終わり
10連休もそろそろで..........
考えたくない!
「あら、やはりアラン様[魔王技]を使用なさったのですね。ふふっ、このような巨大な力。惚れ惚れしていますわ。」
「まぁな。もうそろそろ終わりにしようと思ってな。」
エリカの後半の言葉は無視してアランは返した。
「うわっ、これは......凄まじいですね。」「こんなの勝てない筈だ。」
目の前の[魔王技][暴食の魔王]が放たれた所を見ればぽっかりとその地点はドでかいクレーターが出来ている。その中にボロボロのホメスが一人、うずくまっている。
「ところで、何故この神を生かせたのですか?別に殺してしまってもよろしいのでは?」
「うん....まぁそうだけどなぁ、ちょっと聞きたい事もあるし。」
俺はうずくまってるホメスに近づき<回復>を掛けた。
これで喋れるくらいには治っただろう。
「ホメス、聞きたい事があるんだが。」
「...........なんだよ。..............」
「ちょっと今の神のーー」
俺が皆まで言おうとした瞬間、神々しい光の柱がホメスの後ろに現れた。
その様は神の子でも降誕しようとしてるみたいだった。
神々しい光の柱から現れたのは360度何処から見ても天使だと分かる見た目。白を基調とした純白な服。所々に金色を交えているのはこいつの趣味だろう。
地面に着地した天使は目の前の光景を見て驚きの顔を見せた。
「おや、よもや倒してしまうとは思いもしませんでした。さすが神々も恐れる魔王。」
「はぁ。まったく、今日は次々と現れてくるなぁ。でっ、大天使ハニエルが何をしに来たんだ?お前も権力欲しさに魔王を殺しに来たのか?」
大天使ハニエル。
そこらの神々よりも高い地位にいる存在。その力は状況によっては神と対等な場合もある。
その言葉を聞いたロントとヘイネは口をポカンと開ける。エリカはそこまで驚きはないらしい。まぁさっきまで神と戦ってたし。と言うか、エリカは千年前の時に天使とかと戦ってるからあまり驚きはないか。
「私はそこにいる神のように権力は溺れるつもりはありませんよ。」
「じゃあ本格的に何をしに来たんだ?」
「一応、魔王のサポートをする予定だったのですが、もう終わってしまったのでホメスを回収しに来ました。」
「なっ!?回収?それって殺しはしないって事か?」
妙に声を荒げるヘイネに周りからの視線が集まる。
「ヘイネ、そんなに声を出して.......どうした?」
ロントが不思議そうに聞く。
「い..........いや。そこの神を殺したら、その神が施した効果も無くなるのかと思って...........」
「ホメスが施した効果?それは無くならないんじゃない?だよな、大天使。」
「はい。基本的に術者が死んでしまっても効果は消滅しません。ですが、どうなさいましたか?」
大天使ハニエルが聞くと、決まり悪そうにヘイネは答えた。
「そこの神がライアに回復する[神技]を掛けたんだ。だからその神が死んだりしたらライアがまた昏睡状態に戻るのかと思って。」
ヘイネはライアに対してかなり神経質になっていて、ひどく弱々しい声になっている。
神経質と言うよりかは、特別な感情を抱いているのか。
ハニエルはそれを聞いて少し下をうつむく。だがその気持ちは俺も一緒だ。
「やはりハニエル、少し気になるか。」
「そうですね、魔王。」
「どうかなされましたの?」
エリカが横から尋ねる。
「いや、考えてみてくれエリカ。あの良からぬ事ばっか考えるホメスがただライアを無償で助けたと思うか?俺と大天使はそのライアに何か仕掛けているのではないかと思ってる。」
「確かに。この神の性格上、呪いとか仕掛けてそうですね。」
「まっ、実際に本人がいるんだから聞いてみれば分かる話だ。おいホメス、今の話聞いていただろう。何とか言ったらどうだ?」
ホメスは狂ったように笑い出す。まるで壊れた玩具のように。それは不吉さをアラン達にもたらした。
「さて?どうだっただろうね。もしかしたら今頃死んでいるかも知れないし、普通に正常かも知れない。それは僕にも分からないなぁ。」
「はぁ?この野郎!」
「ヘイネ!落ち着け!」
ホメスに殴り掛かろうとしていたヘイネをロントが無理やり押さえた。
たがしかし、この反応。絶対ライアに何か仕掛けてあるな。
「神ホメス。あなたに問いましょう、ライアと言う者に何か仕掛けましたか?返答次第によっては、私はあなたを神の地位を剥奪しなければなりません。」
「は、剥奪?何故だ!僕は神々が敵視している魔王を殺してあげようと思ったのに。」
ハニエルはため息を一つついた。
「私達、天界では千年前の時のような悲惨な事件を起こさない為に戦いを極力しないと決めたのです。なのにあなたは、そこにいるまだ幼き少年に身を滅ぼし兼ねない力を与え、戦闘に駆り立てた。」
アランとエリカはその発言にホメスとは違う意味で驚いている。
千年以上前からあんなにお互いに憎しみ合ったと言うのに、今では平和を望んでいるのか。案外コイツらにもそういう精神があるのだな。
「今一度問います。あなたはライアと言う者に何か仕掛けましたか?」
ホメスはただ黙る。
そして何か決心した様子になり、後退りしながら左手を天にかざした。するとホメスの腕の中に茶髪の髪先がくるくるとした女の子が現れた。
その少女こそがライアだ。
「こっちに来るな!こいつがどうなっても良いのか?」
「おいハニエル。お前ん所の神が脅しを掛けているみたいだが、どうする?」
ヘイネはロントに強制的に宥められている。
「まぁまぁ、その目で見ていると良いですわよヘイネ。あなたが陥れようとした魔王の活躍を。」
エリカはニヤニヤしながらアランを見つめた。
エリカは期待しているようだが、ハニエルもアランに期待の視線を向ける。いや、大天使だろ何とかしろよ。お前管轄だろう。そんな俺の心が読めたのかでハニエルは小声でアランに話す。
「私はあくまでサポートですから、主体は魔王ですよ。」
「うげぇ、責任転嫁だ。」
「おい!何をごちゃごちゃ話し合っている?話の主導権は僕にあるのだからな。」
「なら、ホメス。今からでも遅くはない、その少女を解放しろ。今なら大天使も許してくれるって言ってるぞ。」
そんな事言ってないハニエルは「おや?」と首を傾げたが、特に反論はしない。
ホメスはその言葉を聞いても、ライアを離さない。
「ふっふっふ。魔王、そのような嘘には騙されないぞ。今度はこちらから提案しよう。この少女を解放して欲しくばーー」
「欲しくばなんだ?」
俺は一歩前へ出る。
ホメスは目に涙を少し貯めながら後退りする。
「なんだ?人質がいるからってこちらが弱々しくなるとでも思ったのか。人質交渉など、千年前に慣れている。」
「来るな!そうだ、魔王。この杭を自分の胸に刺せ。そうすればこの少女は解放してやろう。」
そう言ってホメスは銀色の杭を取り出し、アランの目の前の地面に投げた。
特に外見では普通の杭にしか見えない。
俺はその杭を受け取る。
「待て!その杭は魂ごと消滅させる。ただの杭と思ったら大間違いだ!」
ヘイネが深刻な表情でアランに警告する。
「へぇ、そうなんだ。まぁホメスが渡す物だから何かあるとは思ってたけど、そんなに強い消滅力を持ってるのか。」
「さて。どうします?魔王。」
この杭を自らの胸に打ち込めるか、ライアを見捨てるか、それとも別の方法を取るか。
妙な静けさが平原に流れる。
エリカを見ると口パクで「楽しみにしてますよ」と言われ、ハニエルはニコニコしている。
その状況でアランが取った選択とは............
「ふっ。ホメス、お前はもっとマシな策を講じるべきだったな。」
アランは右手にある杭を自らの胸に打ち込んだ。
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