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因縁の二人 

ようやく暖かくなってきましたね~。

時はレイナとリースがモファと戦ってる所に戻る。


エリカとロントは透明化で隠れながら、他の二ペアからの知らせを待っている。

目の前には透明化されている建物が見える。


「うーん。暇ですわね。」


「はい。しかしそれ程までに苦労しているのでしょう。」


隣にいるロントはエリカの事を気を使い過ぎて話し相手にもならない。編成を間違えたかなぁ?いやでもミネセスとイフンは同じにしておきたかったし....と一人で考え込んでいる間に周りの空気が一瞬にして変わった。


見てみれば、誰かが<空間転移(テレポート)>で来たようだ。

真っ暗で顔がよく分からないなと思い、もっと目を凝らして見ようとすると隣にいるロントから発せられる魔力が大きくなった。


「エリカ殿。あいつと戦わせてください。」


「あいつ......ヘイネの事ね。うーん........普通なら許可しない所だけど、確かあなたとヘイネは因縁の関係なんでしょう?なら行って来なさい。きっとアラン様もそう言う筈よ。」


「ありがとうございます。」


ヘイネは誰もいない野原をただ立っている。そこに誰かがいるのを知っているように。

ロントは透明化をエリカに解除してもらい、姿を現す。ロントを発見したヘイネは「ふっ」と笑う。


「やはり来たか。久しぶりだな。」


「久しぶりって言う程の時間は経過してるようには思えないが?」


「そうか?自分的にはそんな気分だがな。まぁいい。今日ここで私はロント、貴様を倒す。」


ヘイネは左手でロントを指差した。


「そうか。ならこちらも行かせてもらおう!」


ロントは拳に<付加魔法(エンチャント)>を施す。ロントの拳が闇色に淡く光る。


ヘイネは左手に盾を。右手に先が曲がってる剣を持った。ヘイネの基本戦術は魔法ばかり使ってるせいで、魔法単体だと思われてるが盾と剣。これが本来のヘイネだ。古来からの基本的なパターン。最近は剣だけで戦う奴らが大半だがヘイネはそうは思わない。


古来からの基本的なパターン。

これこそが、ヘイネが見つけた最も優れた戦い方である。


「本気だな。いつもみたいに攻撃魔法だけで戦わないのか?」


「ふっ。お前相手で攻撃魔法だけだと万が一の場合があるかも知れないからなっ!」


ヘイネはその言葉を皮切りにダッシュし、右手の剣をロントに振りかざす。

ロントは右手で剣の腹を弾いて左の拳をヘイネにぶつける。


ガンッーー


ヘイネは盾で拳を防ぎ、さらに追い打ちをするロントを全て盾か剣で防ぐ。


このままでは埒が明かないと判断したロントは一旦下がる。


「おい、どうした?もっと来ないのか?」


ロントは拳に炎を纏わせる[魔技][陰炎(ダラク)]を付けた。

拳から肘の方まで炎が行き渡る。ヘイネはそれを見て炎に対する対策を考える。


「炎か........ならこちらは水か。」


ヘイネは盾に吹雪を纏わせる<付加魔法(エンチャント)>を掛ける。


そして今度はロントの方からヘイネに向かって行った。


ロントの攻撃は全て盾で防がれ、炎と氷がぶつかり合う音が聴こえる。何度も何度も繰り返し攻撃するロントの一瞬の隙を突き、ヘイネは剣を振るう。


ロントの右胸が斜めに裂かれ血が滴る。


しかしロントはお構い無しに突撃する。まるで守りを知らぬ猛獣のように。

その攻撃に徹した戦い方にヘイネは拳を避けながら一歩手前に下がり、盾を持っている手を横に空を切るようにした。


「<断罪の神刃(コンダクション)>」


光り輝く刃がヘイネの空を切った手から現れる。横に現れた光りの刃はロントを真っ二つにしようと向かってくるが、ロントもバカではない。以前に<断罪の神刃(コンダクション)>は見ている。


ロントは体を地面に近づけて光りの刃をかわして、縮んだ脚のバネを利用して一気に拳を突く。


「くそっ...」


ヘイネは残念がりながらも盾と剣を合わせてロントの拳を受け止める。

しかしロントの勢いは止まらず、ヘイネは後ろに倒れ込むように体を傾けて両手を拳から離してしまった。


「隙あり!」


勢いよく放たれたロントの炎の拳はヘイネの顔面に吸い込まれるように入る。その次に、アランとの練習の中で編み出した[魔技][陰炎連撃(ダラクス)]を撃ち込んだ。炎の拳が連続で放たれる。

そして何も防御せずに直撃を全て食らったヘイネはそのまま後方にぶっ飛んだ。


なんとか空中で体制を整え、両足で着地したヘイネはロントを睨み付ける。


「おいおいそっちの方こそどうした?前にやった時から大分衰えているような感じだな。昔はあんな一発受け止めきれていた。その後も、あんな[魔技]如き防ぎ切ると思ったぞ。」


やっとの力でヘイネは立ち上がる。


「昔ならそうかも知れないな。でも、おかげでこんな力が使えるようにもなった!」


ヘイネが「ううぅおおぉぉおおーー!!」と声をあげると、辺りが白い光に包まれ収まったと思ったらヘイネの背中から白い翼が生えた。ロントによって傷付けられた箇所も次第に治る。


それは天使の姿に似ている。


「なっ、....その姿は?」


「知ってたか?ロント。神様って本当は天使みたく翼があるらしいが、何時もは隠しているらしいぞ?何でも、天使と区別する為なんだと。」


「それがどうした?」


「まだ分からないのか?今の私は神の力を所有しているって事だよ!」


ヘイネは剣を天に突き立て


「[神技][裁きの光(フォールン)]!」


ヘイネが唱えた瞬間、ロントの真上から神々しい光がやってくる。

上から来ることに気付くのが遅れたロントは何とか逃れようとするが、左腕だけは逃れられずに当たってしまう。


ロントの左腕にとてつもない重圧が掛かり、ロントは苦悶の声をあげる。まるで左腕が今にも押し潰されような感覚だ。


「ぐわっ...」


「ふふっ。そうだろう、苦しいだろう。何てったってこれは神が使う[神技]だ。魔族のお前との相性は最悪だ。」


ロントは左腕を抑えながら必死に歯を食いしばって耐える。


「何をそんなに耐えているんだ?まだまだ戦いは始まったばかりだ。もっと行くぞ。」


ヘイネは[神技][裁きの光(フォールン)]を何度も繰り返し発動する。


ロントは自分のいた位置に来ると予測してフェイントを混ぜながら縦へ横へ斜めに避けるが、そんなフェイントはヘイネには通じない。一発一発撃つに連れてロントの体もぼろぼろになっていく。


「はぁはぁ.....はぁ。」


息切れをしつつもロントは生きている。


「とどめはさすがに[神技]に頼るのではなくこの剣でしてやろう。せめて苦しまずに終わらせてやる。幼馴染みの情けだ。」


一歩一歩近づくヘイネにロントは大声を張りあげながら突進する。


「ううぅぅおおおぉぉぉおおーー!!」


ロントの拳はヘイネには届かない。冷静さを失ったロントの拳はヘイネの盾で受け止められる。いくら[魔技][陰炎(ダラク)]で、炎強化されていても通用しない。

そしていくら力を込めようが、今のヘイネは神の力を憑依させて様々な能力がアップしていてびくともしない。


「いくら力を込めたって無駄だ。私の今の力では傷一つ付けられない。」





「......ふっ。ならこれならどうだ?」




ロントは盾で防がれていない方の手をヘイネに突き出した。

そしてその手を開く。その手には黒い魔力石があった。その魔力石を見た途端、ヘイネの顔が歪んだ。


「はっ...?それはまさか!」


「砕けろおおぉぉぉ!」


ロントは思い切りヘイネの前でその黒い魔力石を砕いた。


そしてヘイネとロントを中心に黒いオーラが放たれた。

その黒いオーラの衝撃波で二人は吹き飛ばされる。


ロントは難なく立ち上がるが、ヘイネはその場で胸に手を当て悶絶している。足をバタバタさせ、地面を手で抉る。それは強い発作をしている人のようだ。


「やっぱり。凄い辛そうだな。さっきの魔力石は、聖なる者を寄せ付けない障気を濃縮して固めた物だ。無論、私達魔族にはあまり効果がない。だが今のお前は聖なる力をその身に宿している。だとしたら効果は凄まじいものだろう。」


障気とは、毒沼や放置された魔物の死体から沸き出るガスの事だ。魔族には微々たる効果しかないが、人間、神のような聖なる者には立派な毒になる。


これがロントの秘密兵器。


ロントはアランがヘイネの事を天使なのか?はたまた天使と異種族との子なのか?と考えている時に、もしヘイネと戦う時が来て、アランの予測が正しければ使えると考えていた。


実際、その作戦は合っていた。

ロントは度重なる傷で重たく感じる体を動かし、悶絶しているヘイネに近づく。


「これでヘイネ。お前の負けだ。」


「ぐっ......違う!....」


ヘイネは苦しく、自分の体を蝕むのに耐えながら体を起こして剣を握り直す。


「まだっ....まだっ.......終わってない!」


「いや、終わりだヘイネ。さらば、友よ。」


ロントは拳を後ろに下げ、一撃必中の構えを取る。ヘイネも剣を同じく後ろに引く。




そして両者は同じ瞬間に拳、剣を渾身の力で振るう。




結果は明らか。



パリンッ。ヘイネの剣が砕ける。


「昔のお前のままだったら、負けてたかも知れないな。」


ロントは倒れているヘイネに向かって勝利宣言をした。



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