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事後処理 

嗚呼、魔王様。

「ほう.....自分の罪を認めるのか。それは潔い行いだが、勿論この後自分がどうなるか理解した上で言っているんだな?」


「はい、無論ですネシウス学園長。アランを嵌めたのも全て自分の命令です。」


今現在、アラン、ヘイネ、ネシウス学園長。この三人が学園長室にいる。

もちろん、この前学園長から「身の潔白を証明してこい」と言われたので証明しに来た訳だ。


ヘイネの清々しい言葉に学園長は深く考えた。学園長自身、アランが身の潔白を証明するとは思えなかったからだ。


「ふむ。まぁいい、本日を持って君を退学処分とする。そしてアラン・エリアルの復学を認めよう。これにて話は終わりだ。退出していい。」


学園長の厚みのある声が室内に響く。


たがしかし、一向に二人は退出する素振りを見せない。不審に思った学園長はもう一度言おうとするが、その前にアランが胸元のポケットから一通の手紙を取り出し、学園長に渡した。


「何だこれは?ラブレターなんぞ要らぬ。」


「いえ、それはラブレターではないですよ。かの魔王様から頂いた手紙です。まずはこの手紙をご覧ください。」


「魔王」と言う言葉に学園長は過剰に反応した。


「貴様。あの誇り高き魔王様の名前を出したと言う事は、その意味を理解しているのか?」


「はい。」


そして学園長は手紙に魔力を流して丁寧に開封した。

手紙の内容を見れば見る程、学園長はぼろぼろと泣いていく。


ちなみにその手紙の内容を紹介しよう。




ネシウスへ


まず最初に謝っておく、ごめん。

千年前のあの時、俺はネシウスを無視して転生しちゃった事について。でもネシウスは立派な学園を作ったらしいじゃないか。

俺は誇らしい。まさか本当にあの言葉を実行するなんて。本当に感謝している。

俺が転生したのはその俺と名前が同じな子から聞いてると思う。

そうだ、転生は成功した。近々そっちに行くと思う。

それじゃあなネシウス。それと、ヘイネはもう改心したから退学は許してあげて。お願い。


魔王アラン・イェーデルホルムより



と言う内容だ。


自分で自分の書いた手紙を出すのもちょっと恥ずかしいな。はぁ、本当にごめんねネシウス。この手紙に書いた通りに、俺は千年前ネシウスから「転生するのは止めてください」と言われた。


だがあの時はこうするしかないと思い、飲み物に睡眠薬を混入させて眠ってる隙に無理やり転生した。

絶対目が覚めたら怒ってたよなぁ。


「あ、.......あの?」


「ん?あぁ、良いぞ。二人とも学園に滞在するのを許可する。ほら、分かったらさっさと出ていけ。」


感動している学園長は手で「しっし」と退出を促した。


俺とヘイネはそのまま扉を開けた。


「ふっ、まさか目の前にいるのがその魔王様だなんて思わないでしょうね。」


「確かに。今俺が魔王だって知ってるのも、限られた者だけだし。」


「へぇそうなんだ。その限られた者に自分も入ってるとなると、心が高鳴るな。」


「ははっ。」


俺とヘイネは会話をしながら自身のクラスに向かう。


「そういえば、ライアの事だが。」


「ん?まだ何かあるのかい?」


「ちょっとヘイネには言っとかなくちゃいけない事があってな。ライアは死んでいる状態を無理やり蘇生させたようなものだ。」


一気にヘイネの顔が真剣そのものになる。

やはりライアの事に関しては、ヘイネは細心の注意を払っている。


「うん、そうだ。ほぼ死んでいる所を無理やり昏睡状態まで戻した。」


「昏睡状態と言っても、それは死に近づいていた。だからずっとその死に近い状態を維持されたから、魂やその魔力の形が歪になってしまったんだ。」


「歪?それは何か良くない状態なのか?」


「良い悪いで言えば、悪いだろう。だが俺にも分からない。魂や魔力の形が歪になっている者なんてそんなに多くはないからな。時には莫大な力を放出する場合もあるし、何も言えない。だから気を付けてくれ。」


ヘイネは静かに頷いた。


おっと、もうそろそろ自分のクラスが見えてくる。


「それじゃあな、もし何かあったらちゃんと言うんだぞ。俺が全力を尽くして助けてやるから。」


「あぁ分かってる。だってあの魔王が助けてくれるんだ。求めない訳ないさ。」


そう言って俺は自分のクラスに入った。


ガラガラと音を出して扉を開けたアランにクラス全員の視線が集まる。

そりゃそうか。あんなに話題になったんだ。


俺はなにくわぬ顔で自分の席に着く。

周りの視線は気にしないと決めているが、さすがにこれは凄いな。まぁあんなに俺にブーイングしたりしたんだ。気まずいに決まっている。


妙な気まずさが漂うクラス内にまたガラガラと音をたててルー先生がやって来た。

ルー先生は俺が本当にやっていない事を知って喜んでいた。


「えーと、皆さん。先の事件についての顛末は知っていると思いますが、皆さんの言ったアラン君への言葉。」


そのルー先生の言葉にクラスの人々は下をうつ向く。


でも中には、アランに悪口を言わなかった者もいるのでその者達は平常通りだ。

と言ってもごく少数だが。


「アラン君は何も気にしないらしいです。」


「「「「「「え?」」」」」


クラスの声が重なる。


「そうですよね、アラン君。」


「勿論だ。それに、あの状況下で俺の味方をする方が珍しい。だから特に気にしていない。確か.........<DD>だったっけ?俺の事をそう呼んでいる人もいるらしいが、気にしていない。結果は結果だ、否定するつもりもないです。」


<DD>。俺の試験結果から付けられたあだ名のようなものだ。知力検査D魔力検査D、学園創設して珍しい。過去に何人かいたらしいが。


「はい!そうゆう事です。そして、皆さんに嬉しい知らせです。なんと、また転校生が来ます。どうぞルミナリエさん!」


その合図と共にルミナリエが入って来た。


ルミナリエがこの学園に入って来ることは、前々から知っていた。当初からエリカがこの学園に入れさせる事を察知した俺は、ルミナリエと約束をした。


この学園内でいる時は、エリカの親友のふりをする事。これは俺にベッタリくっついて来るのを防ぐ為だ。ルミナリエははっきり言ってモテる。そんな人が俺にベッタリでは、俺に反感や嫉妬する生徒も増える。


それでは困るのだ。学園に居づらくなる。

勝手なわがままのような気がするが、ルミナリエも了承してくれた。


「どうも、ルミナリエ・エリアルです。」


「............???.......え?」


言葉を失うとは、この事なのだと思った。


エリアルの姓を言うってことは.....................


「そちらにいるアラン・エリアルの姉です。」


「ルミナリエさんは、幼少期から病気がちでまともな教育を受けてなかったそうです。アラン君もそんなお姉さんを看病しながら学園へ来ていたらしいのです。でも最近は調子が良くなったので学園にと、あのデモクレス様が。」


クラスのみんなが同情の視線をアランへ向けた。

その中には謝罪の意味も混じっている訳だが。


俺はすかさず<思考伝達(テレパシー)>を掛ける。


(どうゆう事だエリカ?エリアルを名乗るって。約束と違くないか?)


(あら、別に私と親友の関係は築くつもりですし約束違反はしていませんよ。よろしいではありませんか。)


(もう、またエリカの悪知恵が働いたのね。本当に思うけど、よくやるわ。)


(ありがとリース。)


(マジかよ。うーーーん。)


(まあまあアラン。素敵なお姉さんで良かったじゃない。美人のお姉さん、男子の夢じゃないの?)


レイナがニヤッと微笑み掛ける。

ちゃんと右手はグッジョブマークをしている。


(違うわい。この............)


「はーい、それではルミナリエさんはエリカさんの後ろの空いてる席に座ってください。」


「分かりました。」


ルミナリエはその指定された席に向かう。


その後の休み時間や、授業中まで俺は周りからの質問に答えていた。

紹介してくれだとか、お姉さんはどんなのがタイプだとか。謝罪する人もいたが、なかなか堪えたぞ。


ーそして下校時ー


俺、レイナ、リース、ロント、イフン、ミネセスが帰ろうとしていると、後ろからルミナリエがやって来た。


その姿は、何かから逃げているかのようだ。


「ようだ、ではありません。逃げているのです。」


「まぁ、そりゃそうだろうね。転校生あるあるってやつ?」


「確かに。ミネセスもそうだったし。」


「でもあんな足が遅い奴らなんて苦労する事もなかったぞ。それより、団長見なかったか?」


ミネセスの問いに、この場にいる全員が首を傾げた。


「そういや、見てないんだよな。でも多分エリカの事だ、先回りして家に着いて色々と準備でもしてるんじゃないのか?」


「あっ、そういえばそうね。前だって夜ご飯の準備をしてたし。」


「そうか、礼を言うリース。」


リースは「いえいえ」と返事をした。

と、その時、イフンが急に声を上げた。


全員の注目がイフンに集まる。


「どうかなされたのか?」


ルミナリエも心配して声を掛けた。


「そういえば、アランって転生した魔王なんだよね。あの時は色々となぁなぁで終わっちゃったけど。思い返してみると.........」


その推論にロントも「はっ」と気付く。


しかしそれ以外の人は全員笑っている。と言うか、何やら背後の方からも笑い声が聴こえてきた。


「今さら何をおっしゃると思えば。ふふっ。」


「なぁんだエリカ。後ろからこそこそと付いて来てたの?」


「そうですわよレイナ。皆さん私に気付かずに会話しているものですから。」


「いやいや、そんな事よりアランが魔王だったなんて...............ああ!呼び捨てで何時も言ってたけど。」


イフンの慌てる姿に皆は苦笑する。


「大丈夫だイフン。俺は呼び捨てでも構わない。今も昔も俺は呼び捨てで良いって言っているんだが、みんな恐れてしないんだ。」


「そりゃそうよ。なんてったって、かの魔王様よ。呼び捨てなんて空気読めないゴミだわ。」


「いやリース、それでは自分もゴミですわよ。」


「そういう事言うなエリカ。リースだってちゃんと俺の心からの願いを聞いてくれたに過ぎないんだ。今の時代の人々は昔とは違って堅物が少なくて嬉しい。」


俺はレイナとリースを見る。

この時代での、初めて「アラン」と言ってくれた友達だ。


エリカは昔から「アラン」と呼んでいる。あいつは、俺の願い事を全て聞いてくれるからな。

一応嬉しかったと言えば嬉しかった。


「へぇ~そうなんだ。じゃあ僕もアランって呼ぼうかな?」


「私はやはりアラン様で良いです。アラン様は友としてではなく、敬愛なる師として接していきたいので。」


「それじゃあ、改めてよろしくな、ロント、イフン。」


「はい、アラン様。」


「よろしく、アラン。」


俺はロントとイフンに握手した。

ここでまた二人、友達が増えた。男のな。



とうとう今章も大体終わりました。まだあと一話残っていますが。



それでは、次章の為にまた書き溜め期間に入ろうかと思います。次章を投稿する目安は、また2,3カ月になると予想されます。


誠に申し訳ありませんが、どうか許してください。

まだ一話投稿する予定ですが、次章でお会いしましょう。

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