は最高学年である我々の実力は二年の差もある一年に劣ると言いたい訳か?」
チャッカスの威圧がホーネスに突き刺さる。
まるで殺さんとしているように。
「.............いえ。ただ自分はその道もあるのだと申し上げただけです。最終的な決定は委員長です。」
「テセスはどう思う?」
「一年生ですか。よろしいのではなくて。特に私は一年生のアラン・エリアル君を希望致しますわ。もちろんシギナンの代わりとしてね。」
場の空気が一気に変わった。アラン・エリアル。この学園ではそれなりに有名だ、二つの意味として。一つはこの学園での落ちこぼれの<DD>として。
もう一つは校庭に高威力の<大地獄炎>を撃ち、更にはリースを破った強者として。
その二つの天と地の評価がよりアランの存在を分からなくしている。
「私もアラン・エリアルの学園交流祭出場を強く希望します!」
リースがはきはきとした口調で言った。
返ってきた反応は、大きく二つに分かれた。一つは驚愕。普段リースは真面目でおしとやか(?)ぽい口調で話したりしている。決して声を荒げたり大きな声を出したりしない。そのリースがはっきりと強い口調で言ったのだ。
もう一つは非難。実際に口に出している訳ではないが、一名から冷たい視線がリースの元へと届く。
チャッカスだ。
「はぁ。これでも俺は見る目は人並み以上はあると思ってる。アラン・エリアルか。実際に見てみたが貴様らが言うほどの人物でもない。なにせ<DD>なのだろう?そんな者を<魔王学園戦撃委員会>に迎えては魔王様の名前を汚している。」
その実、アランが魔王であるのを知ってるのはこの場でリースだけだ。
リースは表に出しはしないが、アランの事を悪く言われて怒っている。それに気付くのはこの場でほとんどいないが。
「...........そうですか。」
「しかし委員長、学園交流祭は実力がものを言います。アラン・エリアルはテセスと戦い奮闘したと聞きます。一回ご自身で小手調べしては?」
ユウノがへこんでいるリースの助け船を出した。
「まぁユウノがそこまで言うなら...........。俺がじきじきに会って確かめてやろう。アラン・エリアルが強者かどうか。」
チャッカスは不敵な笑みを浮かべた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここは1-Cの教室。
そこはアラン達が通うクラス。エリカがデモクレスに無理やりこのクラスにルミナリエとミネセスを転入させたせいで、このクラスの平均戦闘能力は格段と上がっている。
その二時間目の休み時間に一際風格が違う者が一人。
王が通るような自信のある姿勢で廊下を歩き、ガラガラッと強く扉を開けてクラスのみんなを一人一人まじまじと一度見る。
「アラン・エリアルは誰だ?用がある。至急俺についてこい。」
そう言ってチャッカスは階段の所へ歩き出した。
アランは呆けて窓の方を見ていたが、クラス中の目線が注目しだしたのを皮切りに立ち上がった。
「なぁ、あの人って誰だ?」
「<魔王学園戦撃委員会>の現一位、チャッカス・ボーンです。要するにこの学園の一位ですね。」
ルミナリエが解説すると、クラスのみんなも「うんうん」と頷いた。
「へぇ~。そんな人が俺なんかに何の用だろうね。まっ、行くけどさ。」
「あっ、アラン。速く行った方がいいよ。チャッカス先輩って短気と自信家で有名だから。」
「分かった。心得とく。」
俺ははや歩きでチャッカスの後をつけた。
短気と自信家だと?最悪な組み合わせだなそりゃ。わがままの王様だ。
アランが階段に行くと、チャッカスは振り返り値踏みするようにアランを見た。
そして大体の力量が計れたのかチャッカスは周りで盗み聞きしそうな生徒を一睨みした。「聞いたら殺す」とでも言わんばかりに。その睨みに生徒達はまるでアリが逃げるみたいに退いた。
「アラン・エリアル。貴様は学園交流祭のメンバーになりたいか?」
真顔でチャッカスは言った。
「いえ、俺はまだそのレベルに達していないと思います。なのでお声を掛けてくれるのは嬉しいですが、ヘイネにでも声を掛けてください。俺よりヘイネの方が見込みはあると思いますが。」
俺は実際に試合をしたくて学園交流祭を楽しみにしてるんじゃない。
ただ他の種族が千年前とどんな風に変わっているかとかを見てみたいだけだ。千年前ではこんな風な行事なんて経験しなかったし。
「そうか、自分の力量は理解してるつもりか。<DD>だからといって侮っていたが、存外分かる奴なのか。なら話は早い、ヘイネはアラン・エリアルを推薦した。と言うことはアラン、貴様がなるべきだ。」
「え?ヘイネがですか?」
アランは自分が聞き返してる間に納得した。
ヘイネには俺が元魔王だって知ってるし、普通に考えたらそうか。あまり目立つ行為はしないつもりだったが........................その実、試合に参加してみたい自分もいるのは確かだ。ここはその自分に甘えるとするか。
「ではその提案、慎んでお受け致します。」
「おう、その名前に恥じぬ活躍、期待しているぞ。時に....話は変わるが、一年生の補欠要員はアランが見た限り、誰が良いと思った?」
「そうですね.................俺の姉はどうでしょう。こう言うと贔屓に見られてしまうかも知れませんが、実力ではリースとほぼ互角に張り合いました。」
「そうか、リースと互角か.........。それならば補欠要員として十分に活躍してくれるだろう。ではアラン・エリアル。邪魔をしたな、これで学園交流祭の準備は済んだ。後は<魔王学園戦撃委員会>の正確な力量を調べるだけだな。その日になったら呼ぼう。」
アランは一礼した。
そしてチャッカスはそのまま階段を下った。三年生の階は一年生より下だ。
着々と始まっていく。学園交流祭の準備が。
評価ポイントの方も良ければ。




