作戦決行!
ー作戦決行日ー
「みんな集まりましたよね。」
「まだ眠さは残るけどね。」
目を擦りながら眠たそうなレイナがリースに立ったまま寄り掛かる。
レイナは何時も早く起きて料理等をするが、実は自分の睡眠欲に弱い。そのレイナが使っている目覚まし時計はどのくらい効果があるのだろうか、リースは気になりつつもエリカに返事をした。
「こちらも準備万端です。」
ロントは腰に付けた小さなバッグを叩きながら返事をした。
先ほど中身が気になったミネセスが聞いてみると、何やら対ヘイネ用の秘密兵器が入っているらしい。作戦時にヘイネが立ちはだかるかは分からないのだが、ロントには絶対の自信がある。直感でビビっと感じたのだろうか。
「僕も大丈夫です。」「オーケーだ団長。」
イフン、ミネセスは返事をした。
イフンは今回のアラン救出作戦にはこない方が自分の安全は守られるのだが、「そんな訳にはいかない」と胸の中に確かな決意を抱いていた。
ミネセスは勿論イフンを守ると言う任務を続行しているので、今回はイフンと一緒に行動する。
みんなの返事を聞いたエリカは一つ頷く。そしてエリカは収納魔法から人数分のゴーグルを取り出し、イフン以外の全員に配った。
「今皆さんにお配りしたゴーグルは透明化されている建物を写し出す物です。イフンの場合は普段掛けている魔眼鏡でも代用可能でしたので渡していません。」
「本当にこれで透明化されてる建物を見れるの?」
レイナはゴーグルを掛けて周りを見渡してみるが、このゴーグルは透明化されてる物にしか効果がない。よって何時も見ている光景しか今は見えない。
「大丈夫ですよレイナ。実際にアラン様がおっしゃっていた座標値をこのゴーグルで確かめると、本当にありましたので。」
そしてエリカは開始の合図を言う。それは長い長い夜になる。
「それではアラン様救出作戦を開始します。」
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この作戦の概要を説明しておこう。
まずはレイナとリース。そしてエリカとロント。イフンとミネセス、この二人一組のペアで進む。
レイナの組とイフンの組は、透明化の建物の裏から壁を壊して潜入。途中で二手に分かれて進む。そしてアランの身の安全を確保し次第、エリカの組が正面から派手に突入する。
しかしそうは上手く進まないのが世の常。
全員には臨機応変に物事を運ぶようにエリカが言ってある。この場で昔の戦乱の時代を経験しているのはエリカを除いてミネセスくらいなものだ。
レイナ組、イフン組は建物の裏側まで来ている。
「で、ここからどうするの?壁を壊して潜入とは言われたけど魔法でやったら確実にバレるでしょ。」
「大丈夫よレイナ。作戦開始時にエリカから渡されてたから。」
そう言ってリースは片手でようやく持てる程の鉄の塊を取り出した。
イフンが物珍しそうにその塊を見て解析したのか、驚いた。
「おっ、イフン分かったのか。」
「は、はい。この効果は張り付けた壁の周りを消音効果のある魔法を併用しながら消滅させます。凄い、しかも壊した壁を幻影の壁で塞いでバレないようにする機能も付いてる。」
「その通りだ、よく分かったな。」
ミネセスはイフンの頭を撫でる。そしてイフンが照れ恥ずかしをするのも、レイナとリースにとっては予測済みだ。
「それじゃあ使うわよ。」
リースは壁にその魔法効果のある鉄の塊を付ける。
すると、その壁の周りが消滅して代わりの幻の壁が現れる。この幻の壁は手で触れればすぐに幻だと分かってしまうが、いちいち壁を触りながら巡回する者もあまりいないだろう。
四人は建物内に入り、周りを警戒する。
一番戦いに慣れていると思われるミネセスが安全サインを出して、他の三人は安堵する。
「ここから先はどうするんです?アランが何処にいるかまで分かっていないのに。」
「適当に進んでいっても時間も掛かるし、以前イフンを助けた時は外から明らかにあそこにいるなぁて簡単に分かってしまったが、今回はそうじゃないしな。」
「リース、何かエリカから聞いてないの?」
するとリースは押し黙って頬を紅く染めた。
確かにリースはエリカからアランの居場所を察知する方法を言われてた。
ー作戦開始時ー
「ねぇエリカ。これで進入出来るとは分かったけど、アランの居場所はどうするの?探知魔法を使えばすぐにバレるし、八方塞がりよ。」
リースは鉄の塊を収納魔法に入れながらエリカに尋ねる。しかしエリカは笑みを浮かべながら
「安心してください。リースの愛の力で何とかなりますよ。自分の胸の内にアラン様を思い浮かべればおのずと分かります。」
「は、はぁ!?」
リースはすぐに紅くなった。
「まぁまぁ。この方法は実際に私が実践済みですから信頼出来ますよ。」
「あなたと一緒にしないで!そ........そんな感情......」
途中からぼそぼそと小さくなっていくリースを見てエリカは安心していた。
その後も聞かれたが、全て「愛ですよ、愛。」と言う言葉で返したエリカであった。
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リースは目を瞑ってエリカから言われた通りにする。
すると、地下の大体の場所から何かを感じた。きっとエリカの言っていたアランの居場所なのだろう。
「リース、どうかしたのか?顔が紅いような」
「い、いえこれは違うわ。ともかく!大体の場所が分かったから、私に付いてきて。」
「えっ、凄いリースさん。短時間でそんな所まで。一体どうやったんですか?魔法の類いは使用しなかったのに。」
イフンには魔法行使すればその魔法陣が見える。
イフンの質問にリースは「後で後で」と話をはぐらかす。口が裂けても言えない。
エリカの言った方法の原理を説明しよう。現在、アランとリースは主従関係である。その繋がりはとても強い。二人の間に強い信頼があるのもそうだが、魔王と契約しているのだ。
その契約にはこんな効力がある。
片方が強く想えば、もう片方の居場所が分かる。想いはどんな気持ちでも構わない。憎しみでも可だ。しかし大抵は「愛」「敬愛」「尊敬」等の感情だ。エリカはリースに「愛」の感情でアランの居場所を突き止めようと指示した。
二つの組はどんどんと建物内を進んでいく。
「しっ。向こうから一人来る。」
ミネセスからの連絡に三人は身構える。生憎、周りを見ても隠れられる所はなさそうだ。
となると答えは一つ。
コツ....コツ...と一歩ずつ近づいて来る音が聴こえる。レイナは剣を出しミネセスは拳に魔力を込める。そして自分のテリトリーに入るのを待つ。
「.......今!」
ミネセスの合図と同時に二人は飛び出してレイナは剣の腹を、ミネセスは拳で殴り相手を無力化した。
気絶した巡回の人はリースが眠りの魔法を掛け、その場に置いておく。
その後は周りの警戒はミネセスが担当し、隠れられれば良いがそうでない時はレイナとミネセスが角からの不意討ちをして無力化していく。殺してしまったら、その臭いやその処理が手間だと言うことでそれは避けている。
本当の事を言うと、あまり慣れていない。ミネセスは大戦時に嫌という程殺している。だがしかし他の三人は現代人。そんな境遇になんて遭わない。
四人はどんどんと建物内を進み、地下へと続く梯子を発見し降りる。
そこは暗いほのかな光だけが周りの空間を照らす。
「暗いね、何でもっと灯りを付けないのかなぁ。」
「まぁそうね。でもこの地下空間.............広過ぎない?」
リースは周りを見渡しながら感想をこぼす。
この地下は地上にある建物より広いんじゃないかと思うくらいに大きい。
四人はその中を進んでいった。しかしその先で道が二つに分かれている所があった。
「あっ.....これは二手に分かれないと。」
「そうだな。それじゃあ私とイフンはこっちを行くから、二人はそっちを頼む。別にどちらかがハズレでも安心だろ?」
「えぇそうね。アランの居場所は向こうから感じるし、どっちかが正解でしょう。それじゃあまた。」
「またね~ミネセス。」
レイナは手を振りながら別の道を進んでいった。
ミネセスとイフンはそのテンションに苦笑いしながらも手を振り返して進んでいった。
レイナとリースはどんどんと進み茶色の扉を見つけて一旦止まり、開いてもすぐに反応出来るようにする。レイナは扉の前で右手に剣を持ち、後ろでリースがすぐに魔法を撃てるように構える。
「いい、3.2.1で行くよ。」
「分かった。」
「3.2.」とレイナがカウントダウンを言い、「1」の瞬間にレイナは思いっきり扉を開ける。
かなり大きな部屋になっており、まるでコロシアムのようだ。
レイナは足を一歩進める。
その時、正面から闇色の大きな質量を持った球体がやって来た。その球体はレイナとリースを押し潰そうと襲い掛かる。
「<超滅連獄炎>!!」
その球体を目視した瞬間にはリースは魔法を唱えていた。
その地獄の炎は闇色の球体を燃やし尽くそうと包み込んでいく。リースは渾身の魔力をさらに魔法に流してその球体を押し返す。
「え、マジか。[魔技][門番の大鎌]」
突如、炎を纏った闇色の球体は斜めにスパッと割れ、その場に消滅した。
相手の姿を見た二人は苦い表情をする。
「お久しぶりね、屋敷の地下以来かしら?」
以前、ハイムの魔力瓶にて一発逆転した女性だった。
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