正真正銘のバトル
「さて、向こうはエリカがやってくれるし、そろそろ始めようか?」
「そうだね。僕の秘密を知っている人なんて早くいなくなって欲しいし。その剣、リエスベスタって言うんでしょ。神々の間でも有名だよ、全てを喰らう剣。それは神の力も例外にならない。厄介な物だよね。でも...................」
ホメスは<神浄化連獄炎>を描き、辺りを浄化の炎で満たす。
「でも?」
俺が聞き返すと、ホメスの放った浄化の炎は俺を避けるようにして俺の周りに広がった。
この程度で俺の身動きを縛ったつもりなのか。
「その剣は一方向しか効果を示さない。あらゆる方向からの攻撃には、対応しきれないんじゃないかな。」
「へぇ。それは自分の事を言っているのかな?」
ホメスはちょっと頭にきたが、自分の優位性は揺るがないと判断して自分を落ち着かせる。
そして浄化の炎を動かし、あらゆる方向からアランに向かって炎の津波を浴びせようとした。
アランの目の前には輝かしい炎の波が押し寄せる。
「リエスベスタ、喰らえ。」
俺がリエスベスタを振るえば、押し寄せて来た炎の津波は一瞬の内に消えた。
別の方向から来る波は<寒零度吹雪>を同時に発動させて相殺させた。目の前の炎の波が消えた事で改めてホメスを確認しようと思ったが、ホメスの姿はなかった。
だがしかし、この場から逃げた訳ではない。
<全身透明化>を使ったのならば、空間そのものに大抵は違和感を感じるものだ。
だが高位な者ほど、その違和感を感じさせずに完全に気配を隠せる。ホメスはその類いの者か、はたまた違う種類の魔法を使っているのか。
「あれっ?まさか僕を見失ったのかな?」
その声は右から聴こえるとも言えるし、左からも聴こえると言える。
「確かにそのようだ。負けるからって姿を見せられない劣等神はそうやってこそこそとしているようだし。」
「ふっ。そんな古典的な挑発をしても、僕は見つからないよ。」
さっきまで、挑発したら感情と共に魔力の変化があったが今は感じられない。
もしホメスが<全身透明化>を使用してるなら、空間に揺らぎが生じるのだが見る限りそれは感じられない。
しかもそんなに自信ありげにホメスは言った。
一体どういうトリックだ?
そう悩んでいると、アランの頭上から聖なる光の柱が襲って来た。
俺はリエスベスタを頭上に突き立て、光の柱を消し去る。
ー刹那、アランの周りには白い魔法陣が描かれ、そこから白色の雷が姿を現す。
「あぁ。大体分かってきた。」
俺は四方八方に<防魔法障壁>を張り、身を守る。バチバチッと高い音が響いた。
「..............ぐっぅ。」
白色の雷を防ぎきれなかったのか、魔法障壁を貫通して脇腹に電撃が走った。
「ねぇ、魔王。今はどんな気持ちなのかな?相手が見えないのは。怖い?恐ろしい?見えない敵から防戦一方って怖いよね。ははっ。」
「確かに見えない敵って言うのは厄介だが、見えれば簡単だぞ?例えばこんな風にな。」
俺は周りのあちらこちらに<前方爆散>の陣を張り、一斉に発動した。
バコンッバコンッと黒い煙と共にその爆発は辺りを黒に染めていった。
俺はその煙の中で目を見開き、辺りを見渡す。
「そこか!」
アランはリエスベスタをおもいっきり縦に振った。
ブンッと空気が斬れる音と、何かが砕けるような音がした。そこには驚いた顔をしたホメスの姿があった。
「なに!?くそっ![神技][神速の斬撃]!」
ホメスの体を斬ろうとした途端、何か目の前で光が通ったみたいなのが見え、次の瞬間にはリエスベスタが弾かれていた。
ホメスは息を荒げながら後方へと飛び退いている。
良く見れば、ホメスの握られている短剣の刃が欠けている。と言うことは、先ほど見えた光のような物は神速で振られた短剣だったのか。
恐らく今までも神速で振る[神技]で、常時障壁を張っているように見せかけてきたのだろう。
「ほらどうした?お得意の余裕気がなくなっているが?」
俺がそう言っても、ホメスは怪物を見たようにびくびくしている。
「どうし.........て?」
「簡単だ。ホメス、お前は姑息な手を使うのが得意らしいな。だから何かおかしな所がないか目を凝らし、考えるのにもちょっとずつ鍛えられた。もしお前がかなりの策士だったらこんな事にはならなかっただろうな。」
人から毎日のようになぞなぞを投げかけられたら、例え初めて聞くなぞなぞでも正答する確率も上がっていく。それと同じだ。
「今の答えはこうだ。さっきホメスが使用したのは、自分の周りに鏡のような障壁を張り、自分を景色の中に消した。ここは何もない平原だ。いくら景色が反転しようが分かりようがない。」
「じゃあ何で分かったんだよ!」
ホメスはそう言いながらも<断罪の神刃>を二発唱え、アランへ襲い掛かった。
「<深淵なる暗光>。爆風だよ、爆風。さすがに最初は詳しい位置までは分からなかった。だが!」
アランは答え合わせをしながらも、神の刃の一つを<深淵なる暗光>で消し飛ばしてもう一つの刃をしゃがんでかわした。
「爆風の動きがおかしな所があった。」
俺は神速で振られるホメスの短剣をリエスベスタを盾にして受け止めようとする。
しかしホメスは短剣を降り下ろす向きを変えてリエスベスタと接触しないようにアランを切り裂いた。神速で切り裂かれたアランは顔色変えずに、ホメスの顔面を蹴り飛ばした。
「ぶはっ......」
「後はそこをリエスベスタでつついただけさ。案外脆い鏡だったけどな。.............さて、もうなぞなぞは尽きたか?」
俺はおもいっきり地面を蹴りあげ、背後に<絶暴風切裂>を発動してさらに自分を加速させる。
「く......来るな![神技][裁きの光]![裁きの光]!」
ホメスは何度もやって来るアランに[神技]を撃つが、感情的になった者の攻撃ほど読みやすいものはない。アランはするすると光の柱の横を通り抜けて行く。
「ふっ。どうした?あんまり顔色が良くないが?」
「来るな![神技][神速の斬撃]」
近づいて来たアランにホメスは神速の速度で牽制する。
さすがのアランも一撃でもまともに食らえば体は無事でも魂自体は深い傷痕が残る。
俺は一度急停止し、その余った勢いでジャンプしてホメスの背後を取る。
「とりゃ!」
リエスベスタをそのまま体重を乗せて降り下ろす。
ホメスは[神技][神速の斬撃]を発動して打ち返す。
カキンッカキンッカキンッとリエスベスタと短剣がぶつかり合う。一見対等に渡りあえているように見えるが、それは違う。リエスベスタと打ち合うほど、ホメスの短剣は少しずつ欠けていく。
「どうしたんだ?今までの威勢がなくなってるように見えるが。」
「う......うるさい!」
「そうか、ようやく自分が今までしてきた事のツケが回って来たと気付いたか。何時も自分に危険が及ばない所でのんびりしてるからな、お前らは!」
俺はリエスベスタの腹でホメスを吹き飛ばす。
ホメスはうずくまりながらも立ち上がる。そして自分の持つ刃こぼれした短剣に<神浄化連獄炎>を重ね、巨大な神の炎を纏った剣が現れる。
「お......終わりだ!ままおおおおぉぉぉぉおううぅぅ[神技][神の浄化剣撃]!」
さながら魔王に立ち向かう勇者のようだ。
だが、勇者はお前なんかより良い奴だったぞ。
「それが最大の攻撃か。ならこちらも行こう[魔王技][暴食の魔王]!!」
リエスベスタが禍々しく揺らめき、アランはそのリエスベスタを大きく振った。
刹那、リエスベスタから巨大な闇が現れて全てを飲み込んでいく。それは万物全てを飲み込む。
ホメスが渾身の力で放った[神技][神の浄化剣撃]でさえ、ただ何の効力も発揮せずに飲み込まれた。
「は........はは、なんだこれ?」
ホメスは笑うしかなかった。目の前の壮絶な闇の世界に飲み込まれていくのを。
最近コードギアスにまたはまりだしてしまった.....。
やっぱり良い作品ですよね。




